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葱と牛蒡とツインテール32

政宗は不愉快そうな顔でしきを見る。しきはあわあわ、と慌てた。
「…いや、あの……その…」
「…んだよ」
「えーと……」
どもるしきを見る政宗の視線が痛い。言葉につまればつまるほど、視線が強くなる感じがした。
しきは焦った。焦って、つい。
「こ、行動で返してもらってます!!」
つい、そう言ってしまった。
しきの言葉に小十郎は吹き出し、げほげほと噎せ赤くなった顔を背けた。政宗は目を点にしてぽかんとしている。
「…action??」
「………あ。い、いや、別に深い意味は…!」
「…………小十郎ェ……」
「なっ!!なんですかその目は!!」
「何したんだよ…?」
「へ、返答に困り口をす……ッ」
「What!!!!」
政宗は叫んだ後、ばっ、ばっ、と二人の顔を見ると、にやっ、と笑った。
小十郎がはっ、とした顔をする。
「…I got it!!」
「!!お待ちくだされ!」
政宗は嬉々としてそう言うときびすを返し、ダッシュで森に消えた。小十郎は僅かに顔を青ざめさせ、政宗の後を追おうとした。
その前に思い出したようにしきを振り返る。
「…近い内に面倒なことになるだろうから、今のうちに休んどけ!」
「は、はっ?!はいっ!」
小十郎はそう言い残すと政宗の後を追って消えた。
しきはしばらく呆然としていたが、くす、と小さく笑った。
「…、ははは。きっと言いふらされるんだろうなぁ……」
しきは楽しそうに笑いながら、海を後にした。


 小十郎の忠告通り、畑に戻り手伝っていたところ、城がある方に人だかりができていた。
他の村人につられてしきがそちらを振り返ると小さく声が上がって人だかりはざわざわと動いた。
「…なんだべさぁ、ありゃあ」
「……野次馬かと」
「やじうまぁ?誰のだァ」
「…多分私ですね……」
「?…あ、小十郎様だべ」
「ウッワァほんとにネギだ」
伊達軍と思われる野次馬達は、ネギを手に現れた小十郎によって、散り散りに散った。端から見ていると面白い。
しきはまた、ふふ、と笑った。
「…いいなァ…こういうの……」
「?」
「いえ、何でもないです。続きやりましょう!」
しきはにこり、と笑うと、置いていた鍬を持ち上げた。

その夜、しきは何故か、突然政宗に呼び出された。トネは驚いたようにしていたが、彼女自身にも小十郎と関わりがあるからか、そこまで不思議には思わなかったようだ。
通された大広間に一人、しきはがちがちに緊張していた。
「…………」
気まずい。このだだっ広い部屋に一人は気まずい。そして正座も辛い。
そんな風に考えていたら、がらっと勢いよくふすまが開かれ、政宗が姿を見せた。
「よぅ」
「…こ、こんばんは……?」
「こんばんは、ねぇ。Haha、おもしれぇ挨拶だな」
「えっ、や、その」
「そう固くなんなよ、それよりお前よ」
言いながら上座にどかり、と座った政宗は、昼間見せたような、にやりとした笑みを浮かべた。

「小十郎の女中にならねぇか?」

「へっ?!」
突然の政宗の提案にしきは思わず変な声を出す。政宗はにやにやとはしているものの、冗談ではないようだ。
「畑仕事も嫌いじゃねぇみてぇだし、料理も下手ではねぇらしいじゃねぇか。小十郎とkissする仲なら、悪い話じゃあねぇだろう?」
「政宗様!」
政宗が言い終わると同時に、すぱーん!と、なぜか息を切らせた小十郎が襖を開いた。
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