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Not revolved transmigration 37

「…ったく。お前さんにゃ適わんよ」
「左様か」
「だが正直な話、勝機はあんのか?」
黒田の言葉に大谷は僅かに目を細めた。
「…分からぬ」
「は?!珍しいな、お前さんがそう言うなんて」
「我は負けた故な。…だが今度は毛利と竹中殿がおる故、なんとかなるやもしれぬ」
「竹中?あぁ、あの猫っ毛の奴か。そういや知り合いなんだってな」
「ヒヒヒ、昔の知り合いよ、ムカシの」
「昔の、か。………吉継、お前さん本当にいいのか」
再び尋ねた黒田に大谷は疲れたようにため息を吐いた。そして、じとり、と睨む。
「くどい」
「…自慢にゃならんが小生が不運に好かれてるのは知ってるだろ」
「それがどうしやった」
「おかげさまで他人の不運はどこに降るか何となく分かるんだよ。お前さんにも必ず降る」
「左様か」
「左様か、じゃねぇっ!もう一度聞くぞ!」
「我は石田を知らぬと言うておろうに。振り出しに戻ったではないか面倒なー」
大谷は後半はおどけたように言うとやれやれと肩を落とした。そのまま食堂の方を振り返り、自分達を見ている石田達に気が付いた。
「お前さんが答えんからだろうが!お前さんが何の関係もない奴の為にわざわざ危険に行くはずがない!」
「!」
「…黙りやれ孝高」
「黙らんぞ!お前さんと奴らの関係を知ってる以上放っておけるか!」
「違う。あそこ」
「!」
「いたー?!」
大谷が指差した先を見た黒田は、驚愕しそう叫んだ。
石田は思わず身を退いたが、ぐっ、と拳を握るとがしりと手摺りを掴み、それを飛び越え一階に飛び降りた。
「い、石田先生!」
徳川達は慌てて階段に向かう。真田は石田と同じように飛び降りた。
「…盗み聞きするつもりはありませんでしたが、聞こえてしまったので。…巻き込んでしまい申し訳ありません」
「…ッ。お前さんにそう言われたら怒るにも怒れないだろうが」
「…すいません」
「謝りやるな、こやつが自分勝手言うておるだけよ」
「おま!小生はだな!」
「主に心配される覚えはないわ」
「ノリノリで言うな!」
黒田はぬぁぁ、と唸りながら頭を抱えた。大谷はケタケタと笑うと石田を振り返った。
「やれ、すまぬなァ。こやつも悪気はないのよ、ワルギは。しかし不運に愛されておる故間が悪いのよ」
「…貴方は、闡喪組と余程の因縁があるのですか」
「…我は生きておる故ましな方よ」
「…!」
「ヒヒ、気にしやるな。ヤクザとやり合うとそれくらいの事はあるわ」
さぁ、と顔を青ざめさせた石田に大谷はそう言って苦笑し、目を伏せた。
「…ヒヒ。何故我は生きておるのか…時々不思議になりやる」
「…すいません。嫌なことを…思い出させてしまったようですね」
「そうじゃ!」
「喧しい!」
「いだ!」
黒田を思い切り殴り飛ばした後、大谷は石田の目を見てにやと笑った。
「気にしやるな。我の過去などしょせん過去なのよ。過去は変えられぬ」
「そう…ですが……」
「主は己の事を心配しておれ。主が捕まっては元も子もない。そうであろ?」
「……そうですが」
「我のことは心配無用よ。…こういう事には慣れておる故な。やれ、熊!行きやるぞ!」
「あ、ちょっ、待て!」
大谷はそれ以上は何も言わず、起き上がった黒田の襟首をがしりと掴むと、ずるずると引きずるように歩いていってしまった。
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