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見えないはずの右目が40

日の光の差し込まない、暗くどんよりとした地下牢。小十郎は目の前の壁をじっと睨んでいた。地下牢に入れられてから三日が経った。一切の情報がなくする事もなく。小十郎は坐禅を組んでただ答えを待った。

「……小十郎様ァ」
「……、雪之条?」
ふと隣を見ればいつの間にか例の小十郎人形を贈った男がいた。その顔は不安たらたらだ。
「小十郎様ぁ、一体何したんすか」
「梵天丸様の右目を突いた」
「…ええええええぇっ!?」
びっくりしたー、と小さく呟く雪之条に小十郎は呑気でいいな…と思ってしまう。小十郎は坐禅を解いた。
「小十郎様がいないと覇気がないって言った矢先にー」
「奥方様が梵天丸様を殺そうなどとしなければ時期は遅くなっていただろうな」
「…え?」
「梵天丸様が忌み嫌われるのはあの忌々しい右目。あれさえなければよいではないか。そう言ったら突き潰せと」
小十郎の言葉に雪之条は目を見開いている。信じられない、といった顔だが小十郎が嘘をつかない事を知っているためか、嘘だー、とは言わない。
「………梵天丸様、大変だったんすね…」
「…そうだろうな。無事ならばいいのだが…」
小十郎にしては珍しくうつむき唇を強く噛んでいる。雪之条はしばし困ったように視線をあちこちに飛ばした後、思いついたように懐を探りだした。
「…あった。小十郎様どうせ暇でしょ?これ作るの、手伝ってくださいよ」
そう言われ渡されたのは、
「………。これは俺か?」
まるで座っていたら寝てしまったような形をした物だった。
「なかにこの布きれ入れて膨らませてくださーい」
「………………」
「気にしても仕方ないんすよ。待つしか」
雪之条はぼそりと呟いた。小十郎は小さく頷いた。
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