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Not revolved transmigration 44

「…そこまで好きだったのか?あの人の事」
伊達の問いに長曾我部はむぅ、と呟いた。
「…うーん…そうなんのか?ていうか、なんで過去形なんだよ。…なんつーかよ、昔は単に放っとけなかったんだよ。そこにいるはずなのにいないみてぇな」
「空気薄かったのか?」
「そう思うか?」
「いや、全然」
「だから尚のこと不思議でよ。あんだけ変わった奴なのに、なんつーか…こう、孤独な感じ?がよ?で、なんだかんだあって婚約したなぁ」
「…好きなわけじゃねぇの?」
先とは反対のようにもとれる伊達の問いに長曾我部は苦笑した。
「いや、好きだぜ?ただ、それだけじゃない、それ以外の何かがあるような気がする」
「…?」
「要は俺とあいつの間はそう簡単に言えねぇって事だな。さぁて、昼飯どうすっかな」
長曾我部は自己完結してしまうと、さっさかコンビニに向かって歩きだしてしまったのだった。
 長曾我部はコンビニでまず大福をかごに入れ、それから悩み始めた。
伊達は缶コーヒーを1つ手に取ると長曾我部の隣に立った。
「カップラーメン食うとさ。元就嫌がるんだよ」
「はっ?」
唐突に言われた言葉に伊達は思わず露骨に表情を崩した。
「吉継にも言われんだよな。カップラーメンってそんなダメか?」
「知らねぇよ。俺は試験前は大抵カップラーメンだよ」
「それは健康に悪くね?」
「それくらいで弱る体してねぇよ」
「あ、そう。…お、この弁当にしよ。えーっと吉継には綾鷹で社長と黒田にはブラックで、あとどうすっかな…」
「え?おま、ナリさんの大福と昼飯買いにきたんじゃねぇの?」
弁当を選んだ後レジに向かうのかと思いきや、長曾我部はぶつぶつ言いながら色々なものをかごに放り込んでいくものだから、伊達は驚いてそう尋ねた。
長曾我部は僅かに不愉快そうな顔で振り返る。
「ナリさんって…なんで略した〜」
「え、いや、なんか言いやすくて…じゃなくてだな」
「あぁ、買い出しに行くときはいつもこうだからよ。何も言われなかったって事は変更ナシ」
「いつもって…そんなパシリやってんの?」
花梨糖の袋を手に取った長曾我部は伊達の言葉に呆れたような表情を浮かべた。
「パシリじゃねぇよ。吉継と交代制だし」
「大谷さんと?…あれ、黒田のオッサンは行かねぇの?」
「あぁ、孝高が行くと食えないモノになってくるからよ」
「なんだそれ?」
「あいつ運悪いから、買った帰り道に雨に降られたりどぶに落ちたり買ったもん盗られたりすっから」
「運悪いにもほどがあるだろ!」
伊達がげんなりしたようにそう言うと長曾我部は爆笑した。
「確かになぁ!何もない所で転ぶし、傍から見てると面白いんだけどな」
「あ、そ…。…いつもって言ってたよな。今回先生の事がある前から、そんなしょっちゅう秀吉さんとあんな感じに集まってたのか?」
「一応、俺はあそこで3号のトップだからよ。他のトップと一緒にちょくちょく集まって会議とかするぜ」
「…ナリさん…いや、元就さんが秘書課、黒田のオッサンが営業課、大谷さんが4号の、で、アンタが3号のトップなのか…。なら、なんで今回1号と2号のトップはいねぇんだ?確か秀吉さんのトコは全部請け負ってたよな」
「あぁ、1号は駐在型で他の会社の警備員とかやる奴で、2号はイベントとかで道の誘導とかしてる警備なんだ。4号は結構その回限りが多いし、3号に何かあればすぐ警察が動くようなもんしか運搬してねぇ。1号は他の会社の所から情報が漏れるかもしれないし、2号は年中忙しいから社長が話さなかったんだ」
「そうなのか?…それなのにアンタ達が動いてて大丈夫なのか?」
「大丈夫だろ。一応社内で今回のヤマは吉継の勤務の延長って事になってる」
「なるほど…」
「安心しろって。ちゃんと今回の事は細部まで吉継と元就が考えてるから」
長曾我部はにっ、と笑うと、わしゃわしゃと伊達の頭を撫でた。
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