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葱と牛蒡とツインテール31

小田原で小十郎は政宗達と合流し、奥州へと戻っていった。少しして、大阪城は、長曽我部軍の手によって落ちたとの噂が、日ノ本を駆け巡った。
しきは奥州に戻り落ち着いた後、花を摘み、海へと放った。共に来ていた小十郎は、ふ、と目を細める。
「…この海じゃ、奴へとは届かねぇんじゃねぇか」
「いいんです。半兵衛も、私から貰っても嬉しくないでしょうし。……ただ、私が、やりたかっただけですから」
「…、そうか」
小十郎はしきの言葉を聞くと、ふ、と薄く笑った。しきは両手をあわせ、少しの間目を閉じた。
構えをといたしきに、木に背を預けていた小十郎は体を起こした。
「そろそろ俺は戻る。やる事が山積みでな」
「あ、はいっ!すいません、付き合ってもらってしまって」
「いや……」
小十郎は気まずそうな照れ臭そうな顔をかくすように、手で口許を隠す。
しきはそんな小十郎の所作に僅かに顔を赤くさせる。
超意識されてる!!よく考えたらキスされたじゃん私!!
すっかり忘れていた事を思い出したしきは、ぼんっ、と一気に赤くなる。
そんなしきに、小十郎の顔まで赤くなる。
「…あー……えっと…」
二人の間に気まずい空気が流れた時だ。

「よう、随分いい仲じゃねぇか」

「ぶっ!ま、政宗さまっ?!」
「ぎゃあっっ!」
「おうおう、大した出迎えだなぁオイ」
突如、木々の間から政宗が姿を現した。小十郎の声は裏返り、しきは思わず悲鳴をあげ、政宗は楽しそうに肩を竦めた。
小十郎はしきに告白された時レベルに動揺していた。
「ま、政宗様っ、」
「なんだなんだ、大阪から戻ってきた時も不思議に思ってはいたが…二人して顔真っ赤にさせちまってよォ?」
「ご、ご容赦くださいませ…!」
「ようやくお前にも春がきたってか?俺ぁ嬉しいぜ?小十郎?」
「遊ばないでいただきたいっ!」
小十郎は真っ赤になって言い返す。政宗は楽しそうにどぎまぎしているしきを見た。
「よぅ、ちゃんと話すのは初めてだな」
「は、はい……しきといいます…」
「話は聞いてたぜ、家に帰れねぇ野郎だろ?」
「はぁ……」
しきは曖昧に相槌を打つ。政宗はふふん、と笑うと腕を組んでじろじろとしきを見た。
「Hum…で、小十郎?」
「……何でございましょう…」
「お前ら、くっついてんのか?」
「ぶっ!」
「なっ!あ、いや、それは、」
遠慮のない政宗の問にしきは吹き出し、小十郎は驚いたような呆れたような困ったような、変な表情を浮かべた。
そしてすぐに、はっ、となる。
「なあ、どうなんだよ?」
「……真に、面目ない話なのですが………」
「?」
言いにくげな小十郎に、しきもはっ、となる。
よく考えれば、キスはされたが、言葉ではなにも言われていない。
「……しきに言われて、まだ小十郎が返答していない状況でございます……」
「…What?Unbelievable……お前らしくもねぇな、お前から言わなくてどうすんだよ!」
政宗は呆然とした後、ばしっ!と小十郎の背中を叩いた。結構痛そうである。
「しっ!しかし、こういったことは初めてで……!」
「テメェは真田かよ!!pureで生まれっぱなしなのは一人で十分だ!」
「あああああの落ちついでくださーい?!」
ヒートアップする政宗に、しきは思わず止めに入った。
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