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Not revolved transmigration 45

それから30分後。
「遅い!」
長曾我部と伊達はまだ帰ってきていなかった。
毛利は苛立ったように、しかし規則的に指で机を叩いていた。
「落ち着きたまえ。…爪が割れてしまうよ」
「割れぬわ。計算済みよ」
「…だが、確かに遅いな…。何も起きてないといいんだが…」
「!徳川殿………」
徳川の呟きに、真田も僅かに不安を覚えた。
その時、部屋の扉が勢いよく開いた。
「秀吉さん…ッ」
「!?政宗、」
「元親ッ?!」
そこには、ぐったりとした長曾我部を背負った伊達がいた。結構な距離を歩いて来たのか、伊達の息は荒い。
毛利は真っ先に2人に駆け寄った。
「何があった!」
「大谷さんが…」
「吉継?!」

―――――――――――

コンビニを出た2人は行きと同じように他愛のない会話を交わしながら歩いていた。
その時、伊達が携帯が落ちているのに気が付いた。
『携帯落ちてら』
『ん?…あれっ?』
『?』
長曾我部は屈むとひょいとそれを持ち上げ、くるくると手の内で回した。
『これ、吉継の携帯じゃねぇか。白に赤いラインに…あ、ほら、やっぱり。向かいあってる蝶々のシール』
『…でもなんでこんな所に落ちてんだ?落としたのか?』
『……いや、それはねぇと思う…』
『?』
伊達の言葉に携帯を開いた長曾我部は表情を険しくさせた。
立ち上がり、携帯の画面を伊達に見せる。
『文字打ってる途中だぜ?』
『…本当だ。え?じゃあなんで?』
『……誰かに襲われた、とか』
長曾我部がこぼした言葉に2人は顔を見合せ、携帯が落ちていた場所のすぐそばの、路地裏に続く道へと目を向けた。
『…ちょっと見てくるか。政宗は俺の少し後ろにいろ』
『分かった。…本当にピンチなら俺も加勢すっからな』
『本当にピンチならな。…まだうちが匿ってるってバレるわけにゃ、いかねぇしな』
長曾我部はそう言うと着ているベストの裾に手をいれ、路地裏に入った。伊達は長曾我部から5メートルほど離れてついていった。
路地裏は一本道で、しばらく進むとT字路に突き当たった。
『おやおや、こんな所に来るとは奇特な方ですね』
『!!』
T字路の少し手前まで長曾我部が近づいた時、長曾我部に話し掛けた者がいた。
やや高いが男の声。T字路の先、長曾我部から見て右手。
『…アンタこそ奇特な野郎だな』
『フフフ…そうですねぇ』
『吉継に何しやがった』
長曾我部は単刀直入にそう言った。T字路の男は僅かに驚いたような気配を見せた。
『おや…貴方は刑部さんのお仲間でしたか』
『刑部…?!誰だそりゃ!吉継の事か!』
『どうりで聞き覚えのある声だと思いました。貴方、長曾我部元親ですね?』
『なっ……』
長曾我部は思わず驚きに声を上げてしまい、ちっ、と舌打ちするとベストの中から警棒のようなものを抜き取った。
『出てきやがれ!』
『これは困りました…今あまり他人に構っている暇はないのですがね』
男はそう言いながらも、T字路の出口に姿を見せた。伊達は咄嗟に路地に詰まれていたゴミの影に隠れる。
『!吉継ッ!!』
『…!』
大谷は男に姫抱きに抱え上げられていた。意識はないのか目は閉じられ、長曾我部の言葉に反応しない。
長い銀髪を揺らしながら、男は鉄仮面で見えない口から笑い声を漏らした。
『彼は元々こちらのものなので、返していただきますね』
『っざけんな!誰だテメェはッ!!』
『すいませんが、名乗る事の出来る名前は持っていませんので』
男は飄々とした口振りでそう言った。
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