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見えないはずの右目が37

「あ……」
梵天丸が絶望的な声を上げる。小十郎は初めて曝された梵天丸の右目に絶句する。
「…こ、れは一体…」
「っ、見るなぁ!」
梵天丸はいやいやと首を振りながら必死で目を隠す。

梵天丸の右目は、肥大化していた。
眼球が膨らみ、とび出していたのだ

「見るなぁっ…!」
ガタガタと震える梵天丸に、小十郎は深呼吸をしたあとそっと触れた。
「…痛くないのでございますか?」
そのまま頭をなで、す、と顔に手を添えてやる。
「………え?」
惚けたように小十郎を見上げる梵天丸。その隙に小十郎は梵天丸の右手を、右目から引き離す。
「!止めろ小十郎ォ!離せぇ!」
「離しませぬ!さぁちゃんと右目を見せなされ!」
暴れる梵天丸を押さえつけながら小十郎はその右目をじっ、と見つめた。見れば見るほど

「可哀相に…」

ぼそりと本音が漏れる。梵天丸が驚いたように小十郎を見上げたまま固まる。小十郎は梵天丸の右目に、そ、と指を這わした。梵天丸の肩がびくりと揺れる。
「……へ、いきなのか…?こじゅうろ………」
「はい」
「なんで…っ!?」

確かに梵天丸様の目は、歪な形をしていて、見ていて不快感を抱くかもしれない。それでも


それでも、梵天丸様は我が主。
その身に醜き場所などありはしない。


「梵天丸様は我が大切な主にございます。主の一部を嫌うものなどおりましょうか?」
「小十郎…」

「それが梵天丸様を苦しめるというならば、そんなもの取ってしまいましょう」
小十郎は自分でも恐ろしい事を口にした。
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