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貴方も私も人じゃない98

そして翌日の夕暮れ、動きが出た。
家康は兵舎の方にいて、鎮流と三成は本陣にいた。鎮流は本陣で色々な報告を聞いていて、一つの情報がその目に留まっていた。
「…伊達政宗が奥州南部の将と結ぶ、か……」
ー政宗君
小田原の戦の戦法を話していた時の、半兵衛の話が思い出された。
「誰だそれは」
三成は知らないようで、かといって興味もなさげにそう尋ねた。
「北方、奥州で名を売ってる武将ですよ」
「そうか」
「…奥州での前の戦では豊臣が敗走した…でも確かこの戦は…」
「?どうした」
「いえ、なんでもありません」
「そうか」
そこへ、足音荒く二人の斥候が陣に走り入ってきた。
「報告します!西の陣に動きあり!」
ー予想通りだ。
鎮流は小さく拳を握った。
「東への伝令ですね?」
「はっ!」
「鎮流、私が出る!」
三成はそう言うなり兵もつれずに本陣を飛び出していった。鎮流は三成のアクションに驚いたようで少しの間仰天したように固まっていたが、すぐ我に帰った。
「一人、兵舎に行って家康様にもお伝えなさい!それから、一小隊連れていくようにとも」
「はっ!」
三成だけでは間違いなく伝令を殺す。飛び出していったときの三成の雰囲気から鎮流はそう感じていた。だから家康にも行ってもらうことにしたのだ。
鎮流は残ったもう一人の斥候を振り返る。
「岩崎山と大岩山に対する動きは?」
「未だ見られません」
「ありがとう、休んでください」
「えっ?あ、はっ!」
鎮流は斥候にそう告げると本陣の外に出、動きがあった方向へ目を向けた。
「…まず最初の予想は的中。この後どうなるか…」
鎮流は、ぐっ、と拳を握りしめた。
「ぞくぞくするわ」


 「三成!」
「!家康?」
相手方に気付かれないよう、家康は普段使わない馬を使って三成に追い付いた。三成は家康に気付きながらも、走る足は止めなかった。
「何故貴様が」
「鎮流殿にワシも行けってな。お前一人でどう捕虜にするつもりだったんだ」
「………」
「…、なぁ三成、一つ聞いてもいいか?」
「なんだ」
家康は出るときに連れてきた兵達との間が大分空いていることを確認し、ぽつり、と三成にそう尋ねた。三成はさして気にすることなく聞き返す。
家康は手綱を握る手に目を落とした。
「…鎮流殿が、敵に内通するような人間は役に立たないって言ってたろ」
「?ああ、言っていたな。それがどうした」
「お前は、どう思った?」
「なに?」
三成は不可解そうに家康を振り返った。
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