2012-2-12 21:20
「スリーマンセル自体に大した意味はない。恐らく奴らの趣味であろうな」
「…変な趣味だな…」
「我が知っておる幹部は2人。天海と名乗る白髪の男と最上という変な男」
「最上って…あの変な髭の人か!幹部だったのか?!」
「(天海…あの僧にござろうか?)」
「(かもしれんな)」
「考えてみやれ、あれと同じ容姿の奴はいなかったであろ?」
「あ…確かに……」
納得した伊達を横目に見ながら大谷はふぅとため息をついた。
「…ただ、トップは分からぬ。幹部より上のつながりが分からぬのよ」
「本拠地とかも分からねぇのか?」
うーん、と唸った長曾我部の言葉に大谷は首を横に振る。
「かつては新宿のバーにあったが、今は使っていないはずだ」
「何故分かるのでござるか?」
「おい坊主!」
「?」
何とはなしにそう尋ねた真田を、何故か黒田が慌てたように諫めた。
首を傾げた真田に更に何か言おうとした黒田を大谷は手で制し、口元に自嘲的な笑みを浮かべた。
「よいよい」
「おま…!」
「…?」
「何故か、と言うておったな。簡単な話よ。そこはもう潜入済みなのよ」
「潜入済み…?調査したけど、何も出なかったって事か?」
「まぁそんな所よ」
「…お前、捜査二課だったのか?」
「まぁ、そんな所よ」
「同じ言葉で返すなよ」
「微妙に変えたわ」
「君達は仲が良いねぇ」
竹中は大谷を見ながらそういい、コロコロと笑うと、一転、冷め渡った顔で豊臣を振り返った。
「…相手の目的も能力も未知数、って事だね。なるほど、やりにくい」
「うむ、その通りだ」
「まずは相手の目的が分からなければ始まらない。僕達が狙われた理由…それが彼らの目的だ」
「心当たりとかないのかよ?」
2人の会話に気が付いた長曾我部はそう石田に尋ねたが、石田は首を横に振った。
「全くない。闡喪という名も聞いた事がない」
「ふむ。参ったな」
「…相手は情報戦が得意…と、見ていいのかな?大谷君」
「あぁ。とんでもなく得意だ」
「僕達が行方を眩ませた事はもう露見していると考えていいかい?」
「無論」
「…ならば僕達がここにいる…ということは?」
「可能性の一つとしては上がっておろうな」
「…政宗君が一緒にいなくなっているのに、かい?」
眉を寄せた竹中に、大谷は肩を竦めた。
「その事に関しては手を打ってある。あの後学校に戻って伝えた、石田と生徒は我があずかったとな。社名は出しておらん」
「相手は何も疑問に思わなかったのかい?」
「誰をも巻き込みたくないのならば我が申した事を伝えよと言った。必ず奴らは学校に行く。その為には情報にならん情報を与えねばならんであろう?」
「…なるほど。ならば、大丈夫かな…嘘は付かないですむ」
竹中はそう呟くと納得したように頷いた。
「…、今日はこれ以上動きようはないな。元親、4人を部屋に案内してやってくれ」
「4人?…1人たりなくねぇか?あ、そっか、そういうことか。よっしゃ、じゃあ石田サンと鶴の字、あと真田と徳川だっけか?アンタ等にはしばらくうちの社内寮にいてもらいてぇから、ついてきてくれ」
「…、分かった」
「承知!」
「分かった」
「了解ですっ」
長曾我部は4人の返事に満足そうに頷くと部屋を出ていった。
「我は引き続き奴らを探る」
「ちっ…おい吉継、お前さんに話がある!」
「やれ面倒な。では失礼する」
そう言って、残りの3人も部屋を出ていった。