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Not revolved transmigration 23

―――――

『三成殿ッ!』
『ぐ…は…ッ。どけ真田…!』
『なりませぬ!今動かれては…!』
『このままでもどうせ死ぬ…!ならば…家康と最期まで斬り合って…ッ』
『三成殿…!』
『……ッ…』
ぼたぼたと零れる血に、真田は無理矢理戦闘から引き離した彼を強く抱き締めた。彼はぜぇぜぇと息を荒くしながらも、真田の言葉に漸く動く事を諦めた。
息の荒い彼を、真田は静かに横たえた。
『真田…』
『三成殿…ッ』
『許せ等は言わない…ッだが…泣くな…』
頬に触れた、武具越しに伝わる冷たい体温に、真田はその手を掴んで己に押しつけた。彼の頬にも己の手を添える。
『分かっておりまする……。…お慕い申し上げておりまする、三成、殿……ッ』
『……貴様に…無理に生きろとは言わん…。…ただ……先に行っ…て……待っている………』
彼はそう言うと、ふっ、と優しく笑って静かに目を閉じた。
―――少しして、その手から力が無くなった。
戦火から離れた静かな木の下で、彼は命を終えた。真田はぼろぼろと涙を零しながらも、直ぐにその涙を拭い、彼の体を地中深くに埋めた。
土をかける前に、真田は肌身離さず付けていた六文銭を外し、彼の首に下げた。
『…少しだけお待ちくだされ。某も直ぐに追いまする故』
真田は迫る軍勢の音に立ち上がった。涙を浮かべていた瞳には溢れんばかりの殺気が宿る。
『貴殿の首も骸も、そなたには差し上げぬぞ徳川家康…!』
真田は一回、墓標も何もない彼の墓を振り返った後、強く地面を蹴った。



「兄さんの話では、5つの時関ヶ原に旅行で訪れた時、私が迷子になったのだという」
「…。関ヶ原へ…?!」
ぼぅ、と過去を思い出していた真田は石田の言葉に我に帰った。
石田はかつては六文銭であった銭を手に、ふっ、と笑った。
「私は関ヶ原から少し離れた木の下に佇んでいたらしいのだが、よくは覚えていない」
関ヶ原から少し離れた木の下。どくん、と真田の心臓が変に波打った気がした。
「…して、これは…?」
「その時私が持っていたそうだ。貴様、何か知らないか?」
「はっ?!何故某が…?それに、先生が5となりますると、某下手したら生まれておりませぬ」
「あ、あぁ、そうだな。すまない」
「…木の下…どなたかの墓だったのではございませぬか?」
ぽつりと真田が溢した言葉に、石田は意外そうに真田を見た。真田は思わず溢してしまった言葉に慌てて付け加える。
「ろ、六文銭は三途の川の渡賃。ならば、死人に備えるが妥当でござろう?」
「成る程…関ヶ原の戦いは乱戦だったと聞く。辺鄙な所に大将首を隠す事は考えられるな。ならば私は供え物を持ってきたという事か?」
「さ、さぁ…そこまでは分かりませぬが…」
「…やたら兄さんが怒ったのを覚えている。これを見た時はそれが和らいでいたから供え物を持ってきたとは思えないが…。…いや、すまなかったな。気にしないでくれ」
「いえ、お力になれず申し訳ありませぬ」
真田は頭を下げると職員室を出ようと石田に背を向けた。
「真田」
「は、はい?」
直ぐに呼び止められ、真田は慌てて振り返った。石田は真田ではなく、銭を見つめていた。
「…確認しないで聞いてしまったが、お前の家は真田家なのか?」
「は…一応直系でござる。今は叔父の元におりまするが」
「…ならば、いつでもいい、真田家の者が誰かを関ヶ原で弔った事がないか、聞いてみてくれないか?…これを見ていると、妙な懐かしさを感じるんだ」
「…!」
真田は僅かに目を見開いた。
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