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葱と牛蒡とツインテール26

「あ、あの、重いんじゃっ、」
「下手にてめぇと離される方が面倒だ!てめぇごときの重さ、大したこと、ねぇッ」
「ひゃあっっ!!」
キィン、と刀が弾かれ音をたてた。しきはびくっ、となり小十郎にしがみつく。
小十郎は膝下を抱えるようにしきを抱き抱え、逆手に刀を構えた。小太郎にしきを殺す気はないらしい、小十郎を狙い攻撃してくる。
「旦那ッ!なんでその子が狙われてんの!」
「…それは…ッ」
小十郎は困ったようにしきをちらりと見た。
小太郎の攻撃を弾き、佐助からも距離を取って、小十郎は小さな声で尋ねた。
「…言っていいのか。何だか、隠そうとしているみてぇだったが」
「!……、……」
しきはぐ、と拳を作ると、小太郎の方を見た。
「お、教えないから!何も話さないから!」
「!」
「は…?」
小十郎は驚いたようにしきを見、佐助はしきの言葉に眉間を寄せた。
小太郎はぴくり、と反応する。
「私は、何も言わない!何されても教えないもん!だって、あんな人に教えたら、ろくなことにならないもん!!」
「……………………」
小太郎は反応しない。
しきはぐ、と唇を噛むと、小十郎の腰に下がっている六爪を見つけ、それをさっと抜くと自分の首に向けた。
「話すくらいなら…松永に捕まるくらいなら、ここで、し、死んでやる!!」
「!おい、」
「帰って!!私は、あんなのの玩具にならないから!!」
しきは、震えを隠し、精一杯、そう怒鳴る。小太郎はじ、としきを見据えた。
「何者だ!!」
「!兵か、」
そこへ、どたどたと騒々しい足音が聞こえる。城に残っていた兵が、押し寄せてきたようだ。
小太郎は不利と判断したのか、刀を納めると、もうひとつの目的の刀をもって姿を消した。
「右目の旦那!詳しいことは聞かねぇけど、さっさと逃げるぞ!」
佐助は小太郎が引いたことを確認すると、部屋の穴から外へと飛び出し、同様に姿を消した。
「飛び降りるぞ」
「へっ?!わ、わぁぁぁっ?!」
小十郎も外へ出、下の階の屋根へと飛び降りた。しきは慌てて小十郎にしがみつく。
小十郎は下の階に兵がいないことを確認すると、しきを降ろし、手を掴んで下の階に向かって走り始めた。転びそうになりながらも、しきは小十郎について走った。
「あぶねぇ真似を!畑でのことといい、なんでおめぇはそう無鉄砲なんだ!」
「ご、ごめんなさいっ!で、でも、正直松永に捕まったら、黙り続ける自信無くて…!これからの事なんて、話しちゃいけないじゃないですか…!」
「なんで松永の目的がそれだと?野郎は知らねぇはずだろ!」
「それ以外で私を狙う理由ってあります?!」
数人の兵に遭遇したが、仲間を呼ばれる前に小十郎が叩き伏せる。
「知るか!!俺を脅す、だとか」
「そういうのって恋人とか奥さんでしょう?!」
「!…、……それは、そうだけどよ」
「?」
しきの言葉に、小十郎が一瞬詰まった。しきは不思議そうに小十郎を見たが、小十郎はすぐに顔をそらした。
「何はともあれ、まずは政宗様の所へ行くぞ!お前馬は?!」
「へっ?!乗ったことありません!」
「ちィッ!仕方ねぇな!」
二人は城の本丸の外に出た。馬があるであろう方へと走る。
その時、二人の耳に騒々しい声が届いた。
「な、なんだ?」
「!長曽我部軍の人が捕まってたはず、」
「…ならちょうどいい、野郎共にしんがりを受けてもらうか」
「意外とちゃっかり!」
「うるせぇ軍師なんてそんなもんだ!」
小十郎は地下牢のようになっている牢の扉を開き、縄を垂らすと、そのままその場を離れ走った。
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