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貴方も私も人じゃない99

「どう思うもなにも、事実だろう」
「うぅん……それはそうかもしれないが…」
「何か不服なのか」
「…不服、というか…怖いな、と」
「怖い?何を言っている」
三成はたんっ、と少し高めに跳躍して隆起した木の根を避けながら走り続ける。
家康は馬に揺られながらも先を走る三成に続く。
「彼女の口から聞くと、少し、な」
「…、貴様は鎮流に何を求めている」
「えっ?」
家康は三成が口にした思わぬ言葉に三成を見た。三成ならば、鼻で笑い一蹴すると思っていた。
三成は開けた道に出たところで足を止めた。その道は、恐らく伝令が通るだろうと予想される道だった。
「貴様は鎮流に女らしさを求めているのか?奴は軍師だぞ」
「…うーん、そういうのを求めていたつもりはないんだけどな。ただ…彼女がどんどん半兵衛殿のようになっていっているような気がして、な。なんだか…」
「…軍師になるならばよいことだろう。要するに、鎮流が貴様が求めている姿ではなくなったということだろう」
「!」
家康は意外そうに目を見開いて三成を見、おぉ、と小さく呟きながら馬を降りた。
「…そうなのかな」
「私に聞くな。貴様が何を求めているかなど興味はない」
「……そうか。それもそうだよな」
「それよりさっさと行くぞ」
「…、なぁ三成!お前、なんで鎮流殿のこと呼び捨ててるんだ?」
「何か問題があるのか。貴様を家康と呼ぶのと同じことだ」
「う、うーん…お前そういうの気にしなさそうだしな…」
家康と三成は僅かばかり小さな声でそんな事を話しながら、伝令が向かってくるであろう方向へと歩き始めた。


その後、見事にその道を通った伝令を捕虜として捕らえることに成功した。


 「…今回動いたのはあの砦だけ、か…」
ごたごたが片付き、三成と家康から事の次第の報告を受けた鎮流は小さくそう呟いた。家康は小さく頷く。
「帰りがけに忠勝を飛ばしてきたが、これといった動きは見られなかった」
「…予想よりも小さい……。半兵衛様もこのたいみ……この時に動くと予想されていたのに」
「鎮流が来たことで内通者が慎重になったか?」
「…その可能性はありますね」
「どうする?」
「…一先ず、家康様三成様はお疲れさまでした、休んでください。私は対策を考えておきます」
鎮流は少し考え込んだあと、二人にそう告げた。家康は僅かに心配そうに鎮流を見た。
「鎮流殿も休んだ方が…」
「私は大丈夫です、有り難うございます」
「朝から詰めているのは貴様も同じだ、気兼ねはするな」
「気兼ねしているわけではありませんが…あぁ、でも一つ気になることは」
「なんだ?」
「大岩山の方の、依然家康様が単独で落とされた山城です」
「あぁ、鎮流殿の策を使った…まさか、あそこが?」
「…少し動きがあるように見られます」
鎮流はそう言い、悩ましげな表情を浮かべながら腕を組んだ。
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