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見えないはずの右目が46

「こじゅうろ!?」
「こっ小十郎様!?」
梵天丸と雪之条の叫びが重なる。小十郎が思いの外多い出血からふらふらとしながら部屋に戻ってきたのだ。慌てて駆け寄ってきた雪之条に、小十郎は少し体を預ける。
「こっ、小十郎…っ!」
真っ青になった梵天丸に、小十郎は大丈夫だ、と薄く笑った。梵天丸がふるふると頭を振る。
「梵天のせいだ…っ!」
「違います。泣かないでくだされ」
「小十郎様…」
小十郎は未だに血の溢れる傷口を強く手拭いで押さえる。じわじわと手拭いが血に染まっていく。雪之条が慌てたように手拭いを刀で切り分け、紐で顔に斜めに紐をかけて固定する。
「こじゅうろ…」
「大丈夫でございます…まぁ、跡に残るかもしれませぬが」
安心させるように笑って見せるも、梵天丸は泣き出しそうだ。
「小十郎様、いくらなんでも!」
「雪之条。…止めろ」
「!?何故!?」
騒ぐ雪之条を手で制する。そして梵天丸に向き直る。
「梵天丸様、よいでござるか」
「………?」
「…奥方様は危険でございます。しばらくは某か雪之条達と出来るだけ共にいてはくださらぬか?」
「……でもそしたら小十郎達が…」
「梵天丸様が傷ついてしまう方が問題っすよ!」
雪之条の言葉に梵天丸が目を見開いた。そして不安げに小十郎を見上げてくるので笑ってやる。
「梵天丸様が傷つかれてしまう方が、余程苦しいのでございます」
「小十郎…」
「お願いします」
「……分かった」
梵天丸は泣きそうになりながらも頷いた。
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