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凶姫と龍人 後書

どうも、こんにちは。これにて凶姫と龍人終結でございます。
本当はガストンはガストンらしく死なせるつもりだったんですが、出来ませんでした。だって、ねぇ………?←だまらっしゃい
この後、村の若い衆と政宗は段々仲良くなっていくと思います。若い衆には成実とかいるんじゃあないかな。

ちなみに、フットマンっていうのは使用人みたいな感じの役職。刑部のが長かな…。
ショーファーは運転手の事です。…官兵衛が運転手で大丈夫か?まぁいいや。

その他質問があったら御気軽にどうぞ!
次回は、リクエストをいただきました、片倉小十郎の夢小説をお送りします。とはいえ、正確な骨組みがまだ完成していないこと、明日から大学が始まり、少し落ち着かないことから、次の更新日は
四月十日
と、させていただきます。

どうぞよろしくお願い致します!

凶姫と龍人50

ばたばたと音がして、別ルートから上ってきたらしい元親達が辿り着き、状況に息を呑んだ。
政宗は苦しげに笑う。
「もう一度アンタに会いたかった…」
「やめろっ。弱気なことを言うな、大丈夫だ。こうして共にいるだろう」
三成はそう言って政宗の手を取り、自分の頬に当てる。政宗はそんな三成に力なく笑う。

「………死ぬ前に…また会えてよかっ、た………」

政宗は静かにそう言って、静かに脱力した。手がぼとり、と落ちる。三成は目を見開き、そして政宗にすがった。
「やめろ、逝くな、私を元から去るな…ッ」
声が震え、目には涙が滲む。
ぽたぽた、と涙が溢れるが、政宗は反応しない。

「………愛している……」

三成は政宗にすがり、そう、静かに口にした。
それと同時に、薔薇の最後の一枚が散る。元親達はそれを見、悲しげに頭を垂れた。
家康も背を向けたまま、振り返る事ができない。半兵衛はそんな家康を一瞥した後、ふぅ、とため息をついた。
ぐすぐす、と三成はぐずりながら泣く。その時、不意に空から花火のような光が降ってきた。
「!三成君、」
半兵衛の声に三成は僅かに頭をあげる。ふわっ、と政宗の体が浮き上がった。
「なんでぃ?!」
「!」
「…?!」
夜だというのに異様な明るさに家康も異常を察し、驚いて後ろを振り返る。
政宗の体自身が光を放ち始める。鱗が消え、綺麗な肌が見え始めた。
三成はポカンと口を開けて呆然としている。それは元親達も同じだった。
空から落ちてくる光もだんだんと強くなっていく。一際強く光ったと思ったら、政宗の体が静かに床に落ちた。
「……」
三成は呆然としたまま、政宗に手を伸ばす。びくっ、と政宗の体が跳ね、思わず手を引っ込める。政宗は、ゆっくりと体を起こした。
自分の手や体をキョロキョロと見下ろし、勢いよく三成の方を振り返った。
端正な顔立ちをした、青年の姿がそこにあった。
「……三成!」
「…政宗…貴様なのか!」
三成の顔がぱぁ、と明るくなり、嬉しそうに抱きついた。二人は静かに見つめあい、どちらからともなく、唇を重ねた。
その瞬間、降ってきた光が更に強くなり、光が城全体を包み込んだ。
凶悪な外装だった城は柔和な外装に代わり、全体的に明るく輝く。
「呪いが…解けたのか」
家康は急激に変わる回りの様子を見ながら呆然と呟いた。
元親達は歓声をあげながら政宗に駆け寄った。彼らも光が包み込み、元の姿へと戻った。元親はフットマンの姿へ、小十郎は執事の姿へ、元就はメイドの姿へとそれぞれ戻ったのだ。
「お前ら…!」
「元に!戻った!!」
「ぐっ、ふ、苦しいぞ長曽我部!」
「政宗様…!」
「義父上ー!」
幸村の声がし、官兵衛に乗って吉継と幸村が駆けつける。光があふれ、三人もそれぞれの姿に戻った。
「おっと」
「ぐふっ!お、重い…!」
元親と同じ、フットマン姿の吉継は戻る拍子に跳ねた幸村を抱き止め、ショーファーの官兵衛はそんな彼の下に潰されていた。
政宗の顔が輝き、政宗は小十郎や元親達を抱き締め、三成に振り返ると思いきり抱き締め、笑いながら、そのままくるくると回った。




 数ヵ月後、城でパーティが開かれる。三成達の村の若者も招かれていた。その中心で踊っているのは、結ばれた三成と政宗だ。
二人は幸せそうに笑いながら踊っている。
「はぁーいいなぁ…」
外野から眺めていた元親はそんな二人を見てぼんやりと呟く。
そこへ元就が通りかかり、腑抜けた顔をしている元親をぺちんと羽箒で叩いた後、意味深な笑みを浮かべて離れていった。
元親はにやにやとしながら元就を追おうとしたが、小十郎に邪魔された。
「今は仕事中だ、後にしやがれ」
「かーっあんなん見せつけられて黙ってられっか!」
「昨日もおあついことをしていたんだろ?一日くらい我慢しろ、全く」
「ちょっと待ってなんで知ってんすか!!」
別の場所では、半兵衛と家康、そして吉継と幸村が並んで躍りを見ていた。幸村は少し飽きたのか、吉継に遊んでもらっている。と、いっても、吉継が幸村の両手を持ち、くるくると回っているだけなのだが。
「…幸せそうだな」
「…そうだね」
「きっとワシではあんな笑顔にはさせてやれなかっただろうな。ワシはこの場には不釣り合いだな、やっぱり帰るよ、半兵衛殿」
「ヒヒッ、まぁそういうでない。王子からの招待を無下にするつもりかァ?」
帰ろうとした家康に吉継が止める。家康は半兵衛と顔を見合わせ、思わず苦笑する。
吉継にぶら下がってぶらぶらとしていた幸村は吉継の足に抱きつき、くいくい、と引っ張る。
どうしたよ、と吉継は言い、幸村を抱き上げた。
「二人はいつまでも幸せに暮らすのでござるか?」
「ん?ふふ、そうよなぁ、不器用な者同士、なかよう暮らすであろうよ」
「…義父上ー、某はまだ食器棚で眠るでござるか?」
「はぁ?…ひゃっひゃっひゃ、愉快なことを言う童よな、全く」
幸村の発言に、三人は、ははは、と笑う。
仕事が一段落していた官兵衛は、料理長の久秀とのんびりと厨房で過ごしていた。

パーティはいつかは終わるが、幸せなときはいつまでも続く。

これはそんな、とある二人の奇妙な恋の物語。



ーENDー

凶姫と龍人49

「お前…そんな若い…のか…」
「あぁ?俺は今年で19だぞ」
「?!」
家康は驚いて政宗を見た。家康は政宗と同い年だったからだ。
政宗は、どうでもいいか、と呟くと家康を戻した。呆然と自分を見上げる家康に、政宗はつまらなそうにふん、と鼻を鳴らす。
「…帰れ。二度とこの城に来んな」
「……あ……」
「俺はアンタ達になんの興味もねぇ。今更何なんだ。石田だって返しただろ。もうほっといてくれよ。過去のことなんざ、もうどうだっていいだろ」
「!」
「政宗!」
上のバルコニーから三成の声が響いた。政宗はそちらを振り返り、どこか嬉しそうに笑みを浮かべる。家康も三成を見上げ、だがすぐに視線をそらした。
政宗は家康の攻撃で崩れていたところから軽々と上に登り、三成の手をとった。
「…まさかまたアンタに会えるとはな」
「政宗…」
三成もどこか嬉しそうに笑う。
だがその時。
「がっ!」
政宗が呻き声をあげ、がくんと膝をついた。腹には最上の剣が貫通している。
三成はぎょっとしたようにそれを見、即座に刀を構えた。
「貴様ァァァッ!!」
三成は剣を抜いた最上めがけて刀を振った。最上は慌てて避け、追撃を剣に受けた。
家康もその様子にはっ、と我に帰り、政宗と同じように上の階に登る。
三成は振り抜いた刀を最上の首目掛けて突き出す。最上は顔をのけぞらせてそれを避け、後ろに下がる。
器用に避けていく最上に苛立ちながらも三成は追撃を続けた。横一文字に刀を振り抜いた時、最上が下から剣を振り上げた。予想外の攻撃に反応が間に合わず、剣は三成の刀の鍔に直撃し、刀が手から飛んだ。
「!」
「残念だがね齊藤君、政宗君には死んでもらわないと困るのだよ」
「…ッ貴様等のくだらん理由だけでぇっ!」
「くだらなくなどないのだよ、我輩にはねッ!」
「うあっ!」
素早く剣を返した最上の突きをなんとか鞘で防いだが、意外な重さに三成は弾かれ後ろに転んだ。
最上は政宗にとどめを指そうと剣を振り上げる。
「やめろ最上!」
登りきった家康が二人の前に立ち塞がった。三成と最上は驚いたように家康を見る。
家康はどこか泣きそうに顔を歪め、ぐ、と拳を作った。
「…すまん。だが最上。ワシはお前の為に彼を倒しに来たんじゃない。村の為だ。だけど、彼はお前が言うような奴ではなかった。…殺す必要はない、それが分かった」
「家康…」
「…三成、許してくれとは言わない、お前ではなく最上達を信じたのは確かだ。…最上、もうやめろ。お前が彼を殺しても、過去のことは何も変わらない」
「…っ」
最上は家康の言葉にう、とつまり、しばらく家康と睨みあっていたが、逃げるようにその場から離れた。
三成ははっ、と我に帰り、倒れている政宗に駆け寄った。
「政宗…ッ」
「…石田…三成………」
「すまない政宗、私のせいだ…ッもっと早く戻ってきていれば、」
「……いや、これでよかったのかもしれねぇ…」
「やめろ、そんなことを言うな、きっと大丈夫だ、諦めるな、」
三成は政宗を仰向けにして、上半身を抱き抱える。家康は二人を見た後、頭を垂れて背を向けた。

凶姫と龍人48

恐らく最上が破壊したのだろう、階段が一階分丸々ない。小さな小十郎達には太刀打ちできないのだ。
小十郎は忌まわしげに階段の残骸を蹴り飛ばした。
「くそっ!こいつのせいで上に行けねぇ!政宗様…!」
「なるほど、立ち往生するわけだ。三成く……が、、うっ」
「!」
半兵衛が何か言おうとした時、不意に噎せ、胸を抱えて膝をついた。三成は、はっとして半兵衛に駆け寄る。
「半兵衛様、やはりまだ…ッ」
「…くっ……そ…。………三成君、よく聞いて」
半兵衛は、ぐ、と拳を作ると、三成の腕をつかんだ。半兵衛は腰に下げていた剣を取り、三成に押し渡した。
「使い方は知っているね?」
「え…は、はいっ」
「いいかい?伸ばして、戻すんだ」
「へっ?な、なに言ってんだ?」
元親は半兵衛の簡単すぎる説明にすっとんきょうな声あげた。
「伸ばして…。……はい!」
「分かったのかよ!あでっ!痛いぜもとなりぃ」
「喧しいぞ貴様、黙っておれ」
「はーい」
三成は半兵衛に渡された剣をぐ、と握る。自分の刀は腰に下げ、崩れた階段の先の柱に狙いを定め、剣を振るった。
じゃらら、と音がして剣が伸びる。小分かれした剣のパーツの、中心にワイヤーを通すことで伸縮することが出来るのだ。
伸びた剣は上手いこと柱に絡み付き、三成は剣を元に戻させた。柱に絡み付いているから刃は三成の方に戻るのではなく、三成が柱の方へと引き寄せられた。
「!すげぇ」
柱に衝突する直前に剣から手を離し、転がることで勢いを殺して床に着地する。
「行くんだ、三成君!」
三成は半兵衛の言葉に背中を押されるように、腰に下げた刀を左手に握ると外から見えた戦闘場所目指して地面を蹴った。



 バキッ。嫌な音がして家康の槍が中央で折れた。家康は舌打ちして槍を投げ捨て、拳を構えた。政宗はつき出すように来た最上の攻撃をよけ、二人に向かって雷玉を飛ばす。
家康は跳躍して、最上は走って逃げて避けた。家康は跳躍した空中で拳を構え、落ちると同時に拳を叩きつける。
ミシッ、と音がして床に亀裂が入り、政宗は嫌そうに笑った。
「壊してくれんなよ、城に罪はねーだろ?」
「……楽しそうだな」
「楽しい?何言ってんだ、楽しくなんかねぇよ。だけど、はっきりと分かったことがあんのさ」
「なんだと?」
「アンタに石田を任せちゃおけねぇってことだ。You see?」
「……黙れ!」
家康はぎり、と歯を鳴らすと、強く地面を蹴った。
政宗と家康の肉弾戦が始まる。政宗は肌が普通より固い分、家康は小手をはめている分、互いに有利だ。互いに相手の拳を腕に受け、流し、そして殴りかかる。最上は離れたところで様子をうかがっている。
「Ya-ha!!」
「うおおおお!」
家康の拳を首を傾げて避け、それを掴むと政宗はバルコニーから飛び降りた。
「!」
家康は1つ下の階のバルコニーに叩きつけられた。かはっ、と乾いた息が漏れる。上になった政宗はいつの間にか笑顔を消し、家康の首をつかんで持ち上げると、腕だけバルコニーから外へつきだした。
「…ッ……ふ…」
首を掴まれているのでうまく息ができない。政宗はじ、と家康を見た。
「…アンタ、見ねぇ顔だ。昔、gentleman達が来た時にはいなかった。ってぇことは、俺と同じくらいか下か、アンタ」
「………………。え?」
政宗の言った言葉に、家康は僅かに目を見開き、なんとか首を動かして政宗を見る。
そんな家康の表情に政宗はにやっ、と笑った。

凶姫と龍人47

「どうした、かかってこい!優しくなりすぎて戦う勇気もないか!」
家康の激昂にも、政宗は反応を返さない。とにかく、無気力だった。
家康は再び政宗の襟首を掴むと、さらにバルコニーの端へと投げ飛ばした。ごろごろと政宗はバルコニーを転がる。
「…もういい、お前がそんなつもりならこのままここで終われ!」
家康はそう叫ぶと、最上が引き抜いて持っていた槍をとり、逆手に持って振り上げた。

「止めろ家康!!!」

その声は、静かになっていた城に響き渡った。政宗の瞳に光が戻る。
「石田……!」
政宗と家康の視線が城門へ向いた。そこには、半兵衛と三成の姿があった。三成は政宗の無事を確認し、ほっ、と息をついたが、家康と視線があうと顔を歪め、家康を睨んだ。
そんな三成の表情の変化に、家康はぎり、と歯を鳴らす。
「…っ…ああああああ!」
「!伊達!!」
家康は吠え、槍を降り下ろした。三成が叫ぶ。

がきっ。
槍は政宗には刺さらなかった。直前に政宗が体を回し、避けたのだ。
政宗はその勢いで、起き上がると同時に家康の首をつかんだ。
「!」
家康はとっさに政宗の手を払い、後ろに跳んだ。政宗は腰を落とし、両手を交差して前に構える。
「………フッ」
政宗は息を吐くと同時に地面を蹴った。家康もそれに合わせて槍を回し、地面を蹴る。
政宗と家康が交錯する。政宗は腕で槍の木の部分を受け止め、片方の手で刃を掴む。
家康はすぐさま槍を引き抜いて、槍を持っていた右手を右回しに回し、柄の部分で政宗の顎を狙う。政宗は顔をのけぞらせてよけ、その勢いでバク転し、右手を顔のとなりに構えた。
バチバチッ、と右手が雷を帯びる。家康はその雷に、小さく笑った。
「雷を操るのか。全くもって化け物だな!」
「……言ってろ。こんな雷だって、最初は持っちゃいなかった。出るようになったのも、結構最近だな」
「?」
急に流暢になった政宗に、家康は眉間を寄せる。政宗は、ぎろり、と家康を見据えた。

「この雷は、怒りの雷だ。過去の俺への、gentleman、アンタ等へのな」

政宗の言葉に、家康はちら、と最上を見たが、気にせず槍を構えた。



 「片倉!刑部!官兵衛!長曽我部!毛利!」
「!姫さん!!」
「義父上!只今戻りましてござりまする!」
「!幸村!主に言いたいことはやまほどあるが、それはまた後よ!」
一方、城のなかでは三成達が小十郎達に合流していた。何故か階段下に集まっている。
半兵衛は怪訝な様子で彼らに視線を合わせるように屈んだ。
「どうしてここに?彼が戦っているのはもっと上階だ」
「!やはり政宗様が戦って……!」
「だ、大丈夫なのか?!」
「なんとかね、今は対等にやりあってる」
半兵衛の言葉に小十郎達はほっと安堵の息をつく。そして半兵衛は、小十郎達が階段下に集まっている理由がわかった。
階段が、破壊されていたのだ。
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