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Not revolved transmigration 110

「ま、確かに彼女の信憑性なんて君のところの子と同じくらいないからね」
「…ヤな言い方」
「これは失礼?でもね、片倉君は平気なんだよ」
「なんで言いきれんのさ?」
猿飛の険のある言葉に竹中はくすりと笑って口元に手を運んだ。比較的明るい月光も相まって、やたら妖艶に見える。
「片倉君は政宗君しか見えていないからだよ。今も昔もね」
「…なるほどー?そういえば、今のあの人には右目の旦那の記憶があるんだっけ?」
「そう。元々片倉君はこの件にこちら側に関わるつもりはなかったらしいよ。政宗君が関わると知って参加しているそうだ」
「 …言っちゃ悪いけど、あの旦那が、今女だから旦那は正しくないけど、独眼竜の旦那と一緒に裏切ったら?……や、ないか」
「分かってくれたかな?」
「はいはい、分かりましたよ」
猿飛は降参だとでも言いたげに両腕を上に挙げた。竹中はくすりと笑う。
「君は言い返さないのかい?」
「…。確かに小太郎は信用できないとは思うからね。俺様は信用してるけど、隠す癖あるから」
「秀吉襲撃の事も、彼は君に何も言わなかったね」
「そだね。でも俺様は小太郎を信用する」
「………そう。さて、僕も休ませてもらうよ。君も早く幸村君に挨拶した方がいい、まだ会ってないんだろう?」
「はいはい、そうですね」
猿飛のおざなりな返答に竹中は軽く肩を竦め、地下室に戻っていった。
ざぁ、と木々がざわめき、音も立てずに風魔が猿飛の隣に降り立った。風魔はきゅ、と猿飛の手首をつかんだ。
「いーい?小太。信用されたいならまず小太が俺様達を信用しないとダメ。ただ一つ言っとけるなら、俺様は小太の事、信用してるから」
「…!」
「かすが、いる?」
「あぁ」
がさ、と音をさせてかすがが返答した。かすがは木の枝に座ったまま、猿飛を不安げに見下ろした。
「…なぁ佐助、さっき言ってた『右目の旦那の記憶』ってなんのことだ?」
「…」
「私は、お前のこと信用してる。小太郎だってそうだ。でも佐助、お前は何を知ってるんだ?あの真田幸村も、どこで出会ったんだ?」
「……………」
「!でも小太郎、」
「……………」
「…終わったら話すってば。今は誰が敵なのか分からないから、下手に本当の事は話せない。小太は信用されてないとこもあるわけだし」
「…なんでこうなってしまったんだ?」
かすがはぼそりと呟いて木の枝から飛び降りた。
「どうしようもないんだよ、きっと」
「!佐助…」
「…さ、行こ。多分あの人が言ったと思うから、そのうち真田の大将とんでくるよ」
猿飛はそう言うとかすがの背中を押して、竹中が
向かった地下室に歩いていった。
だが風魔は少し進んだ後、ぴたりと足を止めた。猿飛達が視界からいなくなったのを確認し、後ろを振り返った。

「気づいていたのなら言えばよかっただろう?風魔」

がさ、と音をさせて、松永久が姿を見せた。風魔は何も言わずに右手をあげた。その手には、かつてとは違い、小さなナイフが握られている。
久は長い髪を揺らし、くすくすと笑った。
「成る程、卿もそちらへ行ったというわけか、愉快愉快…」
「……………」
「落ち着きたまえ、私は卿と話をしにきたのだよ。まぁ、卿が誰かを呼ぶというなら、また別の話になるがね」
久はそう言ってガードレールに腰かけた。
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