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Not revolved transmigration 86

「…考えすぎじゃねぇか?」
「あぁ、僕の考えすぎかもしれない。でもね、ずっと気になっている事があるんだ」
「?」
「この会社に松永の部下がいないことだ」
「!」
常に冷静だった豊臣の目が、今までになく見開かれた。
「この会社は新入も派遣もこの1年入ってきていない。僕は松永がそんなに前から行動を起こしていたとは思えない。それなら、政宗君拉致未遂から今回の事件までこんなに穴が開く理由がない」
「…警察も手ェ出してんのにウチにはいない…確かに引っ掛かるな」
「元就君に頼んでおいた全社員の身元調査でも出なかった。でもこの社長室に、近づいてくる社員もいない。これは一体どういうことなんだろう」
「………我らのなかにいると思っているのならそれはないぞ、竹中よ」
毛利はそう言うと竹中を見据えた。竹中は薄く笑って首を横に振る。
「僕もそれは思っていないよ。寧ろこれだけ近くにいたら気がつく。だからこそ、怖いんだよ」
「半兵衛………」
「…怖いよ。相手の腹が見えないからね」
竹中はそう言うと悲しそうに笑い、ぎゅうと拳を握りしめた。
その時、机の上の携帯が鳴った。片倉からの入電だった。
『竹中!』
「どうしたの」
『最上が止まった。どうやら最上の根城は判明したぜ』
「!一人一人違うのかい?」
『あぁ。幹部と松永は利害で結ばれた仲だからな。誰かがヘマした時組まで繋がらないよう、根城は全員別だ』
「へぇ…。分かった、引き上げてきていいよ。そこをどう扱うかはもう少し考えたいんだ」
『分かった。だが、最上は味方にゃならねぇぞ』
「!なぜ?」
片倉の言葉に竹中は意外そうに首をかしげ、そう尋ねた。
『元々最上は織田議員のサポーターだった』
「!」
『松永の狙いが織田議員なら、奴は松永を裏切ることはしねぇ』
「彼が目的のものを僕たちが先に見つけたとしても…かい?」
『……どうだろうな。確かにそれなら案外寝返るかもしれねぇ…が、なんか当てでもあるのか?』
「一応ね。取りあえず戻ってきて。ありがとう、お疲れ様」
『……了解』
片倉はそう言うと電話を切った。伊達と徳川はほっと息をつく。
竹中もふぅと息を吐き出した。
「取り合えずこちらは無事ですんだね」
「あーよかったぜ」
「……そういえば石田先生。鶴殿はどうしているんだ?この件の事は知らないんだろう?」
ふ、と徳川は思い出したようにそう尋ねた。石田は徳川を振り返る。
「あぁ、黒田さんが相手になってくれている。あの人意外に頭がよくてな。勉強しているそうだ」
「へぇー」
「…これからどうする?不忍の兄ちゃんに指示が出るのにももう少しかかるだろうしよ」
「…幸村君達が帰ってきたら報告会にしよう。それから考えるよ」
「そうか。じゃ、食堂に出前頼んでくるわ!」



 それから30分後、二人が帰ってきた。
「ただいま戻り申した!」
「おかえり、真田!」
「姉さんも幸村も無事で何よりだぜ!さ、飯にしようぜ」
伊達と徳川が出迎える。社長室に一同が集合していた。
片倉と真田は残っていた席に座った。
「さて、食べながらでいいから報告してくれないか?」
「あぁ。最上の本拠地は新宿にあるマンションだ。これがその写真と正確な住所」
「表札は6005室となっておりもうした!」
「間違いない?」
「恐らく。こう言うのは悪いが最上は幹部の中で一番どんくさい。まず間違いないだろう」
片倉はそう言うとお握りを口に運び、飲み込む勢いでひとつ食べた。
真田もくちをもぐもぐとさせながら竹中をみた。
「石田先生方の方はどうでござった?」
「なかなかいい収穫だったぜ」
真田の問いに長曽我部はにやりと笑い、缶コーヒーを一気に煽った。
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