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葱と牛蒡とツインテール40

しきは痛みに震えながらも、少しばかり、ほっとした。
間に合わなかったかもしれない。話したことで、何か変わるかもしれない。しきがいたことで、小十郎と三成が出会ったように。
それでも。
「…小十郎様……」
それでも、言わずにいることはできなかった。
ただの自己満足なのかもしれないけれど。
「………」
しきは周りがざわめく中で、ぐ、と唇を拭った。
唇が切れたのは恐らく、言ってはいけないことを語ろうとした為だろう。それなりのペナルティは与えられるようだ。
「…、……」
しきは、布で口を抑えたまま、僅かに目を伏せた。


 「政宗様!いずこにおわす!」
小十郎は馬をかけさせながらそう叫んでいた。最上領に近付けば近付くほど、何やら寒気のようなものを肌に受ける。
「!」
そのまま駆けていると、小十郎の耳に刃が交差する音が聞こえた。小十郎は、はっ、と顔をあげる。遠くに、爆発が見えた。
「あそこか!」
小十郎は馬の腹を蹴った。

 「誰だ、テメエは…?」
「貴様に名乗る名などない…!」
政宗は三爪で相手の刀を受け、そう尋ねていた。白い髪の間から覗く鋭い目が、政宗を睨みそう吐き出すように叫ぶ。政宗は残りの三爪を抜き放ち、相手を弾いた。
政宗は一人、陣触れを出した後最上領に向かい、接近しているという謎の軍勢を見に行っていた。しかし、最上と相対していたのは、軍勢ではなく一人の男。彼からは、痛い程に怨念を感じ、政宗は彼の正体をなんとなく察した。
仇討ちに来た、豊臣の残党だ、と。
一人奥州に攻めいった男、三成は弾かれた後一旦納刀し、振り向きざまに技を放った。閃光と化した斬撃が飛ぶ。
政宗はそれを上空に跳んで避けた。
「マーヴェラスだ…ハァッ!」
「荒べッ!」
二人が再びぶつかる。激しく刀と刀がぶつかり合い、耳障りな音をたてる。
ぎんっ、と刀が交差し、ぎりぎりと音をたてた。
「許さない…私は貴様を許さないッ!」
三成は刀を弾くとぐ、と足に力を込め、持ち前の速さで政宗の前から姿を消し、後ろに回った。
そのまま一気に政宗に迫る。僅かに驚いたように振り返った政宗の首もとめがけ、刀を振る。

どんっ、とわずかな衝撃波が辺りにとんだ。
政宗は交差した六爪で、三成の刀を受け止めていた。ぎちぎちと刀がなる。
「Fum…悪くねぇが」
政宗は両腕を振り上げ、三成を弾いた。三成は少しよろめき、一回回ってから刀を納め、構えた。
政宗は僅かに笑う。
「奥州筆頭ー…」
「政宗様!」
刀を構えた政宗の耳に、小十郎の声が届いた。政宗は、そして三成も、僅かに驚いたようにそちらを見た。
小十郎は政宗の馬の隣に自分の馬を止め、その場で跳躍すると政宗の右斜め前に立った。
「小十郎、おめぇ、」
「…テメェ」
小十郎は三成を見て僅かに目を見開いた後、刀を抜いて構えた。三成も、目を見開き、ぎり、と歯を鳴らす。
「貴様…片倉小十郎……!」
「Ah?お前の知り合いか」
「…大阪城で、一度」
「半兵衛様の明日を奪った罪…貴様も許しはしない…!」
三成はぎっ、と小十郎を睨むと、勢いよく地面を蹴った。
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