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Not revolved transmigration 92

「アンタだって、抜けてぇ気持ちが強いから俺達に話したんだろ」
「…………」
「アンタは多分今、その同居人を巻き込みたくねぇから決断出来ねぇんだろ。でもな、何も知らないとこで勝手に守られて知らねぇ内に相手が苦しめられてるのも滅茶苦茶腹立つんだよ!」
「!政宗、」
「アンタが同居人を大事に思うように、そいつだってアンタの事大事に思ってるはずだ!じゃなきゃ同居なんかしねぇ!そいつだって、アンタの消息が知れねぇ事を、気に病んで苦しんでる!」
「…」
「アンタが俺たちについて、松永を捕まえりゃいいだけだ!そうすりゃ何もかも丸く収まる!」
「分かったからでけぇ声出すんじゃねぇ。…取り合えず座れ」
尼子の言葉に伊達は黙って座った。片倉は困ったように伊達と尼子とを見ている。
尼子は、ふぅ、と息を吐き出した。
「……俺は片倉ほどチャレンジャーじゃねぇんだよ」
「あ?!」
「俺は松永が怖い。だから従ってきたんだ」
「……ッ」
「…私は度胸があるわけじゃない。一人称が俺に変わるときは本当に余裕がねぇ」
「…!」
片倉はきゅ、と拳を作った。伊達ははっとしたように片倉を見上げる。
片倉は自嘲気味に笑うと尼子を見た。
「私は後先の事なんざ何一つ考えちゃいなかった。ただあの時分かったのは、ここで裏切らなかったら私は政宗を守れないという事だった」
「…」
「姉さん…」
「お前も薄々分かってるはずだ。お前を闡喪に縛り付けている借金が無くなったら、今度は同居人が縛る鎖になるってことは」
「あぁ…」
「世辞なしにはっきり言う。新日本覇王の人間は予想以上に出来る。策士と戦士が揃ってる。上手くいけば、松永を倒せる」
「!」
「それをより確実にする為にも、お前に協力してほしいんだ」
頼む。
片倉はそう言って机の上に出ていた尼子の手を握った。尼子は驚いたように片倉を見て、握られた手を見下ろした。
伊達は黙ってじ、と尼子を見つめる。
暫しの間尼子は握られた手を見つめていたが、その手を振りほどいた。
「!」
片倉の表情が僅かに暗くなる。
だが尼子は、振りほどいたその手でホットグラスを手に取り、一気にそれを飲み干した。
「!尼子、」
「、は。……分かった」
「!」
「表立っては出来ねぇが、手伝ってやる」
「……!…すまない…ッ」
「何の話だ。俺が決めたことだぜ?」
尼子はそう言いながらぷいと顔を逸らした。何故か僅かに顔が赤い。
伊達はそんな尼子ににや、と笑った。
「…もしかしてアンタもその口か?」
「は?」
「違う!」
「へぇ?…どうだか」
「…?よく分からないが、尼子。お前のことを信じる」
「!」
片倉は、す、と小さな紙を差し出した。携帯の電話番号とアドレスが書かれている。
尼子はそれを受けとると小さく笑った。
「…お前の信用は裏切らねぇよ、ただ、一つ頼みがある」
「なんだ?」
「同居人の話だ。俺がいなくなる前に住んでた所と名前を教えるから、今どうしてるか調べてくれねぇか?」
「あぁ…分かった」
「名前は、宇都宮広綱」
「ぶっ!!」
尼子の口から出た名前に思わず伊達は噴き出してしまった。尼子が不愉快そうに伊達を見る。
「…何がおかしい?」
「……ホワイトタイガーが好きで『感じるな、考えろ』が口癖だろ?」
「?!なんで分かった!?」
「なんで分かったも何も、宇都宮はうちの学校の体育教師だよ!」
「はぁぁ?!」
尼子はすっとんきょうな声をあげた。
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