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見えないはずの右目が43

「小十郎様の作る野菜は小十郎様みたいに皆でかくていい野菜なんすよ。まぁ…葱は固いっすけどね」
「!葱…小十郎の好物はそんなに固いのか?」
「叩けば木刀程の威力があるっすよ」
「狽ヲええっ」
小十郎そっちのけでわいわいと盛り上がる二人に、小十郎は小さく微笑んだ。小十郎にだけ懐いていた梵天丸が雪之条に懐くのはどことなく微妙な気分だったが、梵天丸が心を開いてくれるようになったのは嬉しかった。

やはり、問題はあの右目だったか。
とはいえ、恐らく奥方様は梵天丸様を認めないだろう…下手をすれば弟君を無理に跡継ぎに押してくるのでは…?

「……ーい。おーい、小十郎様ぁー?」
雪之条に呼ばれた事に気付き顔を上げると心配そうな顔をした梵天丸がいた。
「…どこか体調が悪いの……?」
「い、いえ!ただ考え事をしておりまして…」
「……本当に?」
「小十郎は嘘は申しませぬよ」
不安げな梵天丸の頭を優しく撫でてやる。梵天丸は何か言いたげだったが、何か言うことはなかった。
「いやー…本当に仲がいいんすね、お二人は」
「うん!梵天は小十郎が大好きだ!」
「!おっと、」
また飛び付いてきた梵天丸を慌てて受けとめてやる。今日の梵天丸はやたらとくっつきたがる。
「(…、一番辛かっただろうときに、傍にいれなんだからな…)小十郎も大好きでございますよ」
「えへへ」
梵天丸は嬉しそうに擦り寄る。
「よかったっすねー小十郎様、子供にようやく好かれて」
「余計な世話だ、雪之条!」
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