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Not revolved transmigration 25

放課後、真田は伊達に呼ばれて屋上に向かった。伊達はフェンスにもたれかかって空を見上げていた。
「話とは何でござろうか、政宗殿ッ!」
「あの日…お前、俺に言ったよな。俺に隠してる事は墓まで持ってかなきゃならねぇ、って」
「…!」
伊達から切り出された話に真田は目を見開いた。伊達は真田の方を見る。
「いや、あの日言ったように聞くつもりはねぇんだ、ただ…お前、いつからそんなもん、背負ってたんだ?」
「…何故斯様な事を…?」
「俺がお前と初めて会ったのは、この高校の入学式だよな?」
「…む、無論」
思わず返答が遅れたが、伊達は気に留めなかった。
「あれからまだ二年も経ってねぇ。…なのに、お前がそれだけのもんを抱えた理由が分からねぇんだ」
「……政宗殿と出会う前から持っており申す」
「えっ?」
うーん、と考え込んだ伊達に、真田はぷっ、と笑った。ぽかんとしている伊達に真田は困ったように笑った。
「…じゃあなんで…?」
「たまたま…それに政宗殿が関わっておっただけの事でござる」
「…ふぅん…何だか…重そうだな」
「重くはありませぬよ。…ただ、関わっている方と遭遇するたび…悲しくはなりまする」
「幸村…」
伊達は僅かに眉間を寄せ、真田から目を逸らした。
真田は、そんな伊達に笑ってみせた。
「気になさらないでくだされ。某ももう、慣れました故。それに、徳川殿も、同じにござれば」
「…?!い、家康も!?」
伊達はぎょっとしたように真田を見た。真田は視線をグラウンドに向ける。グラウンドではサッカー部が活動していた。呑気な声が屋上にも届く。
「…お前らが何となく距離あるのはそのせいか?」
「いかにも。…かつては敵対しており申した」
「敵対?!…なんで今はしてねぇんだ?」
「何故、で、ござるか?…うむ……他にも某達のような者が多ければきっと、敵対したのでござろうが…徳川殿しか、おらなかったから、でござろうか」
「…、そんなに辛いのか」
「何故に持っていなければならぬのかが、まだ分からぬ故…時折、苦しゅうござる」
真田の言葉に伊達は悲しそうに表情を歪め、視線を同じようにグラウンドに向けた。はた、と伊達の視線が職員室に止まる。
「…石田先生も、関係してんだな」
「……いかにも」
真田は否定しなかった。伊達はしばらく迷った後、真田を見た。
「石田先生は、俺よりお前らが背負ってるそれに深く関係してんだろ?」
「………そうですな」
「…その…平気なのか、お前も家康も」
「某は大丈夫でござる。…、ただ…徳川殿は分かりませぬ」
「…確かに、あの先生が来てから家康の奴、ぐっと元気が無くなったしな」
真田は伊達に視線を向けた。そして、少し迷ってから口を開いた。
「この際申し上げまする。貴殿の父上殿、豊臣秀吉殿も、同じにござった」
「………。えぇぇぇぇー?!なんだそりゃ!…だ、だけど…な、ならあの人が俺を引き取ったのはそれが関係してんのか?!」
「いえ、全く接点ないゆえそれはないかと」
「せ、接点ないのか。…だけど……一体なんでお前や家康、そして秀吉さんが背負ってんのに…俺は何にもないんだろうな」
「分かりませぬよ、斯様な事は」
2人はほぼ同時に腰を下ろした。フェンスに背中を預け、ふぅと息をつく。
「…それゆえ、あまり徳川殿に豊臣殿や石田先生の話はしないでやって下され。…徳川殿を案じる訳ではござらんが、分からないでもないゆえ…」
「あぁ、分かった」
伊達は真田の言葉に頷いた。
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