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もうお前を離さない290

がきぃ、と鈍い音が響き渡る。石田の刀と金色の小手が―徳川の小手が―交差し、火花を散らす。
石田は刀を叩きつけた時の衝撃でフードが取れた徳川を、ぎらりとした目で睨みつけた。
「家康ぅぅ!貴様ぁ!今更どの面下げてここに来た?!」
「…三成、」
「待ちやがれ石田!」
互いに押し合って離れた2人の間に、徳川を背に長曾我部が立ちふさがった。石田は徳川に向けていた視線を長曾我部へと動かす。
「何のつもりだ長曾我部…貴様も私を裏切るのか」
「裏切るだと?てめぇが言えた口か!!」
「待て元親!まさか…「ならばいい……家康共々斬滅してやる!!!!」
徳川の言葉を最後まで聞かず、石田は再び地面を蹴った。長曾我部の首目がけて刀を振り上げ、それが防がれた事を指先で判断すると同時に刀を引き、体ごと回して胴目がけて振り抜いた。長曾我部はとっさに身を退いたが石田の方が早く、腹に薄く血の線が走る。
踏み込みざまにさらに斬り掛かろうとした石田と長曾我部の間に、長曾我部を押し退けて徳川が割り入る。顔目がけて振られた拳を首を傾げて避け、それと同時に振った刀は小手で塞がれる。
石田は一歩後ろに下がり、踏み込むと同時にバック転をするように刀と己の体を飛ばした。徳川の顔が一瞬歪む。
距離が離れた2人はすぐさま地面を蹴り衝突する。刀と小手が交差しぎりぎりと音を立てるのを聞きながら、徳川はぎっ、と普段の彼らしからぬ怒りを含めた視線で石田を睨んだ。
「三成!お前まさか、何も知らないのか?!」
「黙れ!貴様の話など聞くか!!私に殺されろ家康ぅぅっ!!」
「いい加減にしやがれ石田ぁ!!」
2人の鍔迫り合いに長曾我部が迫る。石田は徳川を蹴り飛ばして距離を取り、長曾我部が振りかざした破槍を跳躍して避ける。
長曾我部は大振りに破槍を振り回しながら石田に迫る。これほどの大きさになると下手をすれば刀が折れるため、石田は器用に紙一重で避けながら刀を構える。
「!三成さんッ!!」
「やれ、何の騒ぎよ」
「!」
「!!来やがったな大谷ぃ!」
「刑部…ッ」
ひゅん、と音をさせて勢い良く数珠が飛んできた。徳川は長曾我部の腕を掴んで引き、その軌道から長曾我部を外した。
駆け付けた大谷と村越は石田の斜め後ろで止める。
「…?!え…?徳川…家康?」
「……」
「なんでここに?っていうか、なんで長曾我部さんがそっちに…」
村越が口にした疑問に、長曾我部の顔が怒りに歪む。長曾我部は破槍を大谷に向け突き付けた。
「大谷ぃ!!よくも騙したな!!」
「はて、何の話よ」
「空っとぼけるな!!どうして四国を壊滅させたのは家康だと偽った!!」
「「!?」」
石田と村越は驚愕して同時に大谷を見た。大谷は目を細めただけで何も言わない。
そんな様子に、徳川は一歩前に出た。
「……知らなかったんだな、三成」
「…?家康、どういう事だ?」
「…説明しろ刑部……貴様は長曾我部に何をした……?!」
「刑部は三成に秘密裏にこの事を図ったんだろう。元親の留守中に四国を壊滅させ、そこにワシの軍の旗を落としてワシのせいにしたんだ」
大谷が答える前に徳川がそう口にする。石田の目がさらに見開かれる。
大谷はヒッヒ、と肩を揺らし笑った。
「やれ、ばれたか」
「!!」
「…!」
「…刑部、どうしてこんな事を」
「主には関係ないことよ。説明してやる義理もない」
大谷はぴしゃりとそう言いのけると、静かに己を見る石田に視線を向けた。
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