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Not revolved transmigration 35

「…秀吉。僕には1つ、気になる事がある、でも根拠は何もない」
誰もいなくなって少し経った頃、竹中はそう口を開いた。豊臣は竹中に視線を向ける。
「…言ってみよ」
「昔僕がいた施設で誘拐事件があった。…その犯人もヤクザだった」
「同一ヤクザによるものだと言いたいのか」
「残念ながら院長はヤクザだという事以外教えてくれなくてね。確証は得られないが…三成君とヤクザ、その接点はそのヤクザしかないんだ」
「…そうか…その攫われた者と連絡は取れるのか」
豊臣の言葉に竹中はうーん、と小さく唸った。
「…それが正直僕はよく覚えていなくて…部屋が遠かったから、絡みもなかったし。同部屋だった三成君は知っているかもしれないけど…彼は教えたがらないと思うな」
「………うむ」
「平気な顔してたけど、家康君達を巻き込んだ事を気にしてる。多分、これ以上巻き込みたくないはずだ」
「…優しい男になったな」
豊臣の言葉に、そうだね、と竹中は笑う。2人の脳裏には、かつての石田の姿がよぎった。
「……一体何が目的なんだろう…」
「…分からぬ事は考えても始まらぬ。今日は休め、疲れただろう」
「…君も、相変わらず優しいね、秀吉。大丈夫だよ、それより僕は君と話したい」
「……そうか」
豊臣は竹中の言葉にうっすらと笑みを浮かべた。


 「じゃあ、なんかあったら俺か吉継呼べよ。悪いけど外出は控えてくれ」
「分かった。…何もかもすまない」
「気にすんなって!アンタにゃ悪いけど、本業よりこっちのが楽しそうだしよ」
長曾我部はそう言ってからからと笑うと、じゃあなー、と戻っていった。
石田はその背中を見送った後、小さくため息をついた。
「父上!某は修行の旅に出ることに致した!申し訳ござりませぬぅぅぅ!」
「はっ?」
だが、後ろにいた父親に連絡したはずの真田の口からそんな言葉が飛び出たものだから、驚いて振り返った。
しかも真田は返事を聞くことなく電話を切った。
「…真田、今のは…?」
「はっ!某、試合で不様な負け様を見せた際には修行の旅に出ているのでござる!今回もそうする事にいたした!!」
「…去年の休学はそれが理由か!何をやっているんだ貴様は…」
「…家康、お前連絡しねぇのか?」
ふ、とその時伊達は徳川が携帯を取り出しすらしていないのに気が付いた。
伊達の問いに徳川は笑った。
「ん?あぁ、ワシはいいんだ。しばらく帰ってこないからな」
「帰ってこない?」
「実は先月から母さんが忠勝連れて実家に帰っちまってな。父さんもこれ幸いにと出張ばっかしてるからワシがいなかった所で気にならないだろうさ」
「…さらっととんでもない事言ったなー……」
「ははっ、よくある事だ。……なぜ夫婦の契りを結んだのにこう、何度も絆が綻びるのか、ワシには分からないけどな……」
「家康…」
「そうでしょうか?」
表情を曇らせた徳川に、大祝が問い掛けた。驚いたように徳川は大祝を振り返った。
「お父さまは、これ幸いと出張にお出かけなんですよね?」
「あ、あぁ…」
「貴方のお母さまは、そんなお父さまの注意を引きたいのではないでしょうか?仕事ばかりに目を向けているから、お母さまは拗ねてらっしゃるのでは?」
「………そう…かな?」
大祝は首を傾げた徳川ににこっ、と笑った。
「私ならそうします!」
「えっ?!」
「そう言えば兄さんが仕事に追われていた時引きこもったな」
石田は、はぁ、とため息をついて2人を振り返った。
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