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貴方も私も人じゃない35

「ふぅん…どうしてそんな手法を?」
「まず、私のいた日ノ本では民主主義という考えのもとに統治されておりました」
「民主主義…?」
「権力は人民に由来し、権力を人民が行使する…つまり、統治をするのが一人の権力者ではなく、権力は生きる民全てが等しく持っており、その代表者が統治を行う、という形式です。うまく説明できないのですが…」
「大丈夫、大体分かるよ」
「あ、ありがとうございます。先程2つに、とは申し上げましたが、実質は片方が主として機能しています。その中でも党派は複数存在しておりまして、その2つに分けられている組織を総称して内閣、というのでございますが、その複数の党派の中でも内閣総理大臣、という内閣の頂点に立つものが属する党派が与党といい、実質的な政権を握っております」
「………」
「その他の党派は野党といい、一応は与党が暴走しないための存在なのですが、やはりこちらもとりあえず何でも与党に反対している、ようにしか見えないところはございます」
「…へぇ。君の話を聞いていると、結局はその与党という組織の独裁のように感じられるけれど?」
「実際はほとんどそうなのでしょうが、野党の反対を押しきってまでは早々できないので、野党との折衷案でまとまることが多いようです」
「…ふぅん……それにしても随分とまどろっこしい事をするんだね。いくら話し合ったところで、結局は意見は声の大きい方に傾くものだろう?恐らく代表というのは民の民意を汲み取るためのものなんだろうが、果たしてそんな代表になるような人間に汲み取れるとは思えない。民も民で、自分勝手なことばかり言うからね。何故わざわざそうしたやり方をするようになったんだい?」
半兵衛の言葉は最もである。鎮流も言葉で説明してみて、色々なところに違和感を感じていた。鎮流の説明が下手なだけであるかもしれないが。
鎮流は目を細め、うーん、と小さく唸った。
「…そもそも、私のいた世界では民主主義でない国は是としない風潮がございましたから…」
「……その国というのは、外つ国の事かな?」
「はい。かつては社会主義や王権国家など、まぁ多々あったのでございますが、色々とありまして人権という人が持つ権利に対し口うるさくなった結果、今はほとんどの国が民主主義をとっております。王権国家はまだそれなりに残っていますが、それでも横暴な政策を行えば他国より制裁を食らいますでしょう」
「ん?どうしてよその国のことに口出しをする国があるんだい?統治も何もあったものじゃないじゃないか」
「今、世界は相互依存関係という関係に陥ってしまっているのです、そのせいでしょう」
「相互依存関係…?」
聞きなれぬ言葉に、半兵衛は僅かに眉間を寄せた。鎮流はええと、と視線をさ迷わせた。
「…そうですね。一言で言えば、最早世界の国々のほとんどは、自国のみで成り立たなくなってしまっているのです。通称や安全保障の面で、協力せざるを得ない状況に陥っています。勿論、そうではない国もあるにはありますが、やはり異端な国と見られております」
「……なるほど」
半兵衛はそう呟くと目を細め、薄く笑った。

「随分と弱い世界になったものだね」

鎮流は続いて半兵衛の言葉に、僅かに驚いたように半兵衛の方を振り返った。
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