スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

Not revolved transmigration 90

「…動いたッ!」
それから約2時間後、レストランから雑賀達が出てきた。伊達はぽんぽんぽんと仮眠していた片倉を叩いて起こした。眠りは浅かったのか、直ぐ様がばりと起き上がった。
「…話した通りちゃんと店の前で別れたな。家康、勘定と二人頼む。俺と姉さんは先に行く。あ、俺らが食った分は後で出す!」
「分かった!ってそんなこと気にしなくても…って、行っちまった」
徳川に会計と雑賀達を任せ、伊達と片倉はカフェから飛び出した。雑賀達とは反対方向に去る偽大谷を追う。
勘定を済ませた徳川は雑賀達の元へ走った。
「…あ!」
「よかった、二人とも無事だな。家まで送ろう」
「……大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。二人とも頼りになるからな!」
徳川はそう言うとに、と笑った。
 同じ頃、偽大谷は尾行に気がついたのか、薄暗い通りに入っていった。片倉と伊達は頷きあい、それを追った。
「…やれ……我に何用よ?」
表通りから見えない所まで来た所で彼は振り返った。片倉は顔の傷を隠すために首に巻いていたストールを外した。僅かに偽大谷の表情が動いた。
「久しぶりだな、尼子晴久。片倉景綱だ」
「………」
偽大谷は―尼子はしばらく片倉を黙って見つめていたが、不意に小さく笑い声を上げた。
両目からコンタクトレンズのようなものを外し、にやと笑いながら髪をかきあげた。
「アンタにゃばれても仕方がねぇ。まさか裏切った翌日に接触してくるとも思ってなかったけどな」
大谷を演じていた時よりも高い声。尼子の地声なのだろう。
「大谷に成りすまして、何を考えてる?何が目的だ」
「アンタにもそのオールバックのガキにも話す義理はねぇよな?」
「あぁ」
片倉の物怖じしない言い方に尼子はまた笑った。伊達は何も言わずただ尼子を睨む。
「まぁいいぜ、教えてやる。でもどっか入らねぇか?あのレストラン旨くねぇ」
「…どこがいい」
「近くに気に入ってるバーがある。…安心しろ、雑賀達のこともそのバーも松永には報告してねぇからよ」
「…分かった」
片倉は尼子の提案に頷いた。

 そこから10分ほど歩いた所に、尼子お気に入りらしいバーがあった。
奥のテーブル席につく。
「アンタは何にする?坊主はまだ未成年か?」
「飲めるぜ?」
「へぇ。じゃあなんか飲め、警察にゃ言わねぇからよ」
「ほんとかよ?」
「俺は口ばっかり達者な奴が嫌いなんでな。嘘はつかねぇよ」
尼子の言葉に伊達はにやりと笑い、壁に掛かっているメニューをちらりと見た。
ボーイが注文を取りにくる。
「ラフロイグ、ストレート。アンタは?」
「……ボンベイサファイア、ロック」
「じゃ、俺はドライ・マティーニ。ジンはボンベイサファイアで。ベルモットはなんでもいい」
「な、お前…」
「酒にゃ弱くねぇよ。つうかそっちこそボンベイサファイアロックで飲むのかよ」
「なかなかいいチョイスじゃねぇか」
なかなか強い酒をチョイスした二人に尼子は楽しそうに笑った。
それぞれのオーダーの物がテーブルに置かれ、ボーイが下がってから尼子は口を開いた。
「大谷に変装してた訳だったな。簡単な話だ、闡喪組みてぇな経済ヤクザにとっちゃ、警備会社はうっとおしい物以外なにものでもねぇからな。おまけに石田三成を庇ってんのは新日本覇王。潰すにゃ持ってこいだ」
「松永はあの会社を私と同じようにするつもりか?」
「は?松永のアンタへの扱いはよく知らねぇが、ま、冤罪にしようとしてんのは間違いねぇな」
「…………」
片倉はグラスを片手に黙る。伊達はドライ・マティーニのオリーブをかじった。
そこで、尼子の視線が伊達に向いた。
「ところでこの坊主は誰だ?さっきから気になってたんだが」
「……私の弟だ」
「…何?ずっと探してたって奴か?」
片倉の返答に、何故か尼子の目の色が変わった。
<<prev next>>
カレンダー
<< 2012年04月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30