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貴方も私も人じゃない23

半兵衛も三成の反応に、どこか楽しそうに二人を交互に見やった。
「…鎮流君。君には、三成君が美人に見えるのかな?」
「…?は…はい」
「ふぅん…無粋な話だけど、理由を聞いてもいいかな?」
「えっ?…ええと……」
鎮流は半兵衛の問いに驚いたように半兵衛を見た後、少し迷ったように視線をさ迷わせた。
容姿についていざ理由を聞かれると、答えにくいものだ。
「そ…うですね…敢えて理由をあげるとすれば…。石田様は顔も整っていらっしゃいますし…鎧の上からではありますが体つきも無駄がなく均整がとれていらっしゃるように思われます、それに…」
「うん、それに?」
顔が綺麗だのスタイルがいいだの言われた三成は気まずげに視線をさ迷わせた。半兵衛はうんうんと頷きながら、鎮流に先を促す。
鎮流は、ふ、と顔をあげ、三成の目を見た。
「……根拠はありませんが、この方は…嘘をつけないお方ではないかと」
「!」
「それは、君にとってはいいことのかな?」
「…確かに嘘を全くつけないというのはあまり世渡り上手とは言えませんが…ただ、私の周りに今までいなかったので、好印象に感じました」
「…………」
「なるほどね。うん、彼は確かに嘘をつかない子だよ。洞察力もそれなりにあるようだね、鎮流君」
三成は鎮流の言葉に目を細めると、ぷいと顔をそらした。半兵衛はそんな三成に困ったような表情を浮かべたあと、鎮流に向き直ってにこりと笑い、そう誉めた。
鎮流は半兵衛の言葉に小さく頭を下げたあと、三成を見、そして三成も頭を下げた。
「…不躾なことを申し上げました、お許しを」
「………貴様、私の髪色のことは何とも思わないのか」
「?」
三成がぽつりと漏らした言葉に鎮流は僅かに目を細めた。

三成の髪は白い。鎮流の時代はそれこそ髪を染めるという手段がメジャーにあることから多種多様の髪色の人間がいたが、確かにこのような時代では異端と映るのかもしれない。

それは聞かずとも分かる。
鎮流は、くす、と小さく笑った。
「私、そうした違いをありのまま受け入れられないような、程度の低い人間には興味がありませんの」
「何?」
「私は、そのような事でしか優越感に浸れないような人間にはなりたくありませんので」
三成は鎮流の言葉に意外そうに目を丸くした。半兵衛も僅かに目を細め、面白そうに状況を見ている。
鎮流は自分の前髪に触れ、肩をすくめた。
「…私も前髪が変とはよく言われたものです。その白さに驚きはいたしましたが、特別どうこう思いはいたしません」
「…貴様……」
三成は鎮流の言葉に目を伏せ、小さくため息をついた。
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