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もうお前を離さない329

「石田軍はどこだ?」
所変わって東軍陣営にて、徳川は拳に包帯を巻きながらそう伊達に尋ねた。
伊達は戦場を見下ろし、旗の色を探った。
「…石田が一緒に動いているかは分からねぇが…石田軍は左翼にいるな」
「左翼か…真田は?」
「真田…というより武田は右翼だ。中央に…大谷、島津、大友、と石田と武田が混じってる」
「…。?黒田はいないのか?西軍にいたと聞いたが…」
用意を終えた徳川は伊達に駆け寄り、一緒に戦場に見下ろした。
そこには確かに、黒田と長曾我部の旗印はない。
「……四国強襲の実行犯は黒田と言っていたな…まさか元親…ッ!」
「…決まったわけじゃねぇ。今はそれより石田だ」
「…そうだな。だがこの様子じゃ落ち着いて話せそうにないな…」
そう言って徳川はきょろきょろと戦場を見渡した。はた、とある一点で目の動きが止まる。
「…あの坂、愚者坂というそうだが…あそこにしよう。進入口は1つだし、高台だから周りから攻撃されにくい」
「だが…どうやって石田を呼び寄せる?」
「簡単だ!行くぞ、忠勝!独眼竜も頼むぞ」
徳川はにこりと笑うと、腕を振って本多を呼んだ。
「………。?!」
しばらくして、伊達は自分も含まれている事に気が付いた。
「ちょ、ちょっと待て!Wait!」
「ん?大丈夫だ!独眼竜ほどの体躯があれば落ちない!」
「やっぱりか!だが断る!!」
「まぁまぁ遠慮するな!」
自分も本多の上に乗せられる、そう理解した伊達は慌てて辞退しようとしたが、徳川はがしりと伊達の腕をつかんで聞かなかった。
その内にも本多は近づいてきて、徳川も飛び上がろうと足を屈める。
さっ、と伊達の顔が青ざめた。
「そういう問題じゃねぇ!おま…っ!小十郎!!Help me!!!」
「…?!ままま政宗様ぁぁっ?!」
思わず片倉に助けを求めたが間に合わず、片倉がその叫び声に主人の危機に気が付いた時には、既に本多の上にいたのだった。


「!あれは…家康!」
「?……戦国最強か」
一方、地上にいた石田は空を飛ぶ本多の姿を見つけていた。本多がある高台に向かっているのを見て、石田はそちらに向けて動きだした。だが、そんな石田を大谷は止めた。
「待て三成。主を誘き寄せようとしておるのかもしれぬぞ」
「…罠を仕掛けている…と?」
己を見た石田に大谷は頷き、肩を竦める。
「考えられぬ事ではなかろ。主が許すと決めたとはいえ、あちらにその気はないであろうしな。……何より奴はかつて卑怯な手を使っておる」
「………刑部。私はもう…失うのは…ごめんだ」
「!」
「家康が私を嵌めようと画策しているならば破る。奴が許されようとしないその時は、斬る。……奴が私を嫌い…私欲で戦っているのならな。…私はそこまでお人好しではない…ッ。奴が秀吉様と同じように、この国の事を思い裏切ったのだとしたら、………秀吉様も、奴をお許しになるだろう…」
石田はどこか忌々しげにそう言うと視線を愚者坂に向けた。本多はちょうど、愚者坂に降り立っていた。
石田は視線を大谷に戻した。
「刑部。…私は会話をするのが苦手だ」
「そうよな、主は類を見ない口下手者よな」
「…家康を前にして、家康とまともに話せる気がしない。……共に来てくれ」
「!…、………相分かった」
「…行くぞ」
石田はそう言うと地面を蹴った。大谷もそれに続いていった。

だが、その時。

西軍の本陣に並立してあった大筒が火を吹き、その弾は西軍の本陣に直撃した。

もうお前を離さない328

「な…何をッ?」
「降参してくだされ。無用な殺生は防ぎたいゆえ」
「き…貴様我らを愚弄するか!」
「そんなつもりはのぅござるが…」
「そうだそうだ!真田はそんな奴じゃないぞ!」
「………。宇都宮殿ッ?!」
突然己の肩を持つ発言が聞こえ、振り返った真田はすぐ後ろに宇都宮がいるのに気が付いて飛び上がった。
傍らに虎を一匹侍らせた宇都宮はぐっ!と親指を立てて笑った。
「久しぶりだな真田!」
「な、何故貴殿がここに?!」
「俺だけじゃないぞー佐竹も尼子も来てるぞ!」
「!!」
宇都宮の言葉に真田は目を見開いた。
「な、何故その御人らが…?」
「ん?俺が誘った!本当は南部と姉小路も誘いたかったんだけど死んじまったからさー」
「…誘った?何故?」
「尼子も佐竹も、それぞれ毛利と伊達に半殺し状態で暇そうだったし、よくは分からねーけどお前が出した手紙…誰だっけ?」
「伊達政宗殿にござる…っと、渡していただけたのでござるか!!」
驚いた真田の声に宇都宮はからからと楽しそうに笑う。
「約束は守るぞ!そう、あれ読んだ時の伊達の顔的に、今度起こる戦…つまりこの戦?が、重要そうに思えたから手伝いにきた!」
宇都宮はそう言ってまたにっ、と笑った。真田はまだ状況が整理しきれていないらしい、ぽかんとした顔のまま宇都宮を見つめた。
その時、一陣の風が吹いて砂が巻き上がった。
「なんだここは。砂がねぇじゃねぇか」
巻き上がった砂の中からぶつぶつ文句を言いながら姿を見せたのは尼子晴久だ。ピンク色の居住まいが殺風景な関ヶ原にはよく目立つ。
「貴殿は…尼子晴久殿にござるか?」
「あん?誰だお前は」
「甲斐が真田幸村にござる」
「真田幸村…聞いたことはある。紅蓮の鬼の二つ名を持つときいてたが…案外顔立ちは普通なんだな。鬼には見えねぇ」
「!」
尼子の遠慮のない言葉に幸村ははっと思った。ぎゅ、と六文銭を握り締める。
「真田はなー、俺と戦った時空からやってきたんだぞ!」
「はいはい散々聞いた」
何だかんだ尼子と宇都宮は気が合うらしい、嬉々として話す宇都宮を尼子は適当にあしらう。
その2人の後ろに、ぬっ、と大きな影が現われた。
「自分、不器用ですから…」
「!なんだお前か」
「ぬぉっ…」
佐竹は直立して立ったまま真田を見下ろし、カクカクとしながら真田に頭を下げた。
真田も慌てて返す。
「…佐竹義宣殿とお見受けいたす!」
「貴殿が、真田幸村殿ですな」
「真田はなー、俺と戦った時「しつけぇな!」
またも同じ事を言おうとした宇都宮に尼子は砂をぶつける。
子供のような2人を横目に、佐竹は横に歩いて道を開けた。
「貴殿が取られた陣は、自分達が中立として抑えましょう。東軍にも西軍にも渡しませぬ」
「!されど…両軍を相手取るのは…」
「何、これだけの乱戦、両軍は陣よりもまず目の前の者を倒すのに躍起になっておりましょう」
「…そうではござるが…」
「…尼子殿は知りませんが、自分は宇都宮殿に聞かされた貴殿の考えに共感したから来たのです」
「!」
「大した力のない、敗者である自分にはこの程度の事しか出来ませんが…」
「…ありがとうございまする。宇都宮殿!尼子殿!次なる陣地に参りまするぞ!」
「おぅ!」
「命令するな!」
真田は腰まで勢い良く頭を下げると、陣を飛び出していった。宇都宮は嬉々として、尼子はやや億劫そうにそれについていった。
「な、何を…」
「自分、不器用ですから…」
佐竹はそう言って、ごん、と大将の頭を叩いて気絶させると、その場に仁王立ちして止まった。

もうお前を離さない327




明朝。遂に戦が始まった。

「行って参る!」
「うん。行ってらっしゃい!」
「…武運を祈っています」
「………………必ず戻る」
宮野と村越はそれぞれ真田と石田を戦場へ見送った。
胸元で手を強く握る村越に、宮野はぽん、と肩を抱いた。
「大丈夫」
「れ、黎凪…」
「信じて待っていればきっと大丈夫」
宮野はそう言って笑った。村越は小さく頷いた後、戦場を見下ろした。数多の兵が入り乱れる乱戦となっており、目的の人物は見つけられなかった。
表情が暗くなった村越に、宮野はふ、と思いついたように己の首元に手を回した。
「芽夷。これ貸してあげる」
「…?ッ!これ駄目でしょ!」
宮野が村越に手渡したのは真田と揃いの首飾りだった。ダメだダメだと言う村越の抵抗を押し退けて、宮野はそれを村越の首に回した。
「私のお守り。効果ちゃんとあるよ」
「そ…そうなの?でも…それは2人が付けてるからじゃないの?!」
「大丈夫大丈夫。確かに、2人が付けてるから効果があるのかもしれない。なら、尚更ちょうどいいはず」
「?!なんで!?」
「いいからいいから!ね?」
「…う……分かったよ…」
村越はしぶしぶ受け取り、首元のそれを見下ろした。宮野はそれを認めると、戦場の空を見上げて笑った。


「…ッ」
動いた時顎にぺしり、と当たったそれに石田は眉を寄せた。
喉に触れた石田に、隣にいた大谷は何事かと近寄った。
「如何した三成」
「…真田が寄越した守とやらが邪魔だ」
「…まもり?」
石田の首元を覗き込んだ大谷は、首元でキラリと光るシルバーネックレスを見つけた。石田は鬱陶しそうにそれを軽くひっぱった。
「断ればよかったものを」
「真田が持っていけと聞かなかった」
「…?これは奴の嫁と揃いのものではなかったか?」
「なっ!?だ、大事なものなのではないのかッ?!」
今まで知らなかったのか、石田はそう叫ぶときょろきょろと真田の姿を探した。
そんな石田に大谷は小さくため息をつく。
「さぁてなァ…。…御守と言っておったのであろう?」
「…そうだ、だが……」
「ならば持っておけ。真田とて、そう簡単に揃いの物を渡しはしないだろう」
石田は大谷の言葉にそれを見下ろした後、鎧の下にしまい込んだ。大谷はそれを見た後、ふと思い出したように石田の前に回った。
「…それはさておき三成よ。主、徳川を許すつもりだそうよな」
「!!」
びくり、と石田の肩が跳ねた。その様子に大谷は小さく笑い声を漏らす。
「そう構えるな、…主がよいなら我はよいのよ」
「刑部……」
「真によいのか?三成……」
そう尋ねる大谷の声は柔らかい。
「…あぁ…私は……そう決めた」
石田は一旦俯いて目を閉じた後、顔を上げてそう言った。迷いの無いその瞳に大谷は目を細め、小さく笑んだ。
「ならばそうせよ。やれ、早に徳川の元へと参るか」
「!…あぁ」
石田は勢い良く地面を蹴った。


「うぉぉぉぉぉぉ!!燃えよ我が槍、我が魂ぃぃ!!」
真田は勢い良く槍を払った。飛んでいく兵士から血は、流れていない。
真田はふっ、と息を吐くと地面を蹴った。前の兵士をぴょんぴょんと乗り越え、陣大将の元へ向かう。
「風林火陰山雷水!!」
陣大将に向かって技を放つ。陣大将が持っていた槍を弾き飛ばし、立っていた櫓も吹き飛ばす。
吹き飛んだ大将に槍を突き付けた。
「降参されよ」
「へっ……?」
大将はぽかんと真田を見上げた。

もうお前を離さない326


「くだらん」

「!三成さん!」
「貴様等の世界の事など関係あるものか」
不意に響いた石田の声に3人は揃ってそちらを振り返った。
石田の言葉に宮野は首をかしげた。
「三成さんそんなトコまで知ってたんですか?」
「ごめん、私話した」
「あ、そうなの。いいよいいよ」
「?」
「はい、こっちの話です。まぁ関係ないでしょうけど、念のためです、念のため」
「…ふん。村越、来い」
「?はい」
石田はそれだけ言ってふいと踵を返した。村越はまたね、そう言って2人から離れていった。
宮野と真田は顔を見合わせると2人して大筒を見上げた。
「………こりゃ…小早川裏切りそうだな…」
「そうだな…」
「……よし。適当な頃合いを見つけて小早川の陣に行くことにする」
「うむ…頼む」
「…このまま上手く行ってくれればいいんだけど…」
「?」
宮野の言葉に真田は首をかしげた。宮野は真田を見上げ、笑う。
「他の人には内緒だよ。三成さん、徳川の罪を許すことにしたんだって」
「!!真か?!」
「昨日私に言いに来た。戦の中、徳川に会いに行くから、その間芽夷を頼む、って」
「頼む…?」
何故?と呟いた真田に宮野は楽しそうに笑う。
「なーんかよくは分からないけど、あの2人、くっつきつつあるみたい。2人が今抱えてる物を払拭出来た時…。いい夫婦になると思うなぁ」
「ふ、ふうふっ?!破廉恥なッ!!」
真面目な口調から一転、おどけたようにそう言った宮野に真田は顔を真っ赤にさせてあたふたとなった。
そんな真田に宮野は小さく吹き出し、声を上げて笑った。
「何言ってんのさ?聞けば私、真田の嫁って呼ばれてんでしょ?」
「そそそそれはそうだが!」
「なら今更夫婦ごときで破廉恥じゃないでしょ。私ら夫婦みたいになってんだし」
「……黎凪…俺のような者がつ、番いでよいのか?」
「へっ?」
真田の言葉に宮野はぽかんとして真田を見上げた。真田は顔を真っ赤にして、僅かに顔を逸らしている。
「その…お前と俺はこ、恋人だ。だが夫婦と恋人は違うだろうっ?!」
「………私は幸村さえ構わないなら、幸村の奥さんになりたいけどな」
「!!!!」
「だめ?」
「だ………。…いかぬわけなどないだろう…っ!」
真田は顔を真っ赤にさせて宮野をぎゅうと抱きしめた。宮野は苦笑しながらも真田の背に手を回した。
「…明日で、全て終わるんだね……」
「そうだな……長き戦乱の、終止符が打たれる事となろう」
「幸村…死なないでね」
「うむ。善処する。お前もな」
「善処するよ」
2人さそう言って笑い合った。


「三成さん、何かありましたか?」
「…………やる」
「?」
陣営の中に戻った石田と村越の方はと言うと、石田が村越に何かを差し出していた。村越は不思議そうに石田を見た後それを開いた。
「…!これ…鍔…三成さんが普段使ってるのの片割れ…く、くれるんですか?」
「…ッ拒否は認めない」
「ありがとうございますっ」
顔を僅かに赤くさせて外方を向いた石田に村越は嬉しそうに笑ってそう礼を言った。


「独眼竜」
一方の東軍陣営では徳川と伊達が戦場となる関ヶ原を見下ろしていた。徳川は空を見上げた後、伊達を見た。
「もし仮に…ワシがこの前言った事と反するような事に走ったら、止めてくれ。その…あまり最後まで落ち着いて出来るか自信がない」
「Rediculous…情けねぇ事言いやがって。…まぁいい、アンタが馬鹿に走ったら止めてやる。怪我しても知らねぇぞ」
「ふふ…。すまないな、独眼竜」
そう言って徳川は笑った。



終焉の戦が、始まろうとしていた。

もうお前を離さない325

少しして文を読み終えた伊達は、一旦目を伏せ深呼吸した後、文を宇都宮に投げ返した。宇都宮は文を受け取った後、はっ、と何かに気が付いたように目を見開いた。
「火種を持ってくるのを忘れた!!!!」
「ッテメェはなんでいちいちそう自信満々なんだ!!」
思わず伊達が突っ込んだが、宇都宮は気にする事なく文を手に考え始め、そして、破るか!と言うと文をびりびりと引き裂いた。
その様子に片倉は眉をひそめた。
「…宇都宮。お前、文の中身は気にならねぇのか?」
「ん?気になるぞ!」
「読もうとは思わねぇのか?」
「これは真田からえーっと…?」
「伊達、政宗だッ!!どいつもこいつも忘れやがって!」
「真田から伊達への文だからな!」
伊達の激昂を無視し、宇都宮はいい笑顔でそう言い放った。
片倉はふぅ、と小さくため息をつく。
「今のおめぇはただの使いっ走りじゃねぇか。なんでそこまでする?下手すりゃ死んでいたぞ」
「真田は仲間だからな!」
「おめぇには何の利益もねぇ。危険しかねぇのにか?」
「んー?お前は何が言いたいんだ?」
「仲間だからという理由だけで引き受けるにしては危険が多すぎると言っている」
「??危険が多いと引き受けないのか?そりゃ仲間じゃないだろー!」
「!」
宇都宮の言葉に驚いたように片倉と伊達は目を見開いた。
「それに真田には命助けられた恩もあるしなー!」
「………だが…」
「?なんだ?駄目なのか?一生懸命考えたんだぞ!」
「わ、分かった…」
「じゃあ俺帰るなー。なんか真田に伝える事あるか?」
宇都宮の言葉に伊達は視線を上げた。
「…確かに受け取った、そう伝えてくれ」
「分かった!じゃあな!」
宇都宮はにこりと笑ってそう答えると虎の上に飛び乗り、そのまま去っていった。
伊達と片倉はそれを見送った後、互いを見合った。
「……真田と確かに、気は合いそうな奴だな」
「…政宗様…具体的な事はお聞きしませぬ、文には何が?」
「…関ヶ原の戦……そこで起こるかもしれない事」
「起こるかもしれない…?」
「向こうもどうやら宮野の策略に陥ってるみたいだぜ。こりゃあ存外、家康の説得は上手く行くかもしれねぇな。……真田はそれの成功率をあげる為に俺に知らせた、って所か」
伊達はそう言うとにやりと笑った。そして、片倉を振り返る。
「面白くなってきたなぁ。本当に和睦するかもしれねぇ」
「政宗様……」
片倉の声色に伊達は苦笑した。くるりと踵を返し、その地からもよく見える東宮陣営に向かって歩きだした。
「これ以上死なせずにすむ。結構じゃねぇか」
「…そうですな」
片倉も踵を返した。



 それから三日後。石田率いる西軍は、関ヶ原の地に到着していた。
宮野と村越は戦場が見下ろせる場所に来ていた。反対側には、東軍陣営の証である葵の紋が見える。
「…場所は乱入っぽいな。乱入プラスアルファ」
「乱入…プラス?」
「乱入には大筒ないから」
「…成る程」
宮野は大筒を見上げ、目を細めた。黒光りするそれは、不吉の象徴のようにも見える。
「黎凪!」
「!幸村」
「幸村さん」
その2人の元へ真田が走ってやってきた。真田はちら、と葵の紋を見た後、2人に目を向けた。
「開戦は明朝。辰の刻辺りになるようだ」
「辰の…8時か」
「早いね」
「…。こんな事を聞くのもなんだが…この世界は2人の世界の史実に基づいておると言っておったな」
「うん。まぁ1割くらいだけどね」
「史実では、どちらが勝った?」
「!幸村さん」
真田の問いに、宮野は一旦目を伏せた後、真田を見た。
「小早川の裏切りを筆頭に、西軍の部隊に裏切りが続出。大谷吉継が切腹したのが拍車をかけ、西軍は半日で負ける」
宮野の言葉に真田は僅かに眉間を寄せた。
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