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貴方も私も人じゃない46

「…半兵衛様」
「済んだかい?」
鎮流に声をかけられ半兵衛が陣に戻れば、装備を終えた鎮流がいた。鎮流は片方のホルスターに拳銃をいれ、もう片方の拳銃を手に持って眺めていた。
鎮流の衣装は、半兵衛の言う通り今までとあまり変わりなかった。腕には半兵衛のそれと似たような防具をつけている。
大きく変わったところといえば、スカートだ。前面に切れ込みが入ってその間はレースのような形になっており、今までのものより横に広がりやすくなり、動きやすくなっているのだろう。また、スカートの両サイドには防具なのだろう、鉄板のようなものがついていた。
「どうだい?採寸は大丈夫そうだね」
「はい、問題ありません。多少下が重くなった程度でしょうか」
「動きにくくないかい?」
「以前のものより動きやすいくらいです」
「よかった。それは…使い方は分かるかい?」
「いえ、それは…」
鎮流はそう言って申し訳なさそうに拳銃をじろじろと見まわした。半兵衛はふふ、と小さく笑って鎮流の後ろに立った。
「いいかい」
「っ、はい」
半兵衛はそのまま後ろから鎮流の手を取った。 身長差はさしてないとはいえ体格差はそれなりにある為、存外鎮流は半兵衛の腕の間にすっぽり入った。
「これはまず、銃口から装薬と弾丸を詰める。ここは火縄と同じ原理だ」
「はい」
「この時、ここの撃鉄。これをこの程度上げておくと安全装置になる。まぁ、引き金が引けないってだけだけどね。それから火薬を入れて…」
「…連射は出来そうにないですね」
「生憎まだそこまで便利なものはないねぇ。これは君でもすぐ扱えそうな、特別小さいのを持ってきたんだ。雑賀衆辺りならもう少しいいのがあるのかもしれないけど…彼らが譲ってくれるとも思えないしね」
「雑賀衆…」
「話を戻すよ。それで撃鉄を最後まで起こす。これで準備は終わり、後は狙いを定めて引き金を引くだけ…。試しに一発撃ってみようか」
「え?こ、ここででございますか?」
半兵衛の言葉に鎮流はわずかに驚いたように半兵衛を見る。半兵衛は鎮流の反応に楽しそうに笑う。そして、左手の人差し指を鎮流の唇に当てた。
「…狙いは僕が決めよう。行くよ」
「は、はっ!」
半兵衛はそう言うと右手を拳銃に添えたまま、ぐ、と左手で鎮流の腰を抱えるように持ち、まるで踊るかのような動きでぐるりと回った。
鎮流は半兵衛の行動が理解できず混乱していたが、半兵衛は気にもとめずに拳銃の銃口を陣の上から覗く木に向けた。
「引いて」
半兵衛の言葉に鎮流は疑問を感じる前に体を動かした。
言われるままに引き金を引いた。
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