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Not revolved transmigration 97

「黙らせるって何する気だよ!」
「安心しろ
殺すとかそういうことはしない。ちょっと寝てもらうだけだ」
「出来るのか?」
「兄さんに動物用麻酔を渡されている、免許は持ってるから大丈夫だ」
「免許持ってんならなんで獣医にならなかったんだよ」
す、と吹き矢を取り出した石田に長曽我部は困ったような表情で振り返った。石田は矢を筒にセットしながら肩を竦める。
「医者は深夜に急患来たりするだろう。不定期な生活はしたくなかった。鶴が成人したらまた考える」
「…なぁるほど。分かった、なら犬は任せるぜ!」
長曽我部はそう言うと地面を蹴った。石田は吹き矢を口元に構え、暗闇に目を凝らした。
長曽我部は静かに走り抜け、石田に言われた場所で止まった。屋敷の壁に背をつけ、コンパクトライトで足元を照らす。石畳で出来ているその地面に、長曽我部は亀裂を見つけた。
す、とそこに手を添えると、USB端子のようなものに触れた。
「…差し込んでみるか」
長曽我部はノートパソコンからコードを伸ばし、その端子に差した。ぱっ、とノートパソコンの画面にパスワード入力画面が現れた。
「ちっ。俺の手製だが間に合うか…?」
長曽我部は自作のキー解読プログラムを起動させた。プログラムにより、ゆっくりとキーが解読されていく。長曽我部は被っていたフードを更に深く被った。
そこへ石田がやってきた。吹き矢などが入っていた大きなリュックを静かに横におく。
「…仕留めてきたぞ」
「仕留めたとか言うなよ…それより、これの解読にはもうちょいかかる。頭ちゃんと隠しときな」
「あぁ」
二人はその場に留まり、キーの解読が終わるのを待った。
約15分後、キーの解読が終わり、石畳ががばりと開いた。中に入っていたのは、石田が託されたUSBと同じタイプのUSBが一つ。長曽我部はそれを持ち上げると石田を振り返った。
「どうする。コピーしてる時間はねぇ」
「大丈夫だ」
石田はそう言うとごそごそとポケットを漁り、見取り図の入っていたUSBを取り出した。
「これを置いていけばカモフラージュになるだろう」
「準備いいな!よし、さっさと出るぞ。監視カメラはもう作動してるかもしれねぇ、一気に突っ切るぞ!」
「あぁ!」
石田と長曽我部は頷きあうと地面を蹴り、行きと同じように走り出した。途中一つのセンサーに見つかり、屋敷内にけたたましいサイレンが鳴り響いた。
「ちっ!」
「連れてきて正解だったな」
「へっ?」
僅かに焦った長曽我部を横目に石田はリュックを下ろし、何故かその中から犬を取り出してセンサーが当たった木の上に置いた。サイレンで目が覚めたらしい犬はキョロキョロとしている。その隙に二人はその場から走り去った。
「何だよあの犬!」
「眠らせた奴だ。センサーに探知された時用に連れてきた」
「本当準備いいなあんた!」
石田と長曽我部は勢いよく跳躍して塀を飛び越え、織田邸から見事抜け出した。
バンの所まで走り、バンに乗ってふぅと息をついたその時、長曽我部の後頭部にかちり、と銃口が突きつけられた。
「「!」」
二人の息が止まる。
「油断していたね?安藤君」
「てめぇ…誰だ!」
「貴公に名乗る義理はないのだかね。さぁ!織田邸で手に入れたものを渡したまえよ」
「貴様松永の手の者か!」
「動くんじゃないよ。そうなればこの山田君の頭に開くことになるよ」
ごり、とその男はさらに銃口を長曽我部に押し付けた。
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