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Not revolved transmigration 40

「!遅ぇよ家康!」
漸くやってきた徳川達に伊達はそう毒づいた。大祝は疲れたのか、石田の膝を枕に眠っていた。
石田は顔を竹中に向けた。豊臣は部屋に入ってきていない。
「兄さん、昼御飯食べましたか?」
「うん、ちゃんと食べたよ。それで、どうしたんだい?」
「…、兄さん。私に出来る事は、隠れている事だけでしょうか」
石田の言葉に竹中は僅かに驚いた様子を見せた後、薄く笑みを浮かべた。
「彼らから大谷君の話は聞いた。もしかしてその事かな?」
「!………、はい」
「そうだね。その問いに答える事は難しいな…何しろ、僕たちは敵の標的だかね」
「…それは分かっています」
「確かに、僕たちは表立って動く事は出来ない。…、だけどそれは仕方がない事だよ」
「ですが、だからと言って…無関係の人を巻き込むのは…。悪だとまでは言いませんが、善ではありません」
「…君は正義感が強いからね。彼らを巻き込んだ事も、自分に心当たりがない事も、辛いんだろうね」
「…辛いだけでは何にもなりません」
石田はそう言うと目を伏せた。ぎゅ、と強く拳を握る。
「…相手の目的が全く見えない今は、動くことは出来ないよ。いや…動いてはいけない時だ。相手に尻尾を掴まれる」
「…私は…大谷さんの話を聞いていて……彼が、…彼の過去と共に、危険な事をしそうな気がして……」
「…うん」
「…私は軟弱者ではありたくない……ッ」
「動けない事は弱さではないよ」
「しかし!」
「寧ろ、君が動く事は犠牲を増やすだけの迷惑行為だ」
「ッ!」
「それは分かるね?」
竹中の言葉に石田は竹中から目を逸らした。
口を出すに出せない3人は顔を見合わせた。
「それは君の悪い所だよ。何でもかんでも斬って進めばいいんじゃない。時には他者に任せなければならない事もある。いい加減理解しなよ」
「……はい……すいません………」
厳しい竹中の言葉に石田はそう返すと、どこか悔しそうにきつく目を閉じた。
竹中はやれやれとでも言いたげにため息をつくと、石田の向かいに座った。
「…、君に1つ聞きたいんだけど、いいかな」
「…何ですか」
「昔、確か君が高校生の時、君の同部屋の子がヤクザに攫われたよね?」
「はい」
「彼を攫ったヤクザ、…臭いと思わない?」
「…?……同じヤクザだと言いたいのですか?」
「少しは君も考えなよ。君とヤクザという組織の接点、それはそのヤクザしかないだろう?」
「……そういえば…そうですね」
「…確か今警察官になっている方でござったな」
「あぁ、そういえばそう言ってたな」
「……なァ、大谷さん、後輩が俺と同じ理由で攫われた事がある、って言ってなかったか?」
伊達の言葉に竹中は驚いたように振り返った。
「それは本当かい?」
「あぁ、そういえば言ってたな」
「…あいつが大谷さんの後輩にあたる、と?」
「考えられない事じゃない。大谷君に聞いてみよう」
「!兄さん、」
「大丈夫。大谷君に聞くだけで、彼に接触するつもりはないから」
「!…………」
「彼の名前、何だったっけ?」
「…前田です。下の名前は長らく聞いてもいないので忘れました」
「前田か。ありがとう、今ちょっと聞いてくるよ」
「!竹中殿、某が行ってきまする!」
「?そうかい?じゃあ、任せるよ」
伝令を申し出た真田に竹中は僅かに驚いた後、ややあって何か理解したように笑うと承諾した。
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