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Not revolved transmigration 109

「な、なにゆえ…?!」
「だから勘だと。確実とはいえないが、松永が同伴を受け入れた事自体胡散臭い。奴も何かしら企んでいるはすだ。だからこそ、新日本覇王に警察が介入した」
「…!」
「足止めだけが目的じゃねぇはずだ。そのためにわざわざあんな大仰な事はしねぇ。ニュースにはなってねぇが、警察なんていう第三勢力をそんな事の為だけに使うはずがねぇ」
「…なるほど……」
「…尼子と連絡が取れりゃいいんだが……」
片倉はそう言って組んだ腕の中に頭を埋めた。真田は何とも言うことができず、そのまま黙って隣に座っていた。
もだもだと考え込む真田に片倉は顔をあげ、一瞬きょとんとした後くすりと笑った。
「なんて顔してやがる」
「はぇっ?!」
「気にするな。すまなかったな」
「…いえ……されど片倉殿、その…某に言えることではないのでござるが」
「なんだ」
吃りながらも出した言葉に、片倉は優しく聞き返した。真田は何となく、闡喪組で片倉が男性に人気だった理由が分かった気がした。
「…無茶だけはなさらんでくだされ。政宗殿が悲しみまする」
「!」
「そのー…血の気に走りやすいのは某だと重々承知しておるのでござるが、片倉殿は政宗殿の事となると、己を顧みぬ所があるような気がいたすゆえ……」
「…昔から、か?」
思わず真田ははっとして片倉を見た。片倉の表情は僅かに険しい。片倉が過去を受け入れられないでいる事をすっかり忘れていた真田は、はわはわ、と訳のわからない声をあげながら慌てて頭を下げた。
「も、申し訳ござらぬ!某は、その、」
「……まぁいい。お前からしたら過去の私と今の私は同じなんだろう」
「!あ、あの、」
「いいと言った。これ以上謝るんじゃねぇ」
「うう…」
先ほどからうまくいかない会話に思わず真田は唸った。そしてぽすん、と組んだ腕のなかに頭を埋めた。
「申し訳ありませぬ………」
「しつこい男だな、もういい。…だが1つ聞きてぇ」
「は、?」
「そんなに過去の私と今の私は変わらないか?」
「!」
真田は片倉の問いに顔をあげた。片倉は困ったような戸惑ったような、変な表情を浮かべていた。
真田は一瞬返答に戸惑った。
「…そうですな。かつての片倉殿が、女性らしくなったとしか」
「…はっきり言ってくれたな……」
「!!す、すいませぬっ!」
「性別の違い以外、俺は変わってねぇってか?」
一人称の変化に真田はしまった、と思った。どうやら今はかなり怒っているようだ。
「わー!待ってくだされ!再会して数日、昔のこととの違いなどまだ見つけられませぬよッ!!」
「…ふ、そう必死になるな」
慌てて平身低頭に謝る真田に片倉はくすくすと楽しそうに笑い、ぽん、と掌を頭に置いた。
「…ありがとな」
「!」
「戻るぞ。何が起こるか分からない、休息は取れるときに取れ」
片倉はそう言うなり立ち上がり、歩き出してしまった。真田はぽんと叩かれた頭を押さえたのち、ふ、と薄く笑って片倉の後を追った。
「…ちょーっと趣味悪いんじゃない?」
「なら止めればよかったろう?」
と、その直後、近くの木立からそんな声がした。そこから出てきたのは、竹中と猿飛。どうやら二人の会話を聞いていたらしい。
「どうして止めなかったんだい?」
「べっつにー」
「当ててあげよう。君は片倉君がまだ松永側の人間なのではないかと危惧してる」
「……」
猿飛は竹中の言葉に、す、と目を細めた。
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