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貴方も私も人じゃない36

半兵衛は鎮流の表情に肩をすくめた。
「…君は、そうは思わないかい?」
「…戦争に懲りた結果がその世界ですので、一概には」
「戦争に懲りた?」
「その以前に、第一次世界大戦、第二次世界大戦という2つの世界を巻き込む戦争がありました。その中で、世界を簡単に破滅させることのできる兵器を開発してしまったのです」
「……へぇ?」
「それから冷戦という武力衝突のない戦争を経…社会主義派の敗けで終わった冷戦終結ごろに、先程の相互依存関係が世界に広まりました。ある意味ではなるようになってしまっただけ、とも言えます。それに、戦争を防ぐためには、広い世界ではやはり妥協が必要になってくるもの、なようです」
「ふぅん……」
半兵衛はどこかつまらなそうに目を細めた。鎮流はそんな半兵衛に、苦笑を浮かべる。
「はみ出しものをよしとしない世ですからね。竹中様には面白くない世界かとは思いますが」
「日ノ本も、そうしたものの1つなのかい?」
「日ノ本は、第二次世界大戦では敗戦国でしたので…そうした潮流に逆らうことはできなかったのでしょう」
「負けた…?」
「竹中様の仰るように、確かに弱い国であることは否定できないかもしれません」
「…、否定しないのかい?」
半兵衛は困ったような表情でそう言った鎮流に、僅かに意外そうにそう言った。鎮流も驚いたように半兵衛を見る。半兵衛はそんな鎮流に困ったように笑った。
「…普通なら、そう言われたら否定したくなるのが人間じゃないかい?」
「え、あぁ……私も、あの日ノ本が好きかと問われれば好きではなかったので…20歳以下の私には、行政に関わることは出来ませんでしたし」
「ふぅん……なら、ここの日ノ本はどう思うんだい?」
半兵衛はくる、と体を回して鎮流を振り返り、僅かに首をかしげながらそう尋ねた。鎮流はそう尋ねられるとは思っていなかったので意外そうに半兵衛を見たが、ふむ、と僅かに考え込んだ。
「…そう、ですね。可能性が多々あるのは、些か羨ましくは思います」
「可能性?」
「私の日ノ本は、そうした関係に縛られて先に待つものというものはあらかた見えていました。ここの群雄割拠は、それが見えない。どうにも作りようがある。ある意味、とても希望に溢れた世界に思えます」
「なるほど、ね。そういた捉え方は初めてだな」
「そうですか?」
「皆君ほどの余裕はないんだろう」
「よ、余裕だなんてそんなことは…!」
「なら」
半兵衛は不意に鎮流に近寄り、柔らかく鎮流の顎をつかんで自分のほうを向かせた。半兵衛は楽しそうに笑っている。

「君の目には豊臣はどう見える?」

半兵衛の問いに、鎮流はわずかに目を見開いた。
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