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葱と牛蒡とツインテール33

息を切らせた小十郎の姿に、政宗は盛大に吹き出し、ばんばんと畳を叩いて爆笑した。小十郎の額に青筋がたつが、顔が赤いせいであまり怖くない。
「…おふざけも大概にしていただきたい……」
「別にふざけちゃいね、ぇ、ぶっふふ」
「言いながら笑われまするな!!」
小十郎がぴしゃりと怒鳴るが、効果がない。
しきは困ったように二人を見比べた。こう漫才紛いのことをされても反応に困る。
小十郎は一度咳払いをすると、その場に座した。
「…政宗様、そのようなものは間に合っておりますれば」
「よく言うぜ一人もいねぇだろ、女中」
「女子の手を借りずとも事足りております!」
「(うわぁさっすがイケメン…)」
小十郎の言葉に、はぁ、と政宗はため息を付き、じろり、と小十郎を見据えた。
小十郎は予想外に強い視線を返されたので、ぐ、と詰まる。
政宗はすくっ、と立ち上がるとずかずかと小十郎に歩みより、目前に座った。
「あのなァ。俺がそんっな朴念仁に見えんのか?」
「…と、申されますと」
「お前、アイツにそれなりに惚れてんだろ」
「ッ!」
さっ、と小十郎の頬に朱がさし、小十郎は唇を噛んだ。
そんな反応にしきまで赤くなってしまう。
政宗は、至極真面目に、小十郎に詰め寄った。
「…だけどよ。伊達の腹心ともあろう奴が、身元も知れねぇ身分もねぇ女と夫婦になるってのは、ちィっとばかし外聞が悪ィだろ」
「!!政宗様、な、なにを!」
「Listen!お前だってそろそろ所帯持ってもおかしくはねぇ歳だろが。伊達を守る、それは当然だ。だがそれ以前に!片倉の名も残さねぇとダメだろうが!」

…なんかものすごい真面目な話になってる。
しきは思わずポカンとしてしまっていた。政宗はどうやら、からかい半分などということではなく、大真面目に、片倉の家の事を考えているらしい。
小十郎もそこまでとは思っていなかったのだろう、政宗の言葉に目を見開いている。口がぱくぱくと動いているが、言葉が出てこないようだ。
政宗はふぅ、と息をはくと、真っ直ぐ小十郎を見つめた。
「…アイツをお前専属の女中にしてからのがまだ、外聞はいいとは思わねぇか?」
「ま…さ、むねさま……さ、されど」
「まさか、kissまでしておいて、結婚するつもりはねぇ…とか言わねぇよなァ?」
「うっ…。……お、仰る通りでございますれば…」
「ええっ!!」
「な、なんでお前が驚く!」
政宗の発言に目を丸くしたしきだったが、小十郎の返答に思わず叫んだ。
小十郎が焦ったようにしきを見たが、そのときにはしきはゆでダコのように真っ赤になっていた。
「…け、けっこん………」
かぁー、と赤くなり、もはや湯気が見えそうな程だ。思わず両手で顔を隠す。
政宗はそんなしきを見て、にや、と笑った。
「あいつも結構乗り気じゃねぇか。……お前は自分に惚れてくれた女の想い、無下にするほど無粋な男じゃねぇよなぁ?」
「……」
小十郎はどこか恨めしげに政宗を見た後、少しの間目を伏せ、そしてすぐに開くと、きっ、と政宗を見据えた。
「無論!この小十郎、己の行動の責を取らぬということは致しませぬ!それが惚れた女子ならば尚の事!」
そして、そう言い切った。
惚れた。
はっきりとそう言われ、しきはキャパオーバーしてしまいぺたんと倒れた。
気付いていない政宗は小十郎の返答に、満足げに畳を叩く。
「Ha!よく言った小十郎!それでこそ俺の右目だ!」
「勿体無きお言葉…ん?おい、しきっ?!」
「あぁ?なんで倒れてんだこいつ」
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