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Not revolved transmigration 50

「…兄さんはどう来る、と…?」
躊躇いがちにそう尋ねた石田に竹中は目を細めた。
「……僕が君を連れだしたのは2つの理由がある。1つはさっきも言った、エサの管理。相手は“三成君が持っている”と認識していて、まだどれがそれなのかは掴んでいない。掴んでいるなら僕達を襲うような事はしない」
「…私自身がエサ……」
「それはいくらなんでも危険じゃ…?」
「いい。…生徒を巻き込んだ以上、体は私が張る。負けはしない!」
「…、もう1つは別の可能性を考えてだ」
「別の可能性…?」
徳川と石田の会話を聞いて竹中は一瞬目を細めた後、そう言った。石田は不思議そうに竹中を見る。
「このGPSが囮、だという可能性」
「?!囮って…?」
徳川の言葉に竹中は視線を上げた。
「相手の力が未知数である今、相手が僕達に気が付いていない、という都合のいい可能性から大谷君の数珠がGPSだとばれている可能性まで考えなきゃならない。最悪の場合、このGPSは僕達を罠へ誘うものかもしれない」
「…そうか。石田先生がこちらにいるのはそういう訳か…」
「?どういう…?」
「直線ルートは尾行がバレやすい。もしGPSが囮なら、最も罠にはまりやすいという事になる。だけど石田先生がいるなら下手に手は出せないし、寧ろ罠にはまってそれを無くしてしまう事がないように計画を変えなければならない……。GPSに大きく動きが出るはず」
「!成る程…」
「そういう訳で僕はGPSを見る。三成君、次の信号で止まったら助手席に移動してくれるかい?」
「分かりました。…徳川」
「な、なんだ?」
竹中の言葉に頷いたと思ったら話を振ってきた石田に、徳川は僅かに驚きながら石田を見た。
「…止めはしない。だが、…無理はするなよ」
「え…あ、はい……」
徳川は思わぬ石田の言葉に僅かに戸惑いながらもそう返し、ちょうど車が止まったため石田は荷台を降りていった。
徳川は暫く石田が降りた方を見つめた後竹中を振り返った。
「…実際、一番可能性が高いのは?」
「…GPSは本物。相手は待ち受けている」
「根拠は?」
「恐らく敵は今ごろ元親君の身元が分かるくらいのはず。こちらの動きは知られていないだろう、でもこちらが動いている事は分かるはず。元親君が仲間である時点で、こちらが大谷君を見捨てるのはあり得ない。なら、取り返しにくるであろう僕達を待っていればいい」
「…なるほど。だけど、石田先生が来るとまでは分からないのでは?それも狙いのものを持って」
「考えてみたまえ。ここは戦国じゃないんだ。力だけではどうしようもないんだよ。相手が警察を呼んだら、悪いのは僕達になる。情報戦はそういうものだ」
「……もし、最悪のパターンであるこのGPSが囮だったら?」
徳川の言葉に竹中はくすりと笑った。
「三成君にはああ言ったけど僕はまずないと思う。それに、分かった所で秀吉は大手の警備でも業績、規模ともにトップを誇る警備会社だ。ヤクザが乗り込もうものなら、飛んで火にいる夏の虫だ。それに、秀吉は強いからね」
「…かつてと同じくらい、か?」
「君もそうだろう?」
「ッ!」
竹中の言葉に徳川は僅かに竹中を睨んだ。竹中は上着のジャケットの裾から、先ほど黒田を叩いた鞭を取り出した。
「僕もそうだからね。生憎、これは使い勝手悪いけど」
「…」
徳川はふいと目を逸らした。
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