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Not revolved transmigration 39

2人は、隠すような事ではないと判断し、今見て聞いてきた事を竹中に話した。
竹中は、ふむ、と呟くと片手を口元に添えた。
「大谷君がね…しかし鶴ちゃんは何してるんだか」
「…秀吉公。そんな刑部を参加させて…いいのか?」
竹中から少し離れた所に座っていた豊臣に、徳川はそう尋ねた。豊臣は徳川の言葉に目を細め、頷いた。
「構わぬ」
「しかし顔が割れておるのでござろう?黒田殿の言葉ではござらんが……危険すぎるのでは?」
「それくらい分かっておるわ。吉継も分かっている。その上で、…吉継は自分を利用したいそうだ」
「……え……?」
豊臣の言葉に思わず2人は呆然としてしまった。
徳川は僅かに顔を紅潮させ、ばんと机を叩いた。
「自分を利用したいって…それを容認したのか?!」
「相手がこちらに大谷君がいると分かれば、必ず接触してくる…って事か」
「!!半兵衛殿!」
「さ…されど…」
「どうして…!!」
僅かに怒りを見せる徳川に、豊臣はじろとその目を見据えた。赤み掛かった鋭い目に見据えられ、徳川は思わず足を引いたが、すぐにその目を睨み返した。
「…そんなの間違ってる!」
「そしてまた我を力で止めるか」
「ッ!」
口籠もった徳川を豊臣は静かな目で見据えた。
「貴様は何も知らぬ。これ以上、吉継の事には口を出すな」
「秀吉公ッ!」
「あやつは本気だ。政宗の家で、その名を見た時からな」
「でもだからって…!」
「我に言うな。文句があるならば吉継の元へ行け。…貴様が何を言おうと変わらぬとは思うがな」
「…ッ」
徳川は悔しそうに拳を作った。
真田はそれをしばらく見つめた後、竹中に向き直った。
「…竹中殿は何かご存知なのでござるか?」
「いや、大谷君の事は特に聞いていないよ。大谷君は秀吉と官兵衛君…いや、黒田君にしか話していないみたいだから、又聞きするのはよくないだろう?」
「…そうなのでござりまするか。豊臣殿、何故大谷殿は貴殿はともかく、黒田殿に話されたのでござろうか?」
「…貴様は貴様で変な事を気にするのだな」
豊臣は真田の問いにそう言うと、我も知らぬ、と応えた。
「それがどうかしたのかい?」
「…いえ、黒田殿だけに話したのにも何か意味があるのでは、と…今まで見てきた印象で、ここの大谷殿は、無駄なことは一切しない方とお見受けしたので」
「!…………」
徳川ははっとしたように真田を見ると僅かに視線を落とした。
真田の言葉に豊臣と竹中は顔を見合わせた。
「…確かにね。何か意味はあるんだろうけど…残念だけどさっきのだけでは分からないな」
「む…そうですな、申し訳ござりませぬ」
「それより、君たちは僕たちを呼びに来たんだったよね。行こうか」
竹中はくすりと笑ってそう言うと、豊臣と連れ立って部屋を出ていった。
徳川と真田はその後に続いた。
「……真田、お前冷静だな」
「…言動ほど冷静ではござらんよ。大谷殿の過去は気になりまする、されどやはり…大谷殿が黒田殿に話したというのも分からぬのでござる。どちらにも記憶がないとは申せど…何故それが黒田殿なのか、気になって仕方がないのでござるよ」
「……そうだな」
「何かそこに意味があるのだとしたら、その意味は何なのか…。三成殿が…石田先生が関わっている以上、何も見過ごしたくないのでござる」
「…そういう事か」
徳川はどこか納得したようにそう言うと、視線を前に戻した。
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