2012-4-11 23:55
「た、体育教師って…」
「子供みてぇな奴でよ。まぁでも、結構校内では人気だぞ」
「…そうか…」
尼子はどこかほっとしたように息をついた。片倉も薄く笑む。
「…しかし本当今回の事件内輪ネタだな…」
「……確かにな。ってことは、アイツは石田の同僚なのか」
「そうなるな。来たばっかの時一回だけ一緒に授業した事あったからか、仲良いみたいだぜ」
「…そうか」
「…確実に松永は知ってただろうな」
「!」
「そうだな」
尼子は、はぁ、と深く息を吐き出した。わしゃわしゃ、と、髪の毛をかき回す。
「……、尼子」
「それ聞いて安心した。俺も迷いなく裏切れる」
「!」
「……今日はこれでお暇させてもらうぜ。何か分かったら連絡する。あぁ、勘定は俺が持つ」
「………あぁ」
勘定を済ませ、ひらひら、と手を振って店を出ていった尼子に片倉は小さく笑った。
店から出て、先ほどのカフェの前に戻る。
「!政宗、片倉殿ッ!」
そこには徳川と、いつ来たのか長曽我部と真田が待っていた。
ぐっ、と拳を突き上げた伊達に三人の目は僅かに輝いた。
「上手くいったんだな!」
「あぁ…」
「よかった…!」
徳川はほっとしたように息をつき、真田はうおおおお、と小さく声をあげた。
伊達は二人の反応に肩を竦める。
「マジビックリしたぜ。今回内輪ネタすぎてもう」
「団扇寝た?」
「ま、細かい話は明日にしようぜ。姐さんも疲れただろ」
真田の頭をぽんと叩き、長曽我部はそう言って柔らかく笑った。片倉も僅かに苦笑を浮かべた。
「…助かる」
「よし、帰るぞおめぇら!」
長曽我部はそう言うと子供三人の頭をがし、と掴んだ。
会社に戻った頃には11時を過ぎていたが、社長室にはまだ灯りが点いていた。駐車場に車を止めた所で長曽我部は首をかしげる。
「……先寝てろって言ったんだけどな」
「政宗殿達は寝てしまったでござる」
「あ?!仕方ねぇなぁ、幸村ぁ、悪いが政宗頼む」
長曽我部は呆れながらも片倉を左腕で姫抱きに、徳川を右腕で俵担ぎに抱えあげた。真田は伊達を背負う。
真っ暗な社内を、社長室に向かって静かに歩く。その時。
「大将!」
「!!さ、佐助!」
地下駐車場からエントラスにあがると、何故か受付ロビーに猿飛がいた。焦っているのか、息が荒くなっている。
「どうしよう大将!!小太が、かすがが…っ」
「?!どうしたのだ、落ち着け!何があったのだ?!」
「!…これが、帰ったら…」
猿飛は顔を真っ青にさせていた。真田は猿飛が持っていた封筒に目を見開いた。
「これは最上が置いていった…ッ!!」
「!」
真田は慌てて封筒の中身を取り出した。一枚の紙切れが入っていた。真田の上からそれを覗きこんだ長曽我部は目を見開いた。
「社長を殺せだぁ?!」
「かすが殿が人質に…?!」
「だから社長さんに会いに来たんだけど…ッ!」
「んなこと言ってる場合じゃねぇ!社長室行くぞ!おい、家康起きろ!」
長曽我部は徳川を起こすとエントランスのソファーに伊達と片倉を座らせ、徳川に二人を任せて床を蹴った。
三人はエレベーターが動かないため、階段を全力で駆け登り、勢いよく社長室に踏み込んだ。
のだったが。
「…む。元親よ、驚かせるな」
「………社長っ?」
社長室には豊臣と風魔が確かにいたのだが、何故かそこに金髪の少女もいた。かすがだ。
「かすが!小太?!」
「!佐助!」
「…!」
二人は猿飛に気がつくとほっとしたように立ち上がった。