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Not revolved transmigration 103

「…考えは悪くないんだけど、確か政宗君はアパート暮らしだったよね?」
「…あ、そういえば…戻れば近隣の者に気づかれますな」
うーん、と頭を捻ったとき、片倉の携帯が鳴った。思わず五人は顔を見合わせた。知らない番号だったからだ。
竹中が頷き、片倉は慎重に携帯を耳に当てた。
「…片倉だ」
『よぉ、生きてるか?』
「!尼子か!」
電話をしてきたのは尼子だった。片倉の顔が僅かに明るくなる。
『警察が今行っただろ?』
「!お、お前電話なんかかけてる場合か…?!」
『気にすんな、今屋上だからよ。この携帯も警察の支給品だしな。そんなことよりお前ら、無事脱出はできたみてぇだな』
「!…まぁな」
『根城になるようなとこあんのか?』
「いや、詮索中だ」
『やっぱりな。お前の弟、伊達政宗だったか?そいつのアパートに行け』
「何?」
『そのアパートの管理人に会いに行け。そいつがいいところを知ってる。じゃあな』
「何?おい、待…切りやがった」
片倉は小さく舌打ちして携帯を切った。片倉の隣で会話が聞こえていた竹中は僅かに眉間を寄せた。
「…アパートの管理人…?」
「ど、どうしたんだ半兵衛殿?」
「あの会社に来たらしい尼子が、政宗のアパートの管理人がいい場所を知っているから会いに行け、って言ってきやがった」
「政宗の?」
「どうする竹中」
片倉は竹中を振り返った。竹中は片倉の視線を受け、石田を見る。
「…君はどう思う?三成君」
「…そうですね。尼子という男は宇都宮先生の友人だと聞きました。私は彼が嘘をついているとはあまり思いません」
「どうして?」
石田の答えに竹中はそう尋ねた。石田はどもることなく、すらすらと答える。
「彼は宇都宮先生があの高校の体育教師だと分かっていても、今警察として新日本覇王にいる限り、彼自身に宇都宮先生を守ることはできない。彼が私を敵にしては、宇都宮先生が危険に晒される確率が高くなるだけです」
「…成る程ね。よし、一先ず行ってみよう。ガセネタならそれはそれでいいさ、確か政宗君の家はここより人は少ないはずだからね」
「そうだな、ワシらの所よりは都会よりだが、ここからは田舎よりだからな」
斯くして、五人は政宗の家に向かうこととなった。



 電車を乗り継いで一時間ほどで、伊達のアパートについた。少し離れた曲がり角から様子を伺う。
「…いかがいたす?」
「……君たちここに来たことは?」
「何度か泊まったりしたぞ」
「よし、なら家康君と幸村君でまず様子を見てきてくれ。気を付けて」
「承知いたした!」
徳川と真田は互いに頷きあうと、不自然さを見せないように歩いていった。
階段を上がり、伊達の部屋の前に来たとき、二人は不自然さに気がついた。伊達は新聞を購読しているのに、新聞受けに新聞がたまっていないのだ。
「…どういうことだ?」
「…分かりませぬ。誰ぞ回収したのでござろうか?」
その時だ。
「何故主らは亡者を欲す…」
「うわぁ?!」
「も、もんじゃっ?!」
突如聞こえた静かな声に二人は飛び上がった。右目に眼帯のように布を巻き付けた、和服姿の老人が階段の踊り場に立っていた。
「…あ、もしやあの姿、陸奥の南部殿では…」
「え?あ、本当だ」
「?」
南部晴政。老人なのに小田原の老人と違って運動神経が忍ばりなのが特徴だ。死者の魂を呼び戻すことができる人間でもある。
「あー…貴方は?」
「……。家主をしておる」
「!管理人殿にござるか?」
どうやら尼子が会えと言った管理人は南部のことのようだ。
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