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2014年

こんばんはみなさま。

2014年、最後の日となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。今年も残り30分をきりました。

今年は最後の最後で、更新が不定期かつほぼ止まった状況になってしまい、申し訳ありませんでした。

今年は実質、三作品をあげることになりましたね。去年から続いたふざけた現パロに、久し振りのCP、家康の明るさの少ない夢小説。
最後の左近の話は、ぐたぐだになってしまいましたが、多忙は一旦1月で途切れますのでいましばらくお待ちいただけますと幸いです。

さて。
来年ですが、私受験勉強がまた始まります。というより、正確にはもう始めておるのですが、再来年の7月にある試験を受けます。
こういってしまうと分かってしまう方も多いかと思いますが、まぁそれはそれで。

そういうわけで、来年の夏で再び、試験が終わるまでの一年、更新を止めさせていただきたいと思っております。
その間に今の話を終わらせ、1つ2つ、作れたらいいなぁと思っています。

試験が終わった後どうなるのかはまだ分かりませんが、うまくいけば更新は続けていきたいと思っています。

またその時は再度ご報告させていただく所存です。

今年一年、本当にお世話になりました。
しがない文ではございますが、お付き合いいただけて本当に嬉しく思っております。
来年も、よろしくお願いいたします。

皆さま、よいお年を。

賽と狂犬、希望と亡霊25

左近達の隊は、慎重に織田の別動隊を囲むように、その後ろと側面についた。
タイミングを誤れば左近達の存在はばれ、別動隊にすぐさま攻撃されることとなる。この作戦は、攻撃するタイミングが非常に大事なポイントとなっていた。
「ーーーー」
重ねて言うが、左近は近接戦闘タイプだ。飛び道具はろくに扱ったこともなくその扱いにはなれていないし、得意でもない。それ故に、今回の初撃、もっとも大事な一撃は配下の兵に任せてある。
下手をすれば隊の命運をも握ることになる初撃に、緊張を見せる配下に左近は笑ってこう言った。

ー最悪失敗してもいいって。お前らを簡単に死なせたりしねーし、帰ったら三成様には俺が怒られっから
たとえ失敗したところで負ける気はないし負けなどしない。だから下手に気負わずに一発勝負に向かっていけ。
左近は暗にそう言っていた。その言葉に嘘が見えないのだから大したものである。

そうだからか、左近は側面にいるその兵の側にいることはしなかった。後方についた部隊の先頭にいた。
まさに斬り込み隊長。その自負と、実力。
左近のその大一番を前にした落ち着きと自信に、周りの兵が不安を抱いている猶予などあるはずもなかった。
織田の本隊と、小隊が合流して動きを止める。将の一人が隊を離れ、明智光秀とおぼしき人影に近寄っていく。

「ーーー行くぜ!」

左近がそう言うのと、銃弾が本隊に撃ち込まれるのはほぼ同時だった。
「なんだ!?」
動揺が瞬く間に織田の軍隊に広がっていく。その動揺を押し潰すように左近達が踏み込んでいく。
「…………!」
大騒ぎの中、一人動揺すら見せていなかった勝家が抜け目なく左近の姿を見つけ、その顔をようやく歪めた。
驚愕に慌てふためく他の兵を弾き飛ばすように、ブォン、と音をたてて勢いよく逆刃薙を振り回す。
「!!」
左近もその音に勝家を見つけ、にっ、と笑った。軽々と付近の兵を斬り伏せると、勢いよく地面を蹴って勝家に迫った。勝家もそれに応えるように逆刃薙を振り回しながら地面を蹴った。
ガィン、と鈍い音と激しい衝撃を伴って二人が衝突した。勝家は刀の隙間からぎろりと左近を見据える。暗い瞳に漸くうっすらと光が宿っていた。
「よっ、驚いたか?」
「……………」
勝家は左近のおどけた問いには答えず、左近を弾き飛ばした。左近は飛ばされた宙でくるりと一回転し、勢いを殺しながら着地する。直後、槍のように逆刃薙を構えて突っ込んできた勝家の攻撃を、刀を振り下ろして弾く。
勝家は勢いを自分の足で殺し、叩き落とされた逆刃薙をそのまま斜めに振り上げた。左近はその場で跳躍し、空中でバック転して再度それをかわす。
「…ッ」
勝家はそのまま手首の内で回転させて、逆刃薙をぐるぐると回転させながら踏み込んだ。器用に自分に当たらないように回すものだ。
「っ、」
左近はそれを前に組んだ刀で受けながら後退する。しばらく攻撃を受け続け、回転の隙間を見切るとその隙間目掛けて刀を突っ込んだ。
「くっ!」
左近に見切られると思わなかったのか、胸元の鎧にモロに攻撃を食らい、数歩よろめきながら下がった。
左近も無理な攻撃で少なからず攻撃のダメージを受けたか、追い込みはせずぷるぷると腕を振っていた。
「…なるほど、貴様……」
ぽつり、と勝家が呟く。その表情は苦々しげで、左近の目的を見抜いたようだった。
左近はやはり、それに挑発的な笑みで返す。
「さすがに織田の本隊となると、この面子じゃ勝ち目がないに等しいからな。そんな損害も出したくねーし?」
「……………」
「あれっ、卑怯だー、とか、言わねぇの?」
「その程度の策を労することは当然だ…信長様に勝てるはずなどないのだから」
「……………」
左近は勝家のその言葉に笑みを引っ込めた。
勝家の言葉が、自軍の大将を誉るものではなく、どちらかというと恐れるような声色であったことに、違和感と、不快を覚えたからだ。
左近はくるくると刀を手で回し、ぱん、と掴み直した。

賽と狂犬、希望と亡霊24

そのまま三者はお互いを追いたてることなく、それぞれで撤退していった。ただ一つ豊臣は、それ以外の軍に斥候をつけることに成功していた。


ー貴様は織田の尾を叩け。
三者の衝突があった翌日。左近は三成にそう指示を受け、自分の隊と豊臣の隊いくらかを連れて織田軍の後を追っていた。三成達は同様に伊達の後を追っているはずだ。
三成と共に行けないことは不服ではあったが、「私の信頼を裏切るな」と言われてしまってはそうも言ってはいられまい。左近は意気揚々として、一翼を任せられたこの作戦に向き合っていた。
「隊長、織田の隊は本隊と合流するようだ」
「…ち……そいつァ面倒だな」
だが、左近のところへ飛び込んできたのは、斥候からの悪い報せだった。
相手は織田の一小隊に過ぎないからと、左近の手勢は少なかったのだ。だがそれも織田の本隊と合流するとなると話が変わってしまう。相手はただの一小隊ではなく、豊臣と互角に渡り合う大軍勢なのだから。三成がいたとしても厳しい相手だ。
「どうする隊長?」
左近は隊の進行を一旦止めた。

左近が連れている兵は皆足は速い方だ。だが、短い時間で本隊と合流する前に叩き潰すだけの攻撃力はない。だがみすみすと本隊と合流することを見逃しては三成の信頼を裏切ることになってしまう。

「…今から仕掛けたとして、そう数を減らせるとも思えんが」
左近の配下のなかでも、比較的頭の回る男がそう口にする。何人かは賛同するように頷いて見せた。仕掛けるのは無謀だと、そう言っている。
それくらいは左近でも分かっている。左近は薄く目を細めた。どうしたものかと、短い時間でしばし思案する。
「…いや、仕掛ける。だけど叩くのは本隊の方だ」
「なっ!?それは尚の事無謀だ!」
左近の言葉に、他の面子はざわざわとざわめく。当然だろう、ただでさえ今打って出るのは危険だというのに、この男はそれ以上に危険な本隊を叩くというのだから。
ざわめくなかで、左近はぽんと手を叩いた。その顔に無謀の色など一つもない。むしろ、いいことを思い付いたとでも言いたげなくらい、にこにことしていた。
「いや、仕掛けるには最高の機会だ。あの隊が合流した直後、遠距離から仕掛ける」
「…?」
続いた左近の言葉に、やはり隊はざわめいた。近距離戦闘のスタイルを取りそれを得意とする左近が遠距離戦闘のスタイルを提案したというのも、彼らの混乱を助長していた。
そのざわめきを止めたのは、仕掛けるべきでないと提案した男の、「あ。」という間の抜けた声だった。
男は左近を見、にやりと笑った。
「なるほど?」
「?な、なんだよ」
「つまりアンタはあの隊が合流するのと同時に攻撃を浴びせることで、あの隊が“裏切ったのかもしれない”っつー混乱を起こすつもりなんだな?で、混乱のどさくさで俺たちは逃げる、と」
左近はそれに、にっと笑って返した。
おぉ、だの、あぁ、だの、どよどよとそれぞれの反応が上がる。左近は刀を抜き、肩にかついだ。
「反論のあるやつは?」
左近の部下は、時の声を上げる事でそれに返した。

賽と狂犬、希望と亡霊23

「撤退の命が聞こえんのか!!この耄碌者が!!」
「…………」
「撤退……ッ、三成様!!」
勝家はそう怒鳴りがなる味方の将の言葉に、即座に左近から離れた。その一言で、彼のやる気は一瞬にして消え失せたらしい。
左近はそんな勝家に一瞬ムッとした表情を浮かべたが、織田軍撤退の報せだという事にすぐ意識を回し、三成の名を叫んだ。
「!」
三成はちょうどその時、政宗を大きく弾き飛ばした瞬間だった。政宗の体が宙を舞っている。どうやら二人の勝負は、三成の勝利で片がついたようだ。
三成は左近の声にぐるりと周りを見渡す。撤退の動きを見せる織田、トップがやられたことで動揺を見せる伊達。どちらも攻める好機ではある。
「……」
だが、豊臣の兵も織田と伊達の二大勢力を相手にして疲弊している。犠牲も決して少ないものではない。
三成もそれは承知していて、いくらチャンスとはいえ、この状況での無闇な追い討ちは仇となることを理解しているらしい。
「三成、今は納めよ」
そこへ、ずばり斬り込むように吉継の声がした。
いつの間に来ていたのか。上空からふわりと三成の隣に降りてくる。左近は訝しげに吉継を見やった。
「…今まで何してたんだ、あの人」
このタイミングで直ぐ様現れたということから見ても、現状を傍観していた可能性が高い。三成が負けることなど無いにしても、前線に来ておいてそれはいかがなものだろうか。
左近はふとそう思ってしまったが、生憎三成はそのようなことを気にする質ではないらしい、吉継の言葉に少し思案した後、頷いた。
「左近!」
「!はいっ!」
三成が大人しく吉継の言葉に頷いたことに不満を抱いた左近だったが、そんな不満もすぐに名を呼ばれたことであっさり飛んでいった辺り、我ながら現金なものだと思いながら左近は三成に駆け寄った。
三成は左近の耳元に顔を寄せた。
「斥候を用意しろ。どちらも尻尾をつかめるようにしておけ」
「え?…俺が、っすか?」
「当然だ。でなければ呼びなどしない。さっさとしろ!」
「は、はいっ!」
左近は三成の言葉に驚いたように三成を見たが、みるみる険しくなる三成の表情に慌てて踵を返した。

斥候なら自分の配下になったばかりの彼らを使えばいいだろう。その辺に向いていそうな面子は何人かいる。
あとは時間だ。撤退が始まってからのでは遅い。

「っと!!」
左近は勢いよく地面を蹴った。その場から離脱し、置いてきた自分の隊の所へ行くためだ。
その直前、ちらりと撤収する勝家に視線をやる。ちょうど勝家もこちらを見ていたようで、ばちりと視線が合う。
「…」
左近はにっ、と笑って、抜き身のままだった刀を一瞬勝家の喉元に向けて構えた。そしてすぐに、目的を果たすべく、その驚異的な脚力で地面を蹴り、あっという間にその場から姿を消した。

賽と狂犬、希望と亡霊22

またしばらく拮抗が続く。
勝家の攻撃は先程より鋭く重い。だが左近は強くなった攻撃を先程までと同じように凌ぎきる。
勝家が殺る気を出したところで、左近もまた本気を出しただけに過ぎなかったというところだろうか。
ぎん、ぎん、と鉄がぶつかる音がする。
「…っと!」
左近はひときわ強く勝家を弾く。せめぎあいで少し体勢が悪くなっていたためだ。仕切り直しをするために一度離れる。
勝家はそれを許さんと言わんばかりに踏み込んできた。勝家にとってはこのまま体勢を崩した方が都合がいい。
左近はそれを予想していた。
「!」
勝家が振り抜いた逆刃薙をすんでで交わし、体勢が直りきる前に左近から踏み込む。不格好ではあったが、勝家の間合い内に踏み込めた。
「はーっ!」
左近は不格好な姿勢から無理に刀を振りかぶり、勝家の膝目掛けて斬りつける。足は白兵戦では何よりの資本だからだ。
「……くっ…!」
勝家はとっさに狙われた足を振り上げた。膝より下、脹ら脛には防具がある。そこで左近の攻撃を受けたのだ。
左近も無理な姿勢からの攻撃であったが為に威力は弱く、骨を折るほどの威力はなかった。その攻撃は勝家をよろめかせ、後退させるに留まった。
「くそっ、」
「ぐっ、」
勝家は中途半端なところで横殴りに殴られたことで、たたらを踏んで左近から距離をとる。左近も勢いを殺しきれず、ごろごろと転がって体勢を直す。
「………」
勝家はいまいましげに左近を見つめた。思ったように戦えないことに苛立ちを覚えているのだろうか。
一方の左近は楽しげだ。この二人の戦いに対する態度は、その内大きな差になってくるであろうことは簡単に予想できた。
「…一つ尋ねるが」
「一つといわずにどーぞ」
「噂話を聞いて、といったな。何故それで私に会うことを望んだ…?」
「…それを言っちゃあ面白くないっしょ。それに俺はまだ、アンタのことをよく知らねーからさ。まだそれは内緒さ」
「……そう長くお前に付き合う気はない…!」
勝家はそう言うなり勢いよく地面を蹴った。
左近もそれに応えるべく同様に地面を蹴った。
お互い体当たりのようにぶつかり合う。ぎちぎちと互いの武器が悲鳴をあげる。
勝家は黙したまま、左近は楽しげに笑ったまま、近距離で互いに互いを見やる。
お互いの考えを探るように。お互いの思惑を潰すように。
「勝家ぇ!!何をしておるかァ!!」
「「!」」
だが、二人の戦いは思わぬところで終わりを迎えることになる。
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