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葱と牛蒡とツインテール24




「しき!」

座敷牢に響いた小十郎の声に、小太郎はぴくりと反応し、羽を散らして姿を消した。少しして、僅かに慌てた様子で小十郎が姿を見せる。
涙目で倒れているしきを見て、小十郎は僅かに目を見開く。
「おい、大丈夫か!」
「ひっ、う、うわぁぁぁぁぁ!」
「なっ、お、おいっ」
小十郎の姿を見て安心したか、しきはわぁわぁと泣き出した。小十郎は更に慌ててしきに近寄った。
後ろから、佐助か面白そうに覗きこむ。
「な、泣くんじゃねぇ!何があった、なんで兵が死んでんだ!」
「うわぁぁぁぁふーま怖いぃぃぃぃいい」
「!風魔だと?」
「伝説の忍が?」
「わぁぁぁぁあぁあぁぁぁ」
「!お、おい泣き止め!」
小十郎はどうすればいいのか分からず、わたわたと慌てるばかりだった。



 「…すいません……」
少しして、しきは泣き止んだ。小十郎はほっと息をつき、佐助は面白そうににやにやと笑い、かすがは呆れたように腕を組んだ。
「竜の右目の連れとは思えないな…」
「!!しっ、忍んでない忍に言われたくないし!」
「なっ、なんだと?!」
「!右目の旦那、その子、かすがのこと知ってんの?」
「!」
佐助の言葉に、はっ、としきは反応し、ぷるぷると首を横にふった。
「…見るからに忍んでない」
「ぶっ、確かに」
「っ、猿飛!」
「………、………」
小十郎はしきの反応を意外そうに見た後、ふ、と目を細め、視線を動かした。壊れた数珠が目に入る。
「…あの数珠は?」
「あ…あれはなんか、見張りの人がくれたもので……壊れちゃいましたけど」
「……そうか。付き合わせて悪かったな、猿飛。さっさと探って抜け出すとするか」
「うん、そうだね。その子、大丈夫?」
佐助は小十郎の言葉に思い出したようにぽんと手を叩き、立ち上がった。
「下手に置いていけねぇよ。…はぐれるなよ」
「はっ、はい!」
小十郎は佐助に続いて立ち上がり、しきに手を差し出した。しきはその手に驚いたあと、慌ててその手をつかんで立ち上がった。


 「…これは、」
城内を慎重に進み、四人は作戦本部とみられる場所についた。
机上には何枚もの日本地図が置かれ、様々なパターンと戦術が記載されていた。
「わぁ、日本地図だ…あ、地球儀もある」
「ちきゅうぎ?」
「世界地図ですよ。ほら、これが日本」
「日ノ本ちっさ?!」
地球儀に驚く佐助をよそに、かすがは胡散臭そうにしきを見る。
「…何故分かるんだ」
「同じ形してるから分かりますよ、普通」
「喧嘩を売ってるのか!」
「売ってませんよ、短気は損気ですよ?」
「そーそー」
「調子に乗るな佐助!」
「うるせーぞお前ら」
小十郎は机上の地図を見下ろし、ちっ、と小さく舌を打った。
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