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Not revolved transmigration 30

「あぁぁ気持ち悪い……」
「だ、大丈夫でござるか?」
「…兄さん…鶴……」
「…………。鶴?」
ぽつりと石田が呟いた言葉に、車酔いしたらさい伊達の様子を見ていた徳川と真田は、顔を見合わせてから石田を振り返った。
「?何だ」
「鶴…って、あれか?」
「あれでござろうか?」
「何なんだ貴様等」
「三兄さまー!」
石田が首を傾げた時、駐車場に少女の声が響き渡った。真田と徳川は再び顔を見合わせ、石田はほっとしたように振り返った。
「鶴!無事だったか!」
「三兄さま!…きゃあ!血が付いています!」
その少女はボブカットの短い黒髪を揺らして走ってきた。
その後ろに、別の影が姿を見せる。
「三成君!」
「「あぁ!」」
真田と徳川は思わず声を上げてしまった。
「!君たちは…三成君の教え子かな?僕は竹中半兵衛。よろしくね」
「((やっぱりー!))」
にこり、と優しく笑ったその青年は竹中半兵衛と名乗った。
竹中半兵衛。豊臣秀吉の友であり、豊臣軍の軍士だった男だ。
そして、鶴と呼ばれた少女はかつて鶴姫と呼ばれていた。伊予の女巫で、未来を見通す力を持っていた。
それが今は、石田の家族らしい。
「あ、あぁ、手前から徳川家康、真田幸村、伊達政宗です」
「まぁ!戦国武将さんがいっぱいです。私は大祝鶴!三兄さまと兄さまの妹ですっ」
「よ、よろしくお願いしまする」
「おいおい!勝手に行かないでくれよまったくよー」
「「!」」
そこへやってきた第三者の声に、真田と徳川は再び飛び上がった。
「あぁ、ごめんね。三成君が心配で。…彼は長曾我部元親君。僕達をここへ連れてきてくれたんだ」
長曾我部元親。ある陰謀に巻き込まれ西軍に属していたが、関ヶ原の戦後それが誤解だった事が判明。徳川は彼を許したが、彼は隠居し、その後どうなったかは分かっていない。
徳川は長曾我部を見て僅かに嬉しそうに笑った。過去に何があったとしても、長曾我部は徳川の友だったからだ。
長曾我部は伊達を見て小さく吹き出した。そして石田に向き直る。
「アンタが石田さんかぃ?いつぞやは政宗の野郎が迷惑かけたらしいなぁ!あはははは!」
「ッ、元親笑うんじゃねぇ!」
「まぁいい、取り敢えず社長に会いにいこうぜ。ついてきな!」
「まぁ!お口の悪い人!」
「うるせぃ鶴の字!」
「鶴の字ではありません!」
長曾我部と大祝は早速仲良くなったのか、わいわい言いながら歩き始めた。石田は苦笑しながらそれについていき、伊達はどこか不貞腐れたように次に続いた。
その時、すっ、と竹中が徳川と真田に近づいた。
「家康君に幸村君。久しぶりだね」
「!半兵衛殿まさか、」
「貴殿も覚えておいでか!」
驚くふたりに竹中はくすくすと笑った。
「三成君から話は聞いていたよ。…それと、君には礼を言わないとだね、幸村君」
「?そ、それがし?」
「過去の事は過去の事で僕は気にしていないんだ。だから家康君を責めようとは思っていないよ」
「!」
「…ただ、君は幼い三成君を、関ヶ原に残る怨恨から守ってくれたからね。あの六文銭は君のだろう?」
「!さ、されどその時某はまだ…」
「何を言っているんだい、生まれていないから守れたんじゃないか。…ありがとう」
「あ、な、なるほど。や、いえ、礼など…」
「…半兵衛殿も、ここでは施設育ちなのか?」
2人の会話を静かに笑って聞いていた徳川は、はっ、と思い出したようにそう尋ねた。竹中は薄く笑う。
「今の僕が病弱じゃない代わりに両親が病弱でね、早く死んだんだよ。それで施設に行って、三成君に出会ったんだ。鶴ちゃんともね」
「そうでござったか…」
「そんな事より君たち、無関係の僕達を助けようとしてくれている、ここの奇特な社長が誰だか知っているかい?」
竹中の問いに、徳川と真田は顔を見合わせて笑った。首を傾げた竹中に、きっとびっくりするだろう、とだけ言って、2人は豊臣の反応を想像して再び笑った。
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