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もうお前を離さない277

「…愛されてますね、黎凪」
「?!」
「…すいません幸村さん。…でもいくら黎凪が気にしなくても…私は気にしないなんて事はできないんです」
村越はそう言って、俯いていた顔を上げた。真田は理解出来ないとでも言いたげな表情で村越を見据えている。その表情は険しい。
「…何故……黎凪の気持ちを知って尚、出来ぬと申されるか」
「幸村さんみたいな武人にも黎凪にも分かりませんよ…!」
「?!」

「奪ってしまった苦しみなんて」

「!」
真田は驚きに目を見開いた。
「奪った…?何を?!」
「…言えません。でも私は、黎凪から奪ってしまったものがあるんです」
「……ッ!!…だが…黎凪は気にしていない!」
「、物分かりの悪い人ですね!私は「それはつまり!貴殿に奪われたものよりも貴殿が大切で、その貴殿の苦しみを少なからず理解しているからでござる!!」……?!」
真田の言葉に今度は村越が驚いて目を見開いた。
真田は村越にずかずかと歩み寄り、その肩をがしりと掴んだ。
「黎凪は貴殿が思っているほどできた人ではござらんッ!!」
「?!」
「怒りに我を忘れることもある。人を殺す事に苦しみを覚えることもある!!そう…あやつも人を殺した!」
「!!」
「奪われる苦しみも奪う苦しみもあやつは知った!それに怒することもある!だが!貴殿には驚愕したのみだとあやつは言った!それは黎凪の本心!某には寧ろっ、黎凪は貴殿を苦しませる奪われたものに怒りを感じているようにすら感じ申した!!」
「な…」
「だから!!貴殿は…村越殿は!!黎凪が望むように、気にしないでほしいのでござるッッ!!」
真田はそう言い切って、村越を突き放すように離した。僅かにあらぶった息を整えようとしている。
村越は真田の行動に目を見張り、そして俯いた。
「…ごめんなさい」
「某は謝って欲しいのではござらんっっ!!」
「……私は…」
その時。
すぐ近くの森から、大きな爆発音が響き渡った。
「?!」
「…何か来る!!」
真田は急速に近づいてくる気配を感じ、咄嗟に槍を構えた。
その途端。途中途中で木にぶつかりながら真田達から少し離れた所に伊達と宮野が投げ出された。伊達は宮野を庇うためだろう、がっちりと宮野を抱き締めていた。
「Shit!!Darn!!なんであんな爆弾持ってやがる!!」
「うぇっ、煙気管に入った…!け、怪我は、独眼竜。ちなみに私はすすだけです」
「アンタが突飛ばしてくれたおかげで、俺もすすだけだ」
「…。政宗殿に黎凪?!」
ぱんぱんと体を払いながら話している2人に、ぽかんとしていた真田は現実に戻された。
真田の声に漸く2人は真田達に気が付く。
「!真田…とありゃ誰だ?」
「え、幸村?!…あー!芽夷ー!」
「れ、黎凪…?」
「あれがアンタのbestfriendか?」
「そうです。可愛いでしょ?」
「Hum...ま、顔はいいな」
「ななな何を…?!」
仲よさげに話す2人に真田はパニックに陥っている。伊達はそんな真田に小さく吹き出して笑った。
「何Panicに陥ってやがる」
「!政宗殿、何故貴殿が斯様な所に!?」
「Oh, I forget」
伊達はそう言ってにやりと笑うと、宮野の体をぐいと真田に向かって押し出した。
「確かに返したぜ?」
「!!」
「待った独眼竜!山賊はまだ…」
「Hell dragon!」
「…また派手に…」
伊達は宮野を押し出すなり全ての刀を抜き去り、自分達が飛んできた方向にむかって技を放った。
宮野はばりばりと音をたてて飛んでいく雷に小さくため息をついた後真田を振り返った。
未だ混乱している真田に、宮野は思い切り正面から抱きついた。
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