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貴方も私も人じゃない24

「…何か、お気に障りましたでしょうか?」
「………何でもない。それで半兵衛様、お呼びの用というのは…」
「ん?あぁ、これからやる軍議の前に、少し話しておきたいことがあってね。鎮流君、ちょっと席をはずすよ」
「はい、承知いたしました」
そうして三成は半兵衛は陣の外に出ていってしまってので、ため息の理由を聞くことはできなかった。
だが鎮流はさして気にはせず、指示された準備に戻った。


 「彼女、どう思う?」
半兵衛に連れられ外に出た三成は、振り返らないままにそう尋ねた半兵衛を、僅かに驚いたように見た。半兵衛はひらひらと手を振る。
「彼女、僕は見所があると思ってるんだ。…君にはどう思えた?」
「半兵衛様の見立てに狂いはないかと」
「ふふっ、僕は君の意見が聞きたいんだ」
「…、軍師として、ならば、女であっても従う気になれそうな、威圧は感じました」
「なるほど。人として、はどう思ったんだい?」
三成は半兵衛の言葉に眉間を寄せた。
三成の脳裏に、鎮流の貼り付けたような笑みが思い出される。
「………本心を微塵も出していないように……」
「へぇ?じゃあ、さっきの言葉は全てお世辞と?」
「世辞…というか……」
「…容姿に関しては一切の私感を挟まず、ただ事実のみを述べている…」
「!」
「そんな感じかな?」
「…はい」
三成の返答に半兵衛は、ふふ、と笑った。ゆったりと腕を組み、鎮流がいるはずの陣を見下ろす。
「確かに彼女は自分を隠そうとしている節があるね。言葉が巧みだからか、家康君は気づいてないみたいだったけど」
「………」
「そして、三成君を忌避するような素振りもなかった。それに関しては当たり障りのない答えを返してきたね」
「…はい」
「彼女は少し、僕に似ているようだ。ふふ、楽しくなりそうだよ」
半兵衛はそう言うと楽しそうに笑った。三成は反応を返さず、ただ目を細めた。
半兵衛は組んでいた腕を解いた。
「……だけど彼女はやはり女の子だ。いくら豊臣の兵とはいえ、不埒なことを考える者はいるだろう。彼女はそれなりの護身は出来るようだが、相手が複数となれば無理にもなる。そこでだ、三成君。しばらく彼女の身辺警護をしてあげてくれないかな?」
「…私が…でございますか?」
三成は続いた半兵衛の言葉に僅かに目を見開き、戸惑ったようにそう尋ねた。
半兵衛は僅かに肩をすくめる。
「いずれは彼女に実力でのしあがってもらうけど、それまではただの女の子だから」
「しかし、それはそれこそ連れてきた家康の方がよいのでは…」
「家康君、ね。彼、彼女が僕の下についたことあんまりよく思ってないみたいだから」
「な…ッ!?半兵衛様のご判断を、」
「君は僕が認めた女の子に手を出すような子じゃないと信頼しているんだ。頼まれてくれないかな?」
「ッ!半兵衛様の命とあらば!」
三成は半兵衛の信頼している、という言葉に僅かにほほを紅潮させ、勢いよくそう返答した。
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