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Not revolved transmigration 87

長曽我部は一通り起こった事を片倉と真田に話した。片倉は食事に手をつけずに眉間を寄せた。
「……警察に、か。おそらく尼子だ」
「あなご?」
「違う、あまごだ。変装が得意な幹部だ。頭は切れるがどことなく、その…抜けている」
「成る程ね。策士で無くなったのはそういうわけか」
竹中はそう呟くと頬杖をついた。疲れたように息を吐き出す。
「…幹部が乗り込んだのか……」
「恐らくな。幹部以下はスリーマンセルで動くから、警部なんてレベルに潜り込むのは厄介だ。三人は似ているし、それに尼子は親族が警察関係者だったと聞いた」
「…そういえば、君はスリーマンセルじゃないんだね」
竹中の言葉に伊達ははっとしたように竹中を見た。片倉は静かに竹中を見る。
「…俺も幹部だと?」
「違うのかい?」
「竹中さん!」
「…信じる信じないは勝手だ。俺は幹部じゃねぇ、松永の身代わりだ」
「!身代わり?」
片倉の言葉に竹中は僅かに驚いた。伊達は大きく目を見開く。
「松永は極力人前に出るのを避けているからな。交渉の席に出るのは大体俺だった」
「………いざというときは君に責任を押し付ける?」
「!」
「多分な」
伊達は悔しそうに拳を握りしめた。片倉はそんな伊達に気がつくと、ぽんぽんと頭を叩いた。
「…もしかすると」
「?」
ぴた、と片倉の手が止まった。不思議そうに竹中が片倉を見る。
「…松永が警察に手を出したのもそれが目的かもしれねぇ」
「?」
片倉がぽつりと呟いた言葉に竹中は僅かに眉間を寄せた。
「だから、この会社を身代わりにしようとしているのかもしれねぇってことだ」
「………それはつまり、秀吉に罪を被せようとしている、ってことかな?」
「出来ねぇ事ではねぇ。現に不法侵入を犯してるからな」
「!この前の廃病院か」
「そうだ。あれも立派な不法侵入だ」
「…成る程ねぇ…でもそれによる相手のメリットは?」
「邪魔立てするこちらの動きを封じられるって事しか思いつかねぇが、時折奴は楽しむために潰すこともある」
「……ふぅん」
竹中はそう言うと机に頭を伏せた。うー、と唸る声が聞こえる。
隣に座っていた豊臣はぽんぽんと竹中の肩を叩いた。
「…孝高。ちょっとよいか」
「?あん?」
そして黒田を連れ、部屋を出た。
隠さない方がいいだろう、という事になり全てを打ち明けられた大祝は、不安そうに石田を見上げた。
「三兄様…」
「…心配するな」
「……なぁ、石田先生と元親は明後日侵入すんだよな?」
「え?あ、あぁ」
「…なーんか嫌な予感がする。竹中サン、明日に出来ねぇ?」
「……どうしてだい?」
考えることに疲れ果てたのか、竹中は億劫そうに顔をあげた。伊達は右目に手を添えた。
「……多分だけど、明後日湿気る」
「は?」
「明日は大丈夫だけど、明後日は多分朝から湿気る。右目が痛ぇんだ」
「!政宗、」
片倉ははっとしたように伊達を振り返り、その右手に手を重ねた。
きらん、と竹中の目が光る。
「…古傷が痛むのは気圧が変わるから…そう言えば天気は気にしてなかったな」
「……明後日は曇の予報だな。だが気圧配置的には雨が降ってもなんらおかしくはない」
「雨が降る前ならその雨で足跡や匂いが消えるからいいが、雨が降った後や雨の中は確かにまずいな。俺は明日でも大丈夫だぜ」
「……じゃあ予定変更!二人は明日、行ってくれたまえ。それから片倉君」
「なんだ?」
「危険は承知の上だが、その尼子に接触することはできるかな?」
「!」
片倉の表情が僅かに鋭くなった。
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