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Not revolved transmigration 85

「…今から二週間前、突然ふらりと戻ってきたんだよ。外見も似てたし、あんまり疑いはしなかったんだ。孫市は何となく信用してなかったみたいだけど」
「…大谷警部は頭のいい人だ。判断はいつだって正確だった。それが、あの大谷警部にはない」
「要するにその偽物は頭が悪い?」
「いや、頭はいい。ただ、大谷警部が持っていた先を見る力はない…」
「成る程。優秀だけど策士ではないわけか」
「そうだな、そういうことになる」
ふむ、と竹中は呟いて、手を顎に添え目を伏せた。深く考え込んでいるのか、なかなか目を開けない。
長曽我部はぱちん、と指し棒を折り畳んだ。
「見た限りあそこの家はいくつかの警備会社を併用してるみてぇだ。うちの監視カメラもあったしな。でも確かなのは、あの家は警察の厄介にはなってねぇってことだ」
「…引っ掛かるな…」
「兄さん?」
石田は竹中がぽつりと呟いた言葉に竹中を振り返った。
竹中はいつになく難しい顔をしていた。
「引っ掛かるね。その大谷吉継…」
「でもよ、策士じゃねぇんだろ?」
「そう思わせているのかもしれない」
「何時になく慎重だな、半兵衛よ」
豊臣の静かな声に、竹中は豊臣を振り返った。前田もちら、と豊臣に視線を飛ばす。
竹中は僅かに俯く。
「松永はかなり慎重で抜かりのない人間だ、それこそ僕以上にね。吉継君が警視庁に帰ったのには必ず意味がある。…前田君、彼が帰ってきて変わったことは?」
「え?変わった、って…強いて言うなら、元気が戻ったかな」
「元気が戻った?」
竹中の不思議そうな声色に前田は頷く。
「潜入が失敗した後から、うちの組織犯罪対策5課は落ちこぼれの烙印を押されちゃってね。課長の大谷警部が相手に捕まっちまったのも大きくてさ。大谷警部はあの若さで警視に昇格する事になってたくらい優秀なデカだったから、孫市の代わりに、ってのも頭にきたみたいで」
「…君達が彼等を嘗めていたのが悪いのにね」
「はは、はっきり言うなよ…」
「それで、操作方針に何か変わりは?」
「…あぁ、そういや、また検討され始めたな、闡喪のヤマ」
「検討され始めた…つまりこういうことかな。吉継君が捕らえられた事により闡喪組に手を出すのはタブーになっていたけど、戻ってきたことでそのタブーが覆された?」
「うん、そうかな」
「……警察に闡喪組に関心を抱かせる……目をつけさせる…?」
「…兄さん?」
黙りこんだ竹中に石田は不思議そうに竹中の顔を覗きこんだ。
「……前田君、孫市君。君たちは帰ってくれないか」
「えっ?」
「君たちは関わらないでくれと言っているんだよ」
竹中は鋭くそう言った。前田と雑賀はぎょっとしたように竹中を見た。
長曽我部もきょとんと竹中を見る。
「ちょ、待ってくれよ!」
「待たない。君たちが動くのは迷惑だ」
「迷惑?!」
「…分かった」
「孫市!」
納得していない様子の前田を手で制し、雑賀は竹中を見据えた。
「……貴方には何が見えている」
そしてそう尋ねた。竹中は雑賀を振り返る。
「帰りたまえ。君たちに出きることはこの場から即刻立ち去ることだ」
「…知ることも足枷になる…ということか。分かった。行くぞ、慶次」
「!孫市!ちょ、覚えてろよ半兵衛!」
前田はさっさか出ていってしまった雑賀を、捨て台詞を残して慌てて出ていった。
長曽我部は少し残念そうに竹中を見る。
「ずいぶんつれねぇ帰し方じゃねぇか、竹中サンよ」
「…半兵衛、何を危惧している」
豊臣が静かにそう尋ねた。竹中は豊臣を振り返り、眉間を寄せた。
「……昨日の一件、松永は僕たちを待っていた。僕と孝高君だけ罠に嵌まった。家康君と三成君の前に片倉君が現れた。…僕は、松永がその一通りを全て分かっていたように気がしてならない」
「!」
「二人が言っていた大谷吉継が気になって仕方ない。だけど、警察も闡喪組をマークしだすとなると…警察を利用して何かしようとしているのかもしれない。となると、彼らがこちらに参加するのは彼らがとても危険になる、寧ろ、これ以上を知らないで戻ってくれた方がいいと思うんだ」
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