スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

聖なる夜のハプニング7

「えっらい憎んじゃいるのに口出しゃしねぇが、その代わりアンタも愛し合ってるのに口出ししねぇでくれよ。いくら似てるっつってもうちの家康は女だし。家康も家康でキレると怖いし。石田の愛重いし」
「待て後半ただの文句だろう貴様」
「つーか、これ以上騒ぐんなら警察呼ぶぜ」
「申し訳ない………」
「………………」
「三成、」
徳川は無言で三成を見る石田にそう声をかけたが、石田は何も言わなかった。
三成はむっとしたように顔をしかめたが、何か察したか、何も言わなかった。政宗はまた肩をすくめた。
「で!大谷さんトコにも四人出たみたいだぜ」
「!」
「なん…だと…。平気なのか」
「スカイツリーに腰抜かしてなんとかなったとよ。でもそいつら泊めるのに部屋ないからお前帰ってくんなって」
「なんだと」
「そうだよ、こいつら宿どうすんだよ」
二人の会話に、しがみついた家康をずるずると引き摺って元親が姿を見せた。四人はうーん、と唸る。
「…ていうかほんとにこれだけか?まだいたらどうする?」
「えーこれ以上はねぇと思いたいけど……」
「黒田のネーサンのとこにいた奴が佐助ーとか叫んでたらしいから、もしかしたらさっちゃんとこも出てるかも…?」
「さ、さっちゃん……」
「ヤスだのチカだの面白い呼称だな……」
伊達と長宗我部は思わず顔を見合わせてしまう。元親はまたスマートフォンを取り出し操作し始めた。家康はその頃漸く元親から離れ、三成の背中にくっついた。まだ立ち直れていないようだ。
「吉継の所に出たということは、官兵衛と…」
「ナリちゃんとユッキー」
「おい伊達さん、えーと、大谷吉継と黒田官兵衛と毛利元就と真田幸村っていう奴ら知ってっか?」
「ナリちゃんって毛利か!!」
「知ってるぜ、皆まぁ四人もいる状況で全部西軍だったのはせめてもの救いか?」
「……真田がいりゃ大丈夫、だと思いてぇな」
「何、そんなあぶねぇの?」
「毛利と真田は帰るはずだし、吉継と官兵衛なら大丈夫だろう」
三成の言葉に元親は納得したように頷き、またスマートフォンに目を落とした。家康は意外と大事になっているらしいと判断し、三成の背中から顔を出した。徳川がそれに気がつき、頭を下げた。
「さっきは申し訳なかった、家康殿」
「………別に…気にしてない」
「あからさまな嘘をつくな」
「うるさいうるしゃーい!男前はお前には分からないだろ三成ぃぃ!」
ばっ、と家康は三成から離れ、指を突きつけてそう叫んだ。三成はわずかに眉間を寄せ、不機嫌そうに唇を尖らす。
「……そんなことはない」
「そうだぜ 三成昔は女の子によく勘違いされててさぁ。保育園の学芸会で女の子足りなくて女の子役やってたんだぜぇ」
「なんだそれ見たい」
「顔が怖いぞ家康」
「あ、さっちゃん?そうそう、いやちょっと聞きてぇことあってよー。そっち変な人出てない?……出てない、あ、そう!ん?いやーちょっとね、今度説明するわー、はいはーい」
その時にちょうど佐助が電話に出たらしい、だがそちらには現れなかったようだ。
元親は電話を切ると腕でばってんを作った。政宗はふむ、と小さく頷く。
「…他に何か心当たりは?」
「んー…刑部が来ていることを考えると…忠勝とか片倉殿とか…?」
「え?忠勝はワシの実家にいる犬だぞ」
「犬!!!」
「アンタ、小十郎って奴知ってるか?」
「あー、片倉小十郎知ってる。俺の先輩」
「先輩かよ!」
「じゃあそっちも確認すっかー」
元親の言葉に家康と政宗は頷き、二人ともスマートフォンを取り出しそれぞれ連絡し始めた。
三成はふむ、と呟いて腕を組んだ。
「ひとまずはこいつらをどうするかだな」
「大谷さんとこはもう無理か?」
「押し込めば入ると思うが」
「…あなたと大谷、さんは、どういう関係なんだ?」
不意に、徳川がそう尋ねた。

聖なる夜のハプニング6

「なんか紐で縛ったって聞いたけど」
「事情は知らんが他人の家の居間を平気でこれだけ荒らす者共だからな、真剣も持っていたし…何より目を覚ましたらまたやり合おうとしていたからな。今一発殴ってきたところだ」
「ぶっ、ははは!Good Job!じゃ、例の二人はアンタらに任せるぜ、独眼竜と西海の鬼さんよ?」
ひとしきり笑った政宗はちら、と二人を振り返りそう言った。二人は小さく頷き、三成が出てきた部屋に入っていった。
三成は二人を見送った後、不可解そうに政宗を見た。
「あの二人は…」
「戦国武将だってよ」
「は?」
三成は眉間を寄せる。政宗はおどけたように肩をすくめた。
「そうあいつらは言ってるぜ。で、今は戦争中なんだと。いわゆる、天下分け目の戦い?」
「…そんな名前の武将がいたか?」
「俺たちの知る限りじゃいねぇな。ま、なんかの漫画かなんかじゃねぇの?よく漫画であるだろ」
「漫画ではな。……だが、そうともなればあの殺伐さも納得できないことはない」
三成の言葉に政宗はにっ、と笑い、そして元親の方を見た。
家康は元親の胸元に顔を埋めてしくしくと泣いている。相当ショックだったらしい。
「…でもこういう言い方あれだが…そう珍しくもねぇだろ?」
「ジャージの時はな。今日はキャミソールだった」
「あー…」
政宗は困ったように肩をすくめた。


 「家康!」
「石田!」
「独眼竜!それに元親!」
「長宗我部、」
一方の寝室では、ベットの端と端にくくりつけられた二人がいた。騒いだことで三成に何か言われたのか、石田は黙って徳川を睨んでいた。
伊達は徳川の、長宗我部は石田の紐を解く。
「…ど、独眼竜、その格好は?」
「こっちの服だよ、俺と同じ顔同じ名前の奴に借りた」
「!お前たちも?」
「おう。まぁ俺女だったけど」
「少なくとも今はいがみ合ってる場合じゃねぇぜ。ここ移動するときも、変な鉄の箱みたいなのに乗せられてきたしな。それに、あいつらが話してるのから考えると、他にもまだ来てる」
伊達の言葉に徳川は驚いたように目を見開き、石田は目を細めた。そのためか、長宗我部が紐を解いて自由になった後も、暴れようとはしなかった。長宗我部の手を振り払い、ぷいとそっぽを向いた。
「ここはどこなんだ?」
「よくは分からねぇ。東京っていうらしいんだが、まぁ大体の位置でいうと小田原より若干北の位置だ」
「……結構東だな」
「あぁ。で、おもしれぇことにな。俺達のような武将ってのは、もういねぇらしい」
「いない?」
伊達の言葉に、ぴく、と石田も反応した。政宗は話を続ける。
「そんな風に戦をしていたのは、400年くらい前の話なんだってよ」
「………そうなのか」
「で、ここじゃ刀や銃、諸々武器を所持するのも禁止なんだそうだ」
「禁止?それは凄いな…」
「入るぞ」
そこへ、ちょうど三成が姿を見せた。石田は三成を振り返り、しばし二人の視線がぶつかった。三成は石田に負け劣らずの視線を飛ばした後、伊達と長宗我部をちらりと見、そしてまた石田に視線を戻した。
「…伊達から大体の話は聞いた。戦中だそうだな」
「そうだ」
「だが家康の家を荒らした事と侮辱したことは許さない!」
「黙れ!親しげにその名を口にするな!虫酸が走る!!」
「黙るのは貴様だ!貴様は貴様で勝手にしろ、だが私のものに手を出すならば貴様を殺す!」
「落ち着けって三成」
「柄にもなく名前で呼ぶな」
一気にヒートアップした二人に、政宗が後ろから顔をのぞかせぽんと肩を叩いた。

聖なる夜のハプニング5

用意を終えた四人は政宗の運転する車で家康と三成の元へ向かった。
長宗我部は結局サイズが合わなかったので、政宗がサイズを間違って買ったという黒い大きめのポンチョを頭から被っていた。
助手席で元親はスマートフォンをいじる。
「…お、三成からライン来た」
「なんだって?」
「あっちも同じことあったってよ。…ははぁー、こりゃ騒ぎになるわ」
「そのちっこいので連絡とれるのか?!」
「おい大人しく座ってろって!あたまぶつけっぞ」
「で、どうしたって?」
政宗は片手で元親を覗きこむように身を乗り出した長宗我部の頭を押し退け、元親にそう尋ねた。
元親は返信しながらそれに答える。
「ほら、ヤスってキックボクシングやってっから筋肉質だろ?それに俺と違って可愛い胸してっだろ?」
「確かにアンタでけぇよな」
「平気な顔でそういう事言うんじゃねぇよセクハラで捕まるぞ伊達サン。……つまり、あれか?男と間違えられたか?」
「そゆこと!」
元親はピン、と人差し指を立てて困ったように笑った。政宗は呆れたようにため息をつく。
伊達と長宗我部は顔を見合わせた。
「…それでどうなった?」
「ん?あー、それで三成がブチ切れて、頭に刀叩き落として昏倒させたって」
「What!!家康と石田をか!?」
伊達と長宗我部は思わず顔を見合わせる。政宗と元親は早くも彼らのそんな反応に慣れたのか、のんびり会話を続ける。
「まァあいつ剣道強ェからなー。この前なんか世界大会出てたし。世界ランクいくつだっけ?」
「6位だろ、確か。運悪く1位の奴と途中であたったから」
「世界ランク…?」
「まぁそのへんはどうでもいい話だから気にすんな。で、こいつらのところの石田と家康はどうなってんだ?」
「梱包用の紐で縛ったってよ。リビングでバトってたらしくてリビングの有様ひでぇんだって。あと、何より家康が泣いちまってそっちのが大変ぽい」
元親はそう言いながらスマートフォンを上着のポケットにしまった。
伊達はわずかに顔をしかめた後、諦めたようにシートにもたれこみ、窓から外へ視線をやった。
「……、ここは高い建物が多いな」
「そうか?あー、アンタ達の話を聞く限りじゃあアンタ達戦国時代の人だもんな。まぁここ東京だからな、多いだろうぜ」
「……なぁチカさんよぅ、聞いてもいいか?」
政宗と伊達が外の景色で盛り上がっている間に、長宗我部は僅かに体を起こして元親にそう尋ねた。元親は驚いたように顔だけ長宗我部を振り返る。
「は?なにを?」
「あんた、目はどうしたんでぃ」
「あー、これ?チィっとばかし前に喧嘩でやられちまったんだよ。今でこそわたしーなんて言ってっけど、元々ヤンキーだったから」
「やんきぃ?」
「んー、不良?ってやつ。悪いことは色々やったぜー犯罪にならない程度にな」
「…ふぅん。姫さんなのに勿体ねぇな」
長宗我部の言葉に元親はカラカラと笑い、指で髪をつまんで持ち上げた。
「ハハッ、こんな色の髪してる時点で女からは色々言われてるっての。ま、でも心配してくれたんだろ?ありがとな」
「…どうせ更生すんならもうちょい口調も直した方がいいんじゃねぇかァ?」
「癖になっちまって直んねぇんだよ」
「おーし、着いたぞー」
そんな話をしているうちに、車は家康の家に着いた。

 「ヤス!」
「!元親…モトチカぁぁぁお前のおっぱいが憎い!」
「おいおいおいそれはねぇだろ!!」
「おいなんか家康がとんでもねぇこと言い出したぞ」
「石田!」
アパートの部屋に入ると、リビングの隅っこでいじけていた家康が元親を見るなりそう言った。元親は苦笑しながらも家康に近寄り、政宗は三成の姿を探した。
三成はすぐに、寝室である部屋から出てきた。そして政宗の後ろを見てわずかに目を見開いた後、すぐに政宗に視線を戻した。
「朝からすまないな。こうなると私にはどうしようもない」
「気にすんな、どうやらアンタのとこに来た二人、戦争やってるとこの両方のTopらしいしよ」
「なんだと?」

聖なる夜のハプニング4

「…吐かせればわかる話よ」
毛利はそう言いながら輪刀を構えた。武器を構えた姿に吉継と官兵衛ははっとなり、吉継は逆手に包丁を握った。
「我の家で好き勝手は許せぬなァ?まずは名乗りやれ」
「!大谷どの、暴力はなりませぬぞ!」
「多少手荒でも正当防衛になるはずよ。まぁ合気道四段持ちの先輩はその限りではないだろうが」
「可愛くないこと言うんじゃないよお前さんは!」
官兵衛はそういいながらも腕を前に構えた。幸村と元就は官兵衛の後ろから離れ、別の部屋に避難したようだった。
臨戦態勢に入ったと思った真田もすばやく槍を構えた。黒田はお手上げだと言うように肩をすくめ、鉄球に座り込んだ。
その時、ふ、と大谷が外の様子に気がついた。
「…同胞よ、アレを敵に回すは得策では無さそうよ」
「何を言い出す」
「外を見やれ…」
どこか呆然としたような口ぶりの大谷に、毛利は怪訝そうに大谷を見ながらも窓の外へ視線をやった。二人の所作に、真田と黒田も外を見た。
そして四人とも固まった。
「…何ぞあれは」
「…建造物…でござろうか……?」
「でかすぎじゃろうが!」
「……あれだけの物を作るのは早々困難を極めるの」
四人の視線の先にあるのは東京スカイツリーだ。吉継が暮らす家は浅草にある。
官兵衛は様子の変わった四人に首をかしげる。うすうす感づいてきたらしい吉継はニヤニヤと笑っている。
「…何言ってんだアイツら」
「その建造物、スカイツリーならば数年で出来たがァ?」
「なんとぉ?!」
「……貴様、今の年号はいつだ」
毛利は首丈振り返って吉継にそう尋ねた。吉継は楽しそうに肩をすくめる。
「今年はまもなく終わるが…平成の25よ。西暦でいうならば2013年よの」
「へいせい??」
「西暦……耳慣れぬ言葉よな」
「この年の瀬に年号を聞くなど、主らいつだと思うておったのよ?」
「そもそも名乗れ言ってるだろうが」
「……どうやら、妙な地に紛れ込んでしまったようよな」
大谷はそういうとす、と目を細めた。



 「あー?落ち着けってヤス!今着替えてっから!そっち行くから!な!おいこら三成ー!どうなってんだよー!」
それから少しして、元親は今度は家康と電話しているようだ。バタバタとしながら慌てて着替えている。
一方の政宗は伊達と長宗我部から話を聞き、二人の状況を大体把握していた。
「…!三成って、」
「石田三成。チカとは大学が同じだ、こっちじゃそっちのような事はねぇぞ。家康も奴の彼女だしな」
「家康が女ァ?!しかも石田のこ、こっ恋人?!」
「あの二人がそんなこと知ったら、家康はまだしも石田が危ねぇんじゃねぇのか?何するかわかんねぇぞ」
「Ah?そんな危ないのかよ?チカだけ行かせんのは不安だな…おいチカ!俺も行く!」
政宗は伊達の言葉に目を細めた後、首を伸ばしてバタバタと支度をしている元親にそう言った。元親は驚いたように別室から首だけ出した。
「ハァ?!そいつらどうすんだよ」
「黒田さんとこでも同じことが起きたってことは石田のとこでも起こっててもおかしくないだろ。こいつらも連れてく、車出すわ」
「あー…まぁそうだなァ」
元親は納得したようにそう言うと首を引っ込めた。政宗はちら、と二人を振り返る。そしてうーん、と小さく唸った。
「…アンタは俺の服でも良さそうだが、長宗我部…アンタはなぁ……」
「あ?あー、アンタの話を聞く限り、まぁこの格好じゃ確かに普通じゃないわな」
「まぁなんとかすっか……おら、出かける用意しろ」
政宗はそう言いながら腰をあげた。

聖なる夜のハプニング3

「……どうなってやがる」
「そりゃこっちの台詞だ。アンタらどっから入ってきやがった」
「政宗、空気砲とはいえそれ対人じゃアウトな奴だろ」
「刀六本と変な武器持ってる野郎持ってる相手なんだから仕方ねぇだろ」
政宗はそう言いながら銃口をそらさない。政宗が持っているのは射撃用の空砲だ。威力はそこそこある。
伊達は銃口を向けられた状態のまま、降参とでもいうように手を上にあげた。
「Sorry,お楽しみを邪魔するつもりはなかった、俺達もなんでこんな変なとこに来たか分からなくてよ」
「そもそも独眼竜、アンタと俺は戦ってすらいなかったぜ?」
「確かにな。なんで俺とアンタなのか…皆目検討つかねぇな」
不思議そうにそう話す二人に、政宗も二人がただの侵入者ではないようだと判断し、わずかに銃口を下げた。
その時、ヴーッ、とサイドテーブルにあったスマートフォンが音をたてて振動した。
二人はぎょっとしたようにそれを見る。
「What's that!」
「なんで震えてんだ?んだこりゃ?」
「アンタらスマフォも知らねぇのかよ……。…、チカ、電話だぜ」
「あ?……黒田のネーサンじゃねぇか、こんな朝からなんだ?確かあっちはバイトの後輩とクリパしてたはずじゃ…」
スマフォを投げ渡された元親は不思議そうにそう呟いた後、スマフォを耳に当てた。



 同じ頃、元親の電話相手も彼女たちと同じような目に遭っていた。
「はっ半裸など…!寒々しいでござらぁ!」
「頭が沸いておるのか。何ぞその被り物は。イブに羽目をはずしたか」
「まぁ確かにあちら二人は見事にクリスマスカラーではあるが、もう二人はどうなのよ。クリスマスではなくもはやハロウィンよ、ハロウィン」
「お前らぁぁあ!呑気に喧嘩売ってんじゃないぃ!」
黒田のネーサンと呼ばれた女性、黒田官兵衛は後ろにバイトの後輩である真田幸村と毛利元就を隠しながら、朝目覚めたらリビングにいた謎の四人組の様子を見ていた。
その傍らには、官兵衛の恋人である大谷吉継が台所にあった包丁をくるくるとジャグリングのように回しながら同じようにリビングを見ていた。
リビングにはやはり、彼女たちに瓜二つな男が四人いた。
「はろうぃん…?くりすます…?なんの話ぞ」
「寒さなど気合いで吹き飛ばせるでござる!」
「ハァテマァ、なかなかに愉快な眺めよな」
「なぜ貴様に似ている者だけ男なのだ」
「知らぬがな、ヒヒッ」
「お前さんら!呑気にしとる場合か!!逆に問題だろうが、女だらけのところってのは!」
「…あちらもまともなのは主に似た者だけのようよな」
「まともじゃないと認めるんじゃないよ」
官兵衛は吉継の言葉にはぁ、と小さくため息をつき、一旦離していたスマフォをまた耳に当てた。
『おう、どうしたんだ?黒田のネーサン』
「元親、お前のほう、変なこと起きてないか?」
『変なこと?あー…なんか私と政宗にそっくりな男が侵入してたってのなら』
「そっちでもか?!」
「…どういうことよ」
吉継の包丁を回す手の動きがぴたり、と止まった。官兵衛は分からん、といったように肩をすくめる。幸村と元就にも元親の声が聞こえたらしい、二人も顔を見合わせた。
そして、二人の会話が男衆にも聞こえたらしい、毛利と大谷は顔を見合わせた。
「…長曽我部だと?」
「…何やら面倒なことになっていそうよな。西海のともなると、三成や徳川も、或いは」
「…どういうことぞ?そもそも、こやつらは何故これほど我らに類似している」
「問題はそれだけではないなァ。くりすますといった珍妙な言葉、珍妙な部屋、格好、道具…どうやら全く違ったところのようよ」
そう話し込む二人を、官兵衛の後ろの幸村と元就も見ていた。
「…浮いているでござる……」
「どう浮いておるのか…」
<<prev next>>
カレンダー
<< 2013年12月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31