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もうお前を離さない334

伊達の放った雷は石田に斬り刻まれた。
石田は刀をぶらん、と横に下げ、伊達を睨んだ。
「………一度は私とて生きようと思った」
「!!」
「ずっと考えていた…秀吉様は真に仇を討つことを望まれるのか、どうなのか……。…秀吉様は力を最も尊ぶ。秀吉様はその力で家康に負けた」
「!!アンタ…」
豊臣秀吉が敗れた事を、石田が認めるとは思っていなかった伊達は僅かに驚いて石田を見つめ返した。
石田はふい、と目を逸らす。
「ならば秀吉様は後悔されていない。秀吉様は後悔されぬ方だ。…ならば私がすべき事は、仇を追うことではない…秀吉様の意志を継ぎ、その夢を達成する事にある。それが左腕としての私の勤めだ」
「………あぁ」
先ほどまでの勢いはどこへ消えたのか、石田は静かに言葉を続けた。
「…それに。私には秀吉様が全てだった。だから秀吉様が亡き今、生きる理由などなかった。……私は、家康を追う事で生きようとしていたのだと、気が付いた。醜い事だ。己の為に秀吉様の仇討ちを利用しようなどと」
「…石田……」
「…秀吉様の夢を達成するべきだ。家康を追っているのではなく…秀吉様が目指されたものを追うべきだ、そう思った。……奴となら。家康への憎しみを捨て、その道を進んでもいい、いや、進めると思っていた」
石田はそう言うと逸らしていた目を伊達に向けた。
「…奴ってのはどこに行った?」
「……本陣にいた」
「!!…ッ」
「……奴すらもいない今、どうやって私は生きればいい?私にどう!生きるために戦えというのだ!!」
「………」
「…三成」
「何故だ家康ぅ…何故また貴様は!!」
石田はぎろり、と徳川を睨み付けた。瞳にだんだんと赤が宿る。
徳川はぐ、とこぶしを握っただけで、石田の問いには答えなかった。哀しげな目で、石田を見つめるだけだった。
「………殺す……ッ!!」
そんな徳川に怒りが沸き上がったのか、石田のまわりにぞわり、と赤黒いオーラのような物が広がった。
だんっっ、と勢い良く地面を蹴った石田は徳川に迫った。
「家康ぅぅぅぅぅ!!」
徳川は目をつぶり、小さくこう言った。
「…すまない三成…ッ」
そして、拳を構え地面を蹴った。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
2人が勢い良くぶつかった衝撃波に、伊達は思わず目を細めた。
「家康の野郎…」
――ワシがこの前言った事と反するような事に走ったら、止めてくれ。
「…止めていいのかよ…ッ」
「政宗様…」
「…くそっ!!」
伊達はそう毒づくと刀を抜き、地面を蹴った。
「家康!!」
「独眼竜…ッ」
伊達は石田と徳川の間に割り込んだ。徳川は一瞬驚いたように伊達を見た後、はっ、としたように俯いた。
「…独眼竜…ッ!自分勝手なのは分かってる、だが!」
「?!」

「…ワシはもう三成を死なせてやりたい……ッ」

「…ッ」
伊達は徳川の言葉に息を呑んだ。
「アン、タ…ッ」
「死ねぇぇぇっ!!」
「!しまっ、」
はっ、と伊達が我に返った時には、石田は既に刀を振り上げていた。
――やられる!
伊達は避けられないと悟り、ぎり、と唇を噛んだ。
が、その時。
「三成殿ぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
突如愚者坂に現れた真田が、勢い良く石田に突進した。体当たりし、その勢いのまま石田を持ち上げる。
その直後、石田が立っていた所に砲弾が直撃した。
「真田!」
「た、忠勝!」
攻撃したのは本多だった。砲弾の勢いでごろごろと真田と石田は転がり、最終的に石田が下になって止まった。
「真田…ッ!!何故助けた!」
「なっ?!…死にたかったのでござるか、三成殿」
思わず口を出た言葉に、真田は石田に乗っかったまま、険しい顔を浮かべてその襟をつかんだ。石田はふいと真田から顔を逸らした。
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