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貴方も私も人じゃない48

半兵衛の言うとおり、火の手が上がる頃には戦はほぼ終わりを見せていた。家康は三成と共に城内へ進行していた。共に、といっても三成が先行しているため、傍から見れば家康が三成の後方を援護しているように見えた。
叫びながら斬りかかってきた男の刀を腕の防具で受け止め、弾くと同時に反対の拳を相手の胴体に叩き込む。
めきゃ、と鈍い音がして鎧が砕け、その男は力なくどさりと倒れた。家康はぶるんと腕を軽く振ると、流れるように敵兵を斬り捨てていく三成の後を追うように地面を蹴った。
ー見慣れぬ私には、全て同じに見えますが
昨日の夜、鎮流に言われた言葉が思い出される。家康は僅かに目を細めた。
「…部外者の立場からすれば…ワシも何も同じか」
「…?家康、何を言っている、集中しろ!」
「…、あぁ、っ」
部屋から飛び出してきた敵を殴り飛ばしながら、家康は三成にそう返し後を追った。
三成は走り敵兵を斬り捨てながらも家康を振り返った。
「…今日の貴様は、昨日と違うな」
「?そうか?」
「昨日までの何処か不抜けた貴様に比べるとはるかにマシだ」
「ふぬっ…酷いなぁ」
「フン。この先がこの状況でまだ引きこもっている大将の所だ、気を引締めろ」
「…確かに、この状況でまだ来ないというのは、ちょっとな…分かっているさ、お前も気をつけろよ?」
「貴様に言われるまでもない」
三成はそう言うと家康に視線を合わせ、すぐに地面を蹴った。家康もそれに合わせるようにすぐに地面を蹴る。
「はぁぁぁぁああっ!!」
「うおぉぉぉぉおっ!!」
二人は咆哮を上げながら、いわば本陣といえる敵大将が立てこもる部屋へと突入していった。


「…、血なまぐさい」
「これは仕方ないな」
それから少しして、半兵衛と鎮流は戦場にいた。鎮流は拳で鼻を少しの間隠した。
ほぼ戦闘が終わり、万一の奇襲に備えている兵士の間を通り抜ける。
「…普段、半兵衛様は戦の時には戦闘に参加されていらっしゃるのでございますか」
「うん、まぁね。戦場にいた方が臨機応変に対応しやすいし、僕も出た方が早いし」
「………」
「君は戦闘経験もないし少し鍛えたくらいじゃそう強くもない。さて、君ならどうする?」
「………力が足りないならば別の力を」
「…そうだ」
半兵衛は鎮流の言葉に薄く笑んだ。
「戦場での目は伝令などの力を借りるしかないかと。下手に私が戦場に出たところで、足手まといなだけかと」
「うん、悪くないね」
「後は…考えられる可能性をすべて、石田様などの立場を全て伝えておくこと、でしょうか」
鎮流の言葉に、半兵衛はふふ、と小さく声をあげて笑った。
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