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Not revolved transmigration 88

「…尼子と接触、か………」
「…無理かな?」
「出来はするだろうが、味方にするのは簡単じゃねぇと思うぞ。何よりこちらの行動がばれる」
「そうだね」
「……何が目的だ?」
理解した上で無理を言う竹中に、片倉は眉間を寄せた。竹中はなにも言わず首を横に振った。
「…でもよ、竹中さん。あの二人ぜってぇなんか行動起こしてると思うぜ?」
「…確かにね……」
「前田はともかく、雑賀がいるなら大丈夫だと思うが」
「あの姉ちゃんも知ってんの?」
「まぁ、な。優秀な奴だ」
「…仕方ないね。家康君、政宗君、ちょっと頼まれてくれるかな」
竹中はそう言いながら深々とため息をついた。



 「…大谷警部」
「?どうしやった。主は確か、前田と共にしばらく非番であろ?」
それから20分後、渦中の人雑賀は早速行動を起こしていた。豊臣の会社を出た後二人で長らく話し合い、警視庁に戻ったのだ。前田は警視庁の側で待機している。
目の前に座る大谷は少しばかり驚いたように雑賀を見た。雑賀はぐ、と拳を握りしめた。
「…大谷警部。申し訳ありませんでした」
「ヒヒッ、何を謝る。その話はもう良いと言うたであろ?」
「…大谷警部は変わられました」
「…?」
「それはきっとあの事件のせいであり、私のせいなのでしょう…」
「何を言いやる?」
大谷の目が僅かに影を帯びた。雑賀は真っ直ぐその目を見つめ返した。
「…どうしても、言いたくなったので参りました」
「………変な奴よな。言いたいことはそれだけか?」
「今晩、お付き合い願えませんか?前田と共に礼をしたいのです」
「…やれやれ、主がそれで気がすむのなら好きにしやれ」
大谷はじ、と雑賀のことを見つめた後、息を深く吐き出しながら了承した。雑賀は大谷に頭を下げて部屋を出、エレベーターに乗ったときに小さくガッツポーズを作った。
警視庁を出て前田の待つ喫茶店へ向かった。席につくなり身を乗り出す。
「OK出たぞ」
「うし。大谷警部に恩義があるのは本当の事だしな。でもどうする?半兵衛怒るぜ?」
「…私たちはあの大谷警部をあくまで本物として扱えばいいだけの話だ」
「ま、そうかも。…でも大谷警部呼びつけただけじゃ何にもなんねぇよ?」
「ハハ、全くだな」
二人がひそひそと話していたというのに、突然割り込む声があった。二人は仰天してそちらを見る。
オールバックで右目に顔半分を覆う眼帯をつけた少年と、黄色いパーカーの少年が二人の隣に座っていた。どこかで会ったような気がする。
「…誰だ」
「Ha!!一時間半前に会った奴とは思わねぇか?」
「?…………あ!君たち乱入してきた!」
前田の驚いた声に少年達、伊達と徳川はにやりと笑いあった。
「政宗だ。こっちは家康。特徴を別に作ると案外分からねぇだろ?」
「…あ、あの時のオールバックの子か!え、なにしてんの?!」
「何してるって見りゃ分かるだろ。竹中サンがどうせアンタ等が何かしら行動起こすだろうから見に行ってくれ、ってな。ったく、なんでアンタらも動くかね。ま、午前中は部屋に缶詰めだっから助かったけどよ」
「その偽者、呼び出したのか?」
「こっちはこっちで勝手にやる」
「どうやってだよ?」
つんと言い返した雑賀に伊達は鋭くそう聞き返した。う、と雑賀が詰まる。
「いいか?相手にはアンタ等が潜入してたことなんて分かってんだ。アンタ達が呼び出した後、アンタ達がさらわれる可能性なんて十二分もあるんだぜ。…これ以上人質が増えたら大谷さん助けられなくなるだろ」
「!」
「アンタ達が大谷さんを助けたいのは分かる。だけどそれは俺達だって一緒だ。竹中サンがアンタ達に帰れっつったのは、何も知らなければそいつに警戒心を悟られないですむからだ」
「!…だ…だが…足手纏いになるのは分かっても、何もしないなんてことは…!」
雑賀はそう言うと固く拳をつくって俯いてしまった。前田も二人から顔をそらす。
伊達と徳川は耳に手をあてたかとおもうと、またにやと笑った。
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