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Not revolved transmigration 26

「…そんな事より政宗殿」
「あん?」
「先日のヤクザ、何故彼らを頼ろうと思われたのでござるか?」
「!」
真田が尋ねた内容に伊達は僅かに驚いたように真田を見た。しばらく考え込む様子を見せた後、伊達は空を見上げた。
「…俺の姉さん、名前、景綱って言うんだ」
「景綱…?男らしい名にござるな」
「変わってるだろ?特徴的だから探しやすいと思ったんだけど、見つからなくて。…そんな時、向こうから声掛けてきたんだ。出かける前日」
「前日…に、ござるか?」
随分急な…と思いながらも、真田は特に言及はしなかった。
伊達は空を見上げたまま頷いた。
「心当たりがある。情報を提供しよう、そう言ってきた。俺も胡散臭いとは思ったんだが…それ以外、何の手がかりも掴めなかったから…」
「…わらにもすがる思いだったのでござるな」
「そういう事だ」
「…伊達景綱殿にござるか…」
「あ…いや、違う」
「ち、違うっ?」
思わぬ伊達の否定に真田は思わず裏返った声を上げてしまった。伊達は気まずそうに目を逸らす。
「姉さんは俺を追い出した母親の連れ子らしくて、名字は違うんだ。片倉景綱」
「片倉…?!」
「?なんだ?」
「あ、いえ…某の知っている御仁に、片倉小十郎という名の方がおりました故」
「へぇ、そうなのか。奇遇だな」
「そうですな」
にっ、と笑った伊達につられて真田も笑った。伊達は再び空を見上げた。
「…同じ空の下にいるってのによ。…世界は広いよな」
「…そうですなぁ」
2人はそれから、最終下校の鐘が鳴るまで、屋上で他愛ない会話を交わしたのだった。





それから数ヶ月、何事もないまま過ぎ去った。徳川も立ち直り、以前のように過ごしている。
このまま、何事も起こらず、石田は前田まつの復帰と共に他の学校へ赴任するだろうと、3人みんなそう思っていた。
そう、思っていたのだ。ある日珍しく授業が始まっても石田が現れず、今日は休みだと告げにきた前田利家の言葉を遮るように、怪我をした石田が乱暴に教室の扉を開くまでは。
「い、石田先生?!」
女子のうちの何人かからは悲鳴が上がり、前田は慌てて石田に駆け寄った。
真田は徳川と顔を見合わせ、ついで伊達と顔を見合わせた。
―一体なにが…?
「どどど、どうしたんだその傷!…この傷…自棄に鋭利じゃないか」
「ッ!」
ざわざわと騒がしい教室でも前田の言葉ははっきり3人に聞こえた。
「…すいません、遅刻しました…」
「いやいやいや、そんなことはどうでもいい!どうしたんだ?!事故か!」
「いえ、突然襲われまして」
「襲われたぁ?!」
前田の叫びに教室は更に騒々しくなった。伊達ははっとしたように立ち上がる。
「まさかあのヤクザが…ッ」
「落ち着け政宗、まだ分からん」
「お、襲われたって誰に?!」
3人は勝手に席を立ち集まると、2人の会話に耳を澄ました。
「さぁ、そこまでは…取り敢えず返り討ちにして、どうすればよいか分からなかったので取り敢えず学校に」
「そういう時は警察に行きなさい!」
「警察ですか…分かりました。このままここにいて奴らが追ってきても大変ですしね。じゃあ行ってきます」
「ちょ、ちょっと待て!手当てくらいしてけ!な?!」
「しかし…」
「石田先生!」
3人は互いに視線を交わし頷きあうと、石田に駆け寄った。
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