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Not revolved transmigration 38

「………………」
「石田先生」
「…なんだ」
「大谷殿の覚悟は確かなもの…あの方がやりたいのでござる、石田先生が責を感じる必要はないと思いまする」
「…それくらい分かる。だが、感ぜずにはいられないだけだ」
石田はそう言うと目を伏せ、ぐ、と拳を握り締めた。
そこへ、徳川達が近寄ってきた。徳川と伊達は真田の隣に立つと、大谷が去っていった方を見た。
「…大谷さんは確かに、唐突に秀吉さんの所に来た……何があったんだってんだよ」
「…大谷さんは触れてほしくないだろうが、気になるな」
「無理だと思います…」
「?ん?」
大祝はぽつり、とそう言ったきり、石田に抱きついて黙ってしまった。徳川達は何事だと顔を見合わせた。
「…、鶴は人の過去を観る力がある」
「…。えっ?」
石田が口にした言葉に伊達はぽかんとしながら聞きなおした。
「生れ付きだ。最近は制御出来るらしいが」
「人さまの記憶を勝手に見てしまうのは後味が悪いんですよ。頭も痛いし……」
「…。…もしや、大谷殿を観たのでござるか?」
真田は徳川と視線を交えた後、大祝にそう尋ねた。大祝は石田から体を放し、首を横に振った。
「……観ようとしたんです。でも、あの方の記憶は…どこまでも真っ暗で…」
「真っ暗?」
「過去を閉ざしている方は真っ暗なんです。でも、大抵はそんな記憶は一部分なんですが…ずっと真っ暗でした」
大祝はそう言うと僅かに震える手で石田の腕を掴んだ。そこまで真っ暗な記憶を、今までに観たことがないのだろう。
「全ての過去を閉ざしてるって事か?……どんだけだよ」
「よほどどろどろした過去だということは分かったな。でも1つ気になるな…」
「何故黒田殿には話したのか…で、ござるな?」
「あぁ。一見仲が良さそうには見えなかったんだが…」
「……俺らが話してた所で分かる話じゃねぇだろ。そんな事より、部屋戻って話そうぜ。そろそろ次の休憩時間の人が来る」
「…そうだな。そういえば兄さんはどうしたんだ?豊臣さんと残ったきり昼も食べずに…」
石田はそこで思い出したようにそう言い、半ば呆れたようにため息を吐いた。
徳川と真田はとっさに目配せし、頷きあった。
「ワシと真田で呼んでこよう!3人は部屋で待っててくれ」
「そうか?悪ィな」
「ではまた後で」
2人はそう言うと上手いこと3人から離れた。
社長室に向かいながら、2人は状況を整理することにした。
「巫殿は先見の能力ではなく、過去を観る能力を持っているのか…」
「…もしかすると、それが疎まれ施設に行ったのかも」
「想像でそんな事を言うなよ。…ただ、かつてほど恵まれてはいないかもしれないな」
「それにしても、何故豊臣殿は斯様なまでに集めたのでござろうか?」
「…確かに…何か考えがあるのか、たまたまなのか…。それより、一体全体刑部は何を経験したんだ?」
「相手はヤクザで、大谷殿は警察官。…尋常ではなかったとは考えられまするが…全ての過去を閉ざしてしまう程の経験とは…?」
「君たち、何を話しているんだい?」
「「うわぁ」」
話しながら歩いていたらいつの間にか到着していたらしい、目の前に立つ竹中が不可解そうに2人を見ていた。
「半兵衛殿!迎えに来たんだ。石田先生が心配してたぞ」
「そうなのかい?彼は心配性だね、全く。…それより、大谷君がどうしたの?」
「!」
2人は思わず顔を見合わせた。
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