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貴方も私も人じゃない32

「…いえ、石田様やその他の家来の方々を見ていると、貴方様は少し、違うところにいるように見えましたので」
「そう、か。だけどワシは秀吉公の事を信じているよ。ワシを受け入れてくれたということは、ワシの理念を理解してくれているということだろうから」
「豊臣秀吉様…でございますか」
「そういえばあなたはまだ会っていないんだな?」
少しばかり不思議そうな表情を浮かべた鎮流に、ああ、と家康はふと思い出したようにそう言った。
「はい、まだ謁見させていただいてはおりません」
「ここには来ているはずだから、きっと近い内に会うことになるさ」
「…どんなお方なのですか?豊臣秀吉様は」
「うーん、そうだな…一言では言いにくいが…一言でいうなら、強い人だ。ワシと同じで、武器を使わず拳だけで戦う」
「……は…?」
「?ど、どうした?」
家康の言葉に鎮流はぽかんとしたようなどこか呆れたような、そんな表情を浮かべた。鎮流がそんな顔をすると思っていなかったらしい家康は、驚いたような戸惑ったような顔で首をかしげた。
鎮流はかくかく、と首をかしげた。
「…今なんと仰いました?」
「え?武器を使わず拳で…」
「はぁ?」
「えぇ?」
「………失礼を承知で申し上げますが、真面目に仰っていますか」
「あぁ…」
「……なにそれ……」
「??た、確かに変わっているかもしれないが…」
呆れたような困ったような声色で頭を抱える鎮流に家康は困ったようにその様子を伺っている。

拳って。
こぶしって。
いくらファンタジーにしたって無理がある。
近接戦闘の刀ならまだしも、拳で銃に勝てるか。
それともそれだけ、桁違いの肉体を持っているということなのか。

鎮流は小さくため息をついた。
「…いえ、まさか拳で戦うなどと仰るとは思わず…」
「?はは、まぁ普通はそんな戦い方をするものはいないな。だが、秀吉公は本当に強いぞ」
「…まぁ、そうでなければこれだけ巨大な軍は築けませんね。…貴方様も」
「ん?いやぁ、ワシは…まだまださ」
「……、色々とありがとうございました、少し気になっていたことが少し解決しました」
「んん?そうか、それならよかった」
鎮流はひとまず気になることは聴き終えた、と判断し、家康に頭を下げた。家康は意外そうに鎮流を見たが、ふわり、と嬉しそうに笑った。鎮流はそんな風に笑うとは思わず、僅かに驚いたように家康を見たが、それに同じように笑って返した。
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